41、「月」~るな~
しーーーん
家の外はそんな擬音が聞こえてきそうなほど静かだった。
時刻は午前1時を過ぎた頃、私の寝ているリビングにも月の光が差し込んできている夜のこと。
「【ムーンライト・レイ】!!」
ちゅどーん!!
突然走る爆音と衝撃ッ!! 震えあがる空気ッ!!
思わず私は目覚めてしまったッ!
「!?」
一体何が起こったのだろうか。跳ね起きた私は確認のために、家の外に出てみることにした。
私にはとある理由で両腕が存在しない。その代わりに手に入れた力のうちの一つ【魔力統括】によって、周辺の魔力を自分の思うがままに操ることができる。そのため、
がちゃっ、ぎぃぃぃ
手を使わずにドアを開けることもできる。まあ、このくらいのことは初歩中の初歩だ。
外に出た私。上を……表れている満月を見ようとして目に映ったのは
「「ふ……不審者ぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
「どーして全裸の銀髪幼女が空中に浮いてるのよーーー!」
「なんで全身を黒いローブで覆った人が普通の家から出てきたのよーーー!」
なんか深夜だというのに、目の前の銀髪幼女(所々謎のモヤみたいなもので隠すべきところは隠している)と大声でハモってしまった。
「とりあえず落ち着きなさい。貴方がヒナちゃんで、その装備がエリオルだよね?」
驚き顔から一瞬で落ち着いた表情になった彼女は……まるで私のことを知っているような雰囲気を感じさせるような質問をしてくる。
「う、うん。一応私がヒナでこの装備はエリオルだけど……なんで貴方はそのことを知っているの?」
「だって私……エリオルの創造主だもの」
「……え?」
今この全裸幼女、私の出身不明のチート装備の親って言ったの!? 装備の親って何!?
なんか脳内ツッコミがめちゃんこ加速しているような気がするが、そんなことはお構いなしに彼女は続ける。
「エリオルは私がめっちゃ前に、とある世界を滅ぼすために生み出した存在なの。詳しいことは省略するんだけど、その世界を破壊し終わった後にこの子は新しい依り代を探すために旅立ったの。」
……目的もアレだけどなんでここまでのチート装備を作れるんだこの全裸ちゃんは。まあ、話の内容は大体わかった。
「それで、この服が私を依り代として選んだってことね。」
「そういうことよ。あ、名乗り忘れたけど私は月夜るな。貴方たちの言う『月』を司る女神よ。」
「……どうしてそんなやっばい人がこんなところに来たのです?」
【月の女神】というパワーワードに気圧されてか、ちょっと敬語っぽい口調で質問を投げかける。
彼女はにたぁっと笑みを浮かべて答える。
「月の意志を受け継ぐ存在である貴方を、月に連れて行くためよ。」
「!?」
彼女の口から出てきた言葉に、数秒ほど思考回路がフリーズした
……月の意志を受け継ぐ存在ってセー○ームーンみたいなんですけど!? あ、でもセーラー○ーン見たことないから、どちらかというとかぐや姫の方が近いかもしれない。
「詳しく話したいところなのだけど……そろそろ時間ね。美杉、やりなさい。」
「!?」
月夜るな――通称るなたんと呼ぶことにしよう――は、暗闇にいる?誰かの名前をよんだ……ウッ
バァン!
突然、私は何者かによって後頭部を殴打される。ステータスが99999999のはずの装備であるエリオルの防御力と【痛覚減衰95%】【ダメージ軽減95%】のパッシブスキルを貫通しての攻撃である。
バタッ
私はその場に倒れこむ。あれ?なんでステータスがチート状態なはずの私がこうも簡単に倒されるなんてあっでもHPが一割くらいしか減ってないんですけどこれは一体どういうことなのk(早口)
「魔・性・術【せ・ん・の・う♡】とりあえず少し眠っちゃいなさいょー」
耳元で囁かれた圧・倒・的エ○ボイス。なんか耳元よりかは脳内に直接語り掛けてくるよ……う……n
なんでこんな展開が急なんだろうねほんと
そんなことを考えていた私の意志はそこで途切れたのだった。
評価ポイントやブクマを入れてくれるとありがたい
ちなみに今回から出てきた新キャラにはモデルとなった人がいるのですが本人達に許可は頂いてます
ではまた




