35、ダンジョンの下見
どぉぉぉぉぉぉん
きゅぃぃぃぃん! ちゅどぉぉぉぉん! ぱりぃぃぃぃん
広々とした空間に響き渡る、耳をつんざくような激しい轟音。 空中に出現した魔法陣から放たれた一撃によって、私達の目の前にいた緑色の巨体:<巨竜べヒモス>は他の雑魚敵よりも一段階ほど派手なエフェクトを周囲にまき散らしながら爆発四散した。
「……ご主人様、この層の敵弱すぎないかしら? 1個前の62層の方が手応えがあったわよ」
右手に持っていた黒い拳銃――外見がガバメントっていう名前の銃にそっくりな奴――をくるくるくるっ と人差し指で器用に回し、フリル付き黒スカートの中に隠しているレッグホルスターにしまった緋色ツインテールの幼女ティアラは、少し不機嫌な表情を見せた。
「うーん……全部の層で敵が強すぎると逆に攻略して貰えなくなるような気がするのよ。 『あのダンジョンの攻略無理ゲーww』 なんてツイートがバズった日にはもう終わりなのよね……」
「ご主人様はこのダンジョンをどうやって使おうと思ってるの?」
「観光地みたいな存在の……いろんな人が入れる場所?」
「観光地ねぇ……。 登録の申請方法は分かるの?」
「申請……? こういうのって勝手に作っちゃダメなの?」
更新後のこの世界には、日本国憲法に代わる新しい憲法が存在する……らしい。 見たことが無いのでどんな内容なのかは一切分からないが
ラノベやゲームみたいなファンタジーな要素が導入されたため、建物を作るのもめちゃくちゃ容易になってしまったのは確か。
人工的に作られた個人の所有物である家とかの建物とは異なり、ゲームとかで作られるダンジョンっていわゆる自然で生成されたもの……要は公共の物だから、自分の物って言えないのだ。
なので個人で作ったダンジョンを一般の冒険者さん達に開放するには、専門のギルドみたいなところに登録する必要がある……
と、30分ほどあったティアラちゃんの説明(6割くらいは茶番)をざっくりとまとめた私は、ティアラに確認の視線を向ける
「そうね。 大体はそんな感じよ……一部私の主観が入ってたけど」
うんうんと頷くティアラ。 私はこういう系の話は超大好物なので理解するのも早いのである。
「まあ、詳しいことはニーナ様と話すとして……先に進むわよ」
「うん」
私達はその場を後にしたのだった。




