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先生と私  作者: 綿花音和
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デイケア初日

 デイケアを利用するのは、初めての経験。活動について説明してくれたのは、主に社会復帰を支援している作業療法士の平田ひらた先生だった。どんな雰囲気なのか、通所している利用者とうまくやっていけるか、不安だらけだった。


「初めまして、小野田さん。平田ひらた俊和としかずといいます。小野田さんの自立に向けての活動を計画していきます」

 挨拶した男性は整った顔立ちだが、気さくな印象で緊張せずに話せた。彼は、長谷川先生としっかり打ち合わせをしてくれていたのだろう。私の病状から悩みの背景、性格も、あらかじめ把握していたので、説明に長い時間はかからなかった。

「緊張すると思いますが、まずデイケアのミーティングから出席してみましょう」

 平田先生は笑った。

「怖い気持ちもありますがデイケアに参加して、自分が変われればいいなと思います」

「その気持ちがあれば大丈夫です」

 先生は力強く頷いた。

 平田先生との面談が終わるころには、不安はいくらか小さくなっていた。私は恵まれている。その時々で必要な専門家に導かれ、治療を受けている。遠い病院を探し選んでくれた、両親に感謝した。

 

 平田先生の引率でデイケア棟に向かう。先生は四十代と自己紹介をしていたけれど年齢より若い感じがした。デイケア棟は新しくはなかったが、天井が吹き抜けになっており明るい雰囲気の建物だった。広い和室があり、喫茶活動に参加する利用者、他のプログラムに参加する人々もそこに集まっていた。さまざまな年齢層の男女がいた。しんどそうにしている人もいる。知らない教室に紛れ込んだような心地になる。

 先生は、つかず離れず見守ってくれていた。緊張している間に、朝のミーティングが始まった。利用者は名前を名乗り挨拶をする。次に体調と目標を述べていく。簡単な挨拶と目標の後には、必ず拍手があった。中には挨拶をした途端に帰ろうとする利用者もいたが、別の利用者がたしなめて、助け合っていた。利用者同士でも症状は違うようだった。

 いよいよ自分の番が回ってきてしまった。声が震える。

「西三病棟から来ました。小野田幸と言います。喫茶活動の見学に来ました。体調はいいです。よろしくお願いします」

 早口になってしまう。拍手があり、胸を撫で下ろした。平田先生は笑ってグッドマークの仕草をしてくれた。







 

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