王妃様とお茶会
今…私達は王城の庭園が見えるテラスにてお茶を頂いています。
昨日、王都の別邸に戻って直ぐにお母様から依頼されてお菓子を作る事になった私。
お兄様からは、僕のお願いも同じだよと2つ余分に作るように頼まれた。
何を作ろうかと悩み、まずはスポンジケーキを焼いてみました。
この世界に早くハンドミキサーなる便利な機械が出来ない物かと切に願ったのは言うまでもありません。
そう…子供の手でメレンゲはシンドかったです。
何とかスポンジケーキの生地をオーブンに入れると、私は濃いめの紅茶を入れて…ティーブレイク。
では無く、ここに砂糖も加えて後ほどスポンジケーキを漬けるように避けておきます。
本来は珈琲で作るのだが…無いので代わりに紅茶にした。
卵黄と砂糖を白くもったりするくらいまで、すり混ぜ…。
生クリームと砂糖も、かたく泡立て…。
卵白も泡立て、途中で砂糖を加えてメレンゲを作る…もう限界を迎えた私の右手をリオンが優しく摩ってくれる。
卵黄のボウルにマスカルポーネチーズを加えて混ぜ、生クリームも混ぜ、最後にメレンゲを数回に分けて混ぜて…味見。
うん、美味しいマスカルポーネのクリームが出来た。
隣のリオンも味見して、頬に手を当て「美味しい!」のポーズを決める。
変わらず…あざと可愛い。
焼いたスポンジケーキを冷まして、薄くスライスしてから小さく丸く切ると紅茶シロップに漬ける。
今回は一人一人の器にしたいので、グラスを幾つか用意してもらう。
まずはマスカルポーネのクリームを底に少し入れ、次にスポンジケーキ。
それを再び繰り返し、最後はクリームを縁まで入れて…。
仕上げにココアパウダーをたっぷりと塗し、ミントを乗せたら完成!!
「じゃーん!ティラミスー!!」
「「「おぉぉぉ!」」」
リオンと…いつの間にか来ていたハイムさんとお兄様も一緒に歓声をあげる。
増えてた事に吃驚です。
「その余ったクリームはどうするの?」
お兄様は味見をしてないので、気になっているのか目がキラキラしていた。
「パンにつけても美味しいと思いますが…味見してみますか?」
その言葉を待っていたのか、既に手にはスプーンが握られていた。
しかも大きめだ!
そのスプーンにたっぷりと掬い、パクリと口に運ぶと…お兄様が固まった。
どうやらとても美味しかったようです。
「じゃあ、僕がお願いした分と2つ貰うね。」
と、さっさとお兄様は2つだけ他のとは分けてました。
そんなお兄様も今日は一緒の馬車で登城して、てっきりお茶会も一緒かと思ったら…クロード殿下の元へと行ってしまいました。
……ん?
一つはクロード殿下が食べるのかな?
…聞いてないぞ?
「リオン君、リリアちゃん。会えて嬉しいわ。」
王妃のキャサリン様が優雅のお茶を楽しみながら、私達に微笑む。
とても美しい方で…思わず見惚れてしまう。
「二人に会えるのをとても楽しみにしていたの。それにお菓子も食べてみたくて…。」
どこか照れたように笑む姿は、とても二人の男の子を産んだ母親とは思えないくらいに若々しく可愛らしい。
凄いな…これが王族!
「いつもロザリアやクロードに話を聞いていて、羨ましかったのよ?」
頬に手を当て悩しげな顔をすれば色っぽいとか…王妃様って凄すぎない!?
「早速、頂きましょ!」
王妃様がパンッと手を叩くと、侍女がティラミスを私達の前へと並べた。
王妃様の分は事前に毒味を済ませてあるので、少しだけ抉られている。
全員に行き渡ったのを見て、王妃様が早速スプーンでティラミスを掬い…スッと口に運ぶ。
とても上品な仕草に自分もそうなりたいと心で思った。
暫く目を瞑って味わい…ホゥッと溜息を漏らす。
「これは…とても美味しいわね。口の中で蕩けてしまうわ…。」
そう言って優雅に…そして手早く口に運び、あっという間に食べ終えてしまった。
私達も頂いたのだが…ごめんなさい。
自慢じゃ無いけど本当に美味しかったです。
濃いめの紅茶の味も、マスカルポーネチーズのクリームも…上に塗したココアパウダーも…全て合う!
本当は大きな四角い深皿にたっぷり作りたかった。
今回はお茶会用にと言われたし、お兄様の分もと言われていたから小さなグラスになってしまったけども…。
次は必ず大きくたっぷり作ろうと思う。
「ねぇ、リリアちゃん。」
王妃様はお茶を一口飲むと、私の方へと顔を向け…次の瞬間。
「何でジュードの婚約者がリリアちゃんじゃなかったのかしら?」
とんでもない爆弾を投下するのだった。
ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。
遅くなってすみません。




