時を戻…す
夕食時もエドモンド様は仮面を外す事は無く…不思議な事に仮面のまま食事をしていた。
…あの仮面、どうなっているんだろ?
魔力も感じるような気もする。
私がエドモンド様に夢中だった中、チャミシル様はペルノをチラチラと見ていたらしい。
突然現れた異母兄弟にどう反応して良いものかと悩んでいたようだ。
ペルノの方は全く気にした風もなく、淡々としていたらしい。
“らしい“と言うのは、リオンの感想だ。
…だって、見てなかったし。
一日中、馬に乗っていたからか…その日はあっという間に寝てしまった。
そして、翌日。
朝食を済ませた私達は問題の国境の塀に向かった。
修復はされているが目印が付けてあり、目的の場所はすぐに分かった。
さて、まずは私の探査魔法の解除から。
解除…と言うよりは、時を戻す?的な作業だ。
…“時を戻そう“なんて言わないよ?
言わないからね?
「戻すのは私が探査魔法を使った前の日…かな?その日なら既にキャティ様が森に居た事から穴は空いていた筈だしね。」
戻す日を決めると、私もリオンも自身にかけた変装を解く。
髪の色も目の色も戻ると、私とリオンは手を繋いだ。
その様子を背後で見つめていたのは、チャミシル辺境伯とエドモンド様、ジン様とビルショート様…そして少し離れてペルノ。
リオンと繋がれた手とは反対側の手で塀に触れる。
リオンも同じように塀を触った。
『私達が来た前の日に戻るように。』
『うん、元に戻る事を祈って!』
リオンと息を合わせ、魔力を込める。
「「ーーーー復元と再生をーーー」」
一際、明るく光り…やがて光は収まっていく。
ゆっくりと目を開けば、修復された筈の塀には以前見た時と同じ穴が空いていた。
どうやら、成功したようだ。
「なっ…今の魔法は!?攻撃魔法には感じなかったが、穴が空いている…?」
私達が塀から離れると、チャミシル辺境伯が慌てて塀へと駆け寄り…屈んだ。
「僕たち二人で発動する魔法です。過去の状態に復元し再生する魔法ですが…信じられないようでしたら、探査魔法が使える方をお呼び下さい。」
リオンが簡単に説明してくれたのだが…出来たら探査魔法を使える人を呼んで欲しくないのが本音だ。
…また、やり直す事になるかもしれないし。
「その必要はない。」
リオンの言葉に反応したのは、背後で見ていたビルショート様だった。
ビルショート様はジン様と共に穴に近づき、ジン様に問いかけた。
「ジン、この穴の形状に見覚えはあるか?」
「そうだな…あの時の穴と似ていると思うが…?」
ビルショート様は騎士団の遠征の際に私達と一緒に穴を見つけたジン様に確認すると、手を塀の穴に翳す。
だが…どうやら、探査魔法では無いようだ。
「鑑定を使った。これから行う探査魔法に影響は出ない筈だ…鑑定結果だが、確かに過去に戻っているようだな。」
…最後に小さな声で「興味深い…。」と呟くと、ビルショート様はエドモンド様を見る。
それに釣られて私達もエドモンド様を見た。
エドモンド様が一つ頷いた事で、どうやら私達が行った魔法が正当なものだったと判断されたようだ。
「では、これから改めて探査魔法を使います。」
再び穴の前に移動すると、私の真後ろにリオンが立つ。
空中に水魔法で作られた“水鏡“が浮かんだ。
「君達に不正が無いか判断させてもらうよ?」
私達のすぐ近くで魔法を見つめるビルショート様。
ここで、漸くビルショート様とジン様が同行した理由が分かった。
彼らは所謂、監査役。
そう考えれば何故二人が一緒だったのかも頷ける。
公平に見てもらえるのは有り難い。
「では、始めてくれ!」
エドモンド様の掛け声に、私とリオンは頷き…魔力を込めた。
ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。
芸人のネタに影響されて考えた魔法じゃ無いのに…それっぽく思えて納得がいかない。
…一生懸命考えたのになっ!
今日はずっと…頭の中でペルノの番外編がグルグルしてたけど、本編を進めたい私は思考を停止しました。
余裕が出来たら書こうと思います。




