挑発
「ジュード殿下、今日も楽しい時間をありがとうございました。」
ロマネス殿下の言葉に従い、私はジュード殿下へランチをご一緒出来た事に感謝を述べるとジュード殿下は「また、後ほど騎士団で会おう。」と笑顔で頷く。
それに対し、笑顔を返していると…そんな些細な事にも面白く無いのかロマネス殿下が私とジュード殿下の間に割って入って来た。
「そうだ、明日の魔法学上級の授業で魔法を使った模擬戦がある!リリア嬢には私の相手になってもらいたいのだが?」
ロマネス殿下は私を睨みつけ、謎の誘いを投げかけて来た。
「折角のお申し出に大変恐縮なのですが、私…魔法学上級の授業を受けておりません。」
その時間は経済学の授業を受けるから、他の授業に出る事は出来ないんだけど…。
「問題ない、私から教師に言っておく。」
問題ない訳無いでしょ!?
教師とか以前に…私が経済学を受けたいんだけど。
「リリア嬢は魔法にも自信があるのだろう?僕もそれなりに魔法が得意でね、ぜひ君に相手になってもらいたい。無論、本気で構わない!」
ロマネス殿下は自信満々に胸を張り挑発すると、ズビシッと人差し指を私に向け宣言した。
…此処にも人に指をさす人がいるとは…。
気分悪いから早くその指を下げて欲しい。
「ロマネス殿下の胸をお借りさせて頂きます。」
特に自分が弱いとは思っても無いが、此処は相手を立てるべきかと思って殊勝な事を言ってみた。
案の定、ロマネス殿下は機嫌良さそうに笑いジュード殿下とチャミシル様と顔を見合わせている。
そんなロマネス殿下にジュード殿下は分かりやすい作り笑いを浮かべたが、チャミシル様は笑顔を浮かべ…そして私を見て鼻で笑う。
…その態度は、令嬢としてどうかと思う。
「ところで、ロマネス殿下は何の果物がお好きですか?」
「ん?私は葡萄が好きだ。葡萄はワインバル王国の名産だからな!」
私の問いに不思議そうに顔を傾げたが、なぜか素直に教えてくれたロマネス殿下に「ありがとうございます。」と笑顔で返す。
その質問の意図に気づかずロマネス殿下とチャミシル様、そして周囲の数名は人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべていた。
だが…ジュード殿下と少し離れて座っていた初等部で同じ特進クラスだった面々は苦笑いを浮かべる。
「では、明日は光り輝く翡翠の葡萄をご用意する事にしますか。」
誰にも聞こえない小さな声で私は呟くのだった。
ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。
更新が遅くなってしまい…
そして、少し短めで申し訳ございません。




