リオン様のキス?
「そんな事より。」
「そんな事っ!?」
ネメアレオン殿下の話もそこそこにリオンは話し始める。
それに思わずネメアレオン殿下がツッコんだが、リオンは一瞥しただけだった。
「聖女様、僕のキャティ…どうやったら戻りますかね?」
そう言って肩から下げていた鞄からキャティ様を取り出すリオン。
…ちょっと待って?その鞄…朝から持ってませんでしたっけ?
そう思ってリオンの顔を見れば、私に気づいたリオンが一度だけニコッとして聖女様へと顔を戻した。
「どう…って、お前達の領地で静養するんじゃなかったのかい?」
聖女様は困った顔で答えると、リオンが目に見えてシュンと落ち込んだ。
「僕…もう直ぐ成人するんです。誕生日には夜会があって…キャティと一緒にダンスしたいなって思って。」
そう言ってリオンはキャティ様の顔を覗き込むと、キャティ様は困った顔で「にゃぁ…。」と鳴いた。
確かに…成人の誕生日は特別だ。
リオンはキャティ様を婚約者として紹介したいと考えているのかもしれないけど、このままでは誕生日に間に合わない。
「そうさね…物語では、王子のキスで目覚めるって事もあるみたいだよ?そうだろ?リリア。」
「ありましたね、そんな話も。」
聖女様の言葉に私が返事をするが、ここにいる他の方々にはピンと来ていないようだった。
まぁ、前世の記憶の中の話ですから…。
残念ながら、この世界の物語には無いと思う。
「…キス?」
「「そう、キス。」」
リオンが確認の為、呟くと…それに私と聖女様が返す。
それを聞いたリオンは再びキャティ様を見た…かと思えば、突然…チュッと音を立ててキャティ様に口づける。
…それも唇に。
「にゃっ!?…にゃ!!??……なっ…何するんですっ!?」
ボンッと音が出そうな勢いで顔を真っ赤にさせたキャティ様は、あまりの衝撃に何故か完全獣化から人型へと変身し…リオンの頬をぺチリと叩いた。
「……え?」
その衝撃に今度はリオンが目を見開いて固まってしまう。
そこには紫がかった美しいシルバーの髪に、淡い碧い色の瞳をした可愛らしい少女…キャティ様が居た。
「こ…こんなっ!こんな…人がいっぱい居るところでするなんて…!!」
真っ赤な顔のキャティ様はリオンの膝の上に跨ったままリオンの胸元に手を添えて怒っている。
…だが、リオンは未だに固まったまま動かない…と、思いきやリオンはキャティ様が自分の膝から退かないようにキャティ様の腰を両手でガッシリと掴んでいた。
「キャティなの?…キャティ…こんなに可愛いなんて…。」
ヘニャッと今にも蕩けそうな笑みでキャティ様を見て、嬉しそうに更に笑みを深めるリオン。
そんなリオンの言葉に気づいたキャティ様は、慌てて自身の体を確認するように見た。
「え?あれ?私…戻ってる?」
キャティ様はキョトンとした顔でリオンに問いかけると、そんなキャティ様を腕の中に閉じ込めるように抱きしめるリオン。
「…良かったぁ…人型に戻る時に裸だったらどうしようかと思った。…でも、そうなっていたら僕が責任持ってキャティを隠しながら部屋を出ていたからね!」
キャティ様の肩に顔を埋め…戻った事に安堵したリオン。
…かと思いきや、リオンはガバッと顔を上げて叫ぶ。
ーーーーーバチーンッ!!!
リオンの言葉にプルプルと震えたキャティ様は…先ほどよりも良い音でリオンの頰を叩いた。
「…リオンが…なんか違う生き物に見える。」
頬を押さえながら嬉しそうにするリオンと、それを困ったような怒ったような顔で睨むキャティ様を見て…私は一人呟くのだった。
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王子は三人もいたのに…したのはリオンという。
きっと…王子という単語は耳に入らなかったのでしょう。




