第902話 恐竜の魔物が棲む島 母と双子達のLv上げ&ヒールの可能性
※椎名 賢也 120 迷宮都市 地下12階 最後の攻略週&ケリーさんの父親 1をUPしました。
誤字脱字を修正していますが、内容に変更はありません。
『これなら1週間は大丈夫じゃ。あと3本くらいあれば足りるかの』
『分かりました。また作ってお渡しします』
シーリーの魔力供給が解決して胸を撫で下ろす。
ふと時間を確認すると6時だった。
朝早く起こされた兄には迷惑を掛けてしまったな。
一緒の部屋に居た旭も起きてしまっただろう。
老人の朝は早いというから、シュウゲンさんはもう起きていたかしら?
シーリーの件以外にも、何か忘れている事はないだろうかと思考を巡らし、魅了魔法が習得可能だと伝え忘れていたのに気付いた。
『樹おじさんを呼んで下さいますか?』
ちょっと朝早いけど、今言っておいたほうがいいと判断して、シュウゲンさんにお願いする。
『少し待っておれ』
樹おじさんの騎獣はフォレストウサギのマリーだ。
乗り心地を考えると、自分でテイムした従魔のほうがいいだろう。
『沙良ちゃん、おはよう』
『おはようございます』
既に起きていたのか、樹おじさんの声は普通だった。
『双子達が女性化したら、魅了を覚えられたんですよ。女性化している今なら樹おじさんも、ナイトメア(男性体)から魅了が習得出来ると思います』
『それは本当か!? これでまともな騎獣に乗れる!』
かなり喜んでいるのか、感激した様子が伝わってきた。
『父さん、良かったね~』
会話を聞いていた旭の声も聞こえてくる。
『早速、今日ダンジョンでテイムしてくるよ!』
嬉しそうに宣言するのを聞いてから、通信の魔道具を切った。
樹おじさんは、どんな魔物を従魔にする心算なのかな?
少し気になりながら、他にも忘れている事がないか考え出す。
どうも強制的に島へ移転させられた所為か、色々と漏れているようなのだ。
直ぐに双子達を召喚したので、Lv上げを優先したからだろうか?
あぁ、そうだ。部屋を引っ越すかどうかも確認しないと……。
兄のマンションのほうが広いし、空き室は沢山ある。
そう考えていると、双子達の住んでいるマンションをホームに設定したのを思い出す。
部屋から回収するのを忘れてたよ!
慌ててホーム画面を開き、双子達のマンションにある部屋の中身をアイテムBOXに移動した。
生物は賞味期限ぎりぎりか……。1日ぐらい過ぎていても、火を通せば食べられるだろう。
といっても、鳥肉、豚肉、牛肉に関しては、魔物肉が代用できるので使う機会はなさそうだ。
刺身は生で食べたかったなぁ。
双子達の住んでいるマンションは10階建てで、部屋数が40あるけど賃貸だ。
ちなみに兄のマンションは、20階建てで部屋数が79の分譲だ。
最上階の20階だけが3部屋で、それ以外の階層は4部屋となっている。
まだ兄のマンションに何があったかも確認していない。
双子達のマンションで回収したものを見るのは、だいぶ先になるだろう。
父に異世界のお金を日本円に換金してもらえば、欲しいものを自分で買えるし。
現状、マンションの住民が持っていたものは、あまり必要なかった。
それでも勿体ないから貰っておくけど……。
駐車場にあった車、バイク、自転車もアイテムBOXに入れておこう。
あっ、電動自転車がある!
今乗っている自転車はまだ365台あるけど、電動自転車に変えようかしら?
双子達が起きるまで、時間があるから少しだけ冷蔵庫の中身を整理しよう。
マンションを設定したのは月曜日。
今日は木曜日なので、大体3日で設定されている生物の賞味期限は切れていた。
その中に馬刺しがあって、「ああっ!」と声を上げる。
子供の頃はスーパーで売っていた記憶があるけど、今は見掛けなくなっていたからだ。
これ、父が好きで母がよく買ってきたんだよね。
ホームに設定した時点でアイテムBOXに入れていれば、食べられたのに……残念。
1日くらいなら、まだ大丈夫かしら? そう思って馬刺しを取り出してみる。
色が少し茶色くなっているな……、匂いはどうだろう?
ラップを取り外し、鼻を近付け嗅いでみると腐った匂いは感じない。
だけど見た目が悪いため、他の人に食べさせるには躊躇する。
焼いたら肉が硬くなりそうだし……。
そこまで考えて、時が戻るように使用したヒールを思い出す。
もしかして、ヒールを掛けたら時間を巻き戻せないかな?
よし、やってみよう!
馬刺しに手をかざし、少しだけ時間が戻るようヒールを唱えてみた。
すると、変色していた肉が鮮やかな赤色に戻っていくではないか!?
怪我を治すイメージが湧かず、時が戻るように使用していたヒールは時空魔法のような効果があるの?
最初から私が使うヒールだけ兄達と違っていたけど……。
これなら、切断された部分も治療出来る可能性がある。
経過年数によって、どれくらい時を戻せるのか検証の必要はあるかも知れない。
ただ、知られちゃ拙い能力だというのは確かだ。
迂闊に治療したら駄目だよね。
可能なら肉うどん店の従業員達を治してあげたいけど、彼らの肉体的な欠損は知っている人が多く、もし治療したことがバレたら教会に目を付けられる。
それは異世界での行動を妨げられる事になるので出来ない。
ヒールの新しい可能性は、私の胸に仕舞っておくべきだな。
若返りの効果もありそうだけど……。
検証したい気持ちを封印して、賞味期限が切れた生物を出しヒールを掛けていった。
途中で鯵の刺身が魚の状態に戻ってしまったけど、生き返る事はなかった。
いや、つい好奇心が勝ってヒールを長く掛けちゃったんだよね。
まっ、生き返らないのは当然か……。
何にせよ、諦めていた賞味期限が切れた生物が食べられるようになっただけでも、よしとしよう。
珍しい馬刺しは、私の部屋に登録して365個増やしておいた。
双子達に電話を掛けてから実家へ行き、母と朝食の準備をする。
母が畑で収穫した新鮮な野菜を使って惣菜を作る間、私は人数分のオムレツを焼いていく。
双子達が来てからパンをトーストして、コーンスープをマグカップに入れる。
山盛りのサラダに、オムレツとカリカリのベーコンが載った皿をテーブルに置いて手を合わせた。
「いただきます」
久し振りに食べた日本の食パンの味を噛み締めながら、
「「パンが美味しい!」」
遥斗と雅人が感激している姿を見て、異世界で初めて食べた硬いパンを思い出し納得する。
主食をナンに切り替えたので、あれから異世界のパンを食べる事はなかったけど……。
王族だった双子達も、同じパンをずっと食べていたのだろう。可哀想に……。
それから2人はトーストを2枚も追加していた。小さな体でよく食べるな。
食後は全員でグラウンドに移動して、各自Lv上げを始める。
母と双子達の様子を見ながら魔物を出し、私はひたすら結界魔法の練習をした。
母のLvが200、双子達のLvが150になったところで昼食に戻る。
私の結界魔法はLv20になったけど、簡単にシルバーに壊されるので物理攻撃がどれくらい耐えられるか分からない。
母が朝作っていた惣菜がテーブルに並べられると、双子達が待ち切れないように箸を伸ばす。
肉じゃが、茄子の揚げびたし、人参しりしり、アスパラの肉巻き、春菊のお浸し。
私は里芋の味噌汁から飲んで、アスパラの肉巻きに手を付けた。
う~ん、採れたての野菜は甘いなぁ。
3人のLvが上がった恩恵は食後に聞いてみよう。
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