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第899話 恐竜の魔物が棲む島 母と双子達のLv上げ&魔物のテイム&浮遊魔法の練習

※椎名 賢也 117 迷宮都市 地下12階 ダンクさんの両親 1をUPしました。

 誤字脱字を修正していますが、内容に変更はありません。

 その後、自宅へ戻り兄に報告するため通信の魔道具を起動させる。


『お兄ちゃん、起きてる?』


『沙良、こんな時間にどうした』


『魔物を集めに島へ行ったら、また攻撃されたの。10人居た敵はアイテムBOXに入れて捕獲済みだよ』


『何だと!? 今度は10人で襲ってきたのか!!』


 心配なのは分かるけど、あまり大声を出さないでほしい。


『沙良ちゃん、大丈夫なの!?』


 同じ部屋に居たのか旭の声も聞こえてきた。


『結界を張ったから怪我もしてないよ。お父さんに伝えておいてね』


『沙良、まだ島に敵が居るなら1人で行くのは禁止だ。行くなら双子達も連れていけ』


『了解! 双子達もLvが上がって強くなったし、一緒に行くよ』


『父さんには俺から話しておく。それと結界魔法を過信するな。魔法攻撃には強いが物理攻撃には弱いから、なるべくLv20まで上げておくんだ』


『うん、そうする』


 確かに兄の言う通りだ。敵は姿を消せるので、近距離まで近付かれた場合を考えたほうがいい。

 毎回同じ場所に出現すると気付かれれば、待ち伏せされる可能性もある。

 明日は3人がLv上げをしている間に結界魔法を上げよう。

 通信を切ったあと、お風呂に入って明日の予定を立てる。

 双子達には従魔も必要だろう。どんな魔物にするか、もう決まったかしら?

 母に出す魔物は……、考えている間に眠ってしまったようだ。

 翌日、目を覚まして雅人(まさと)に電話を掛ける。

 Lvが上がった時点で双子達のスマホも使用出来るように設定したのだ。


「もしもし。姉さん、おはよう」


 寝起きなのか、少し(かす)れた声で雅人が電話に出た。


「おはよう。実家で朝ご飯を食べるから車で来てね」


「7時30分には行けると思う」


「じゃ、またあとで」


 ホーム内で電話が通じるようになったので、毎回私が行かなくてもよくなった。

 2人とも免許があるし、車も持っているから自分達で来てくれれば助かる。

 私も服を着替えて実家に行こう。

 

「おはよう~」


「おはよう。雅人と遥斗(はると)はどうしたの?」


 母に挨拶すると、双子達の姿が見えない事に気付いて聞かれる。


「7時30分頃に来るって」


「あぁ、もうスマホが通じるんだったわね」


 朝食の準備をしている母を手伝い、私はアサリの味噌汁とだし巻き卵を作った。

 時間どおりに双子達が実家に来て席に着く。

 肉じゃが、(ぶり)大根、だし巻き卵、白和え、アサリの味噌汁が並ぶテーブルを見て、双子達の顔が嬉しそうになる。

 長い間、日本食に飢えていたから食事の時間が楽しみなんだろう。

 

「いただきます」


 朝から食欲旺盛(おうせい)な姿を見せ、ご飯をお代わりしていた。

 12歳の姿なので、口を大きく開けてパクパク食べる様子が可愛い。

 あっと、双子達に「可愛い」は禁句だった。

 (しずく)ちゃんに男の子だと知られてから、「可愛い」と言うと2人が(ふく)れっ面になるんだよね。

 性別変化の魔法を使用している今は、刺激しないよう心の中だけで思っておこう。


 後片付けをしたあとピンキーから結界魔法を、シルバーからは浮遊魔法を双子達に習得させ、4人でグラウンドへ移動する。 

 やる気満々の母は海に居た魔物を出すと、種に光合成の魔法を掛けて拘束してからアースボールの魔法を使い倒していた。

 

「本当に簡単にLvが上がるのね~。Lv100になったわよ」


 1匹倒しただけでLv100になったと喜んでいる。

 畑仕事で光合成の魔法をLv20まで上げたのか、急成長した植物の(つる)は魔物を雁字搦(がんじがら)めにしていた。

 恐竜の魔物は高Lvだというのに、身じろぎも出来ず倒された事に感心した。

 見ていた双子達は母が使用した緑魔法に呆気(あっけ)に取られ、


「「何それ!!」」


 口を(そろ)えて絶叫した。

 昨日メンバー全員のステータスを見せたけど、母の魔法は特殊なので植物を成長させるとどうなるか分からなかったんだろう。

 それに母は基礎値が78あるから、Lv50でもMP値がLv100の双子達より高い。

 以前見た時より魔法の威力が上がっていた。

 

「種を急成長させて魔物を拘束したのよ。便利な魔法でしょ?」


 うふふっと笑って何でもない事のように話す母は、「次は何かしら~」と早くも魔物に期待している。

 魔物が拘束されると動けないと分かったので、トリケラトプスを出した。

 大きな2本の角がある恐竜は私達を見た瞬間に突進してきたけど、母の魔法で拘束され動きを止める。

 その様子は、さながら(おり)の中に閉じ込められたみたいだった。

 今度はアイスボールの魔法を使って倒している。

 形状はボールじゃなく、槍をイメージしたようだけど……。

 母が倒す速度に合わせて次々と魔物を出し、命が尽きた魔物をアイテムBOXに収納していった。


「何の魔物をテイムしたいか決めた?」


 マッピングで母の様子を見ながら双子達に向き直り確認すると、


「俺は迷宮タイガーがいい」


 雅人が速攻で口を開く。遥斗は、まだ迷っているのか答えない。

 迷宮タイガーかぁ……。

 換金額が高いから兄がテイム魔法を習得した時のために、1匹しか保管してないんだよね。

 ダンジョンに行った時、また収納しておけばいいか。


「出すから、直ぐに魅了(みりょう)を掛けて」


 目前に出現した迷宮タイガーを見て、雅人が「魅了!」と声を出す。

 魔法名を唱える必要はないけど、無詠唱は慣れないんだろう。

 魔法学校で習ったのは長ったらしい呪文だし……。

 好戦的だった迷宮タイガーが途端(とたん)に大人しくなり、雅人の方に近付き体を()りつけた。

 これはネコ科動物がする親愛の情だ。魅了は上手く掛かったらしい。


「名前を付けてあげて」


 そう言うと、雅人は従魔になった迷宮タイガーを恐る恐る()でながら(しばら)く考え込み、


「ハクにしよう」


 その体毛から命名した。ホワイトよりは(ひね)っている感じかな?


「遥斗はどうするの?」


「もう少し考えさせてくれる?」


「1ヶ月後に皆と合流するまでに決めてね」


「うん」


 それまでハクに2人乗りすればいいだろう。

 さて、双子達には習得させたばかりの魔法のLv上げをさせよう。

 結界魔法と浮遊魔法のどちらがいいかな?

 逃げる手段があったほうがいいので、先に浮遊魔法にするか。

 

「2人共、今日は浮遊魔法のLv上げをしましょ。Lvが低いうちは、ほんの少ししか浮き上がらないけど上がれば高く飛べるようになるから頑張って」


 浮遊魔法は飛翔(ひしょう)魔法の下位互換だ。

 ガルちゃん達が居れば飛翔魔法を覚えさせられたけど、ここには居ないため浮遊魔法を地道に上げてもらうしかない。

 従魔にしたばかりのハクと遊びたがっている2人に向かって練習するよう言うと、興味が湧いたのか浮遊魔法を使用し始めた。

 Lv0の現在は地面から10cm浮き上がっているだけだ。

 シルバー達みたいに、空高く飛び上がれるようになるまで時間が掛かりそうだな……。

 それでも、体が浮く体験は面白いのか楽しんでいる。

 もっと早くLvを上げる方法はないかと考え、思い付いた事を実行しようと遥斗の両脇を抱え上げ飛翔した。

 勿論(もちろん)シルバーも私を1人にはさせまいと追い駆けてくる。


「えっ、何? 沙良お姉ちゃんは、こんなに高く飛べるの?」


「私は飛翔魔法を覚えているからね。手を離したら、浮遊魔法を掛けて地面に激突しないようにするのよ」


「嘘でしょ! 止めて、死んじゃうよ!」


「大丈夫、いざとなったらシルバーが助けに行くから」


「あっ、ああああああああ!」


 落下していく遥斗の姿を追って降下する。

 地表では顔を真っ青にした雅人が母を呼び、空から1人で落ちてくる息子を見て助けに行ってしまった。

 あぁ、遥斗が浮遊魔法を掛けないとLvが上がらないのに……。

 遥斗は母が成長させた植物の蔓に受けとめられ、ゆっくりと地面に降ろされる。

 見ていた私ががっかりしていたら、


「沙良、危険な事はしないでちょうだい! 何を考えているの!」


「姉さん、心臓が止まるかと思ったよ!」

 

 母に()みつかんばかりに怒られ、雅人に責められた。

 

「沙良お姉ちゃんは俺を殺す気なの?」


 半泣きの遥斗がキツイ眼差しで見つめてくる。

 どうやら命の危険を伴わせ、急激にLvを上げる方法は失敗だったらしい。

 ちょっとばかり手を離す場所が高すぎたようだ。

 3人から口々に(なじ)られている間、3mくらいならいいかな? と思っていたのは内緒にしておこう。

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。

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これからもよろしくお願いします。

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