第895話 恐竜の魔物が棲む島 双子達のLv上げ 1
※椎名 賢也 113 迷宮都市 地下12階 コカトリスクイーンの卵をUPしました。
誤字脱字を修正していますが、内容に変更はありません。
5分後、シルバーの背に乗ったまま島へ移動して直ぐに結界魔法を張り、マッピングを展開しながら召喚陣を地面に描く。
敵の存在に気付いてから島へ行く時はかなり警戒しているけど、姿が見えないといくら注意しても攻撃を避けられない。
その点では、結界魔法を習得していて良かった。魔法や物理攻撃を防げるのは便利だからね。
ここで役に立つとは思わなかったけど、もう少し結界魔法のLvを上げたほうがいいかも知れないな。
完成した召喚陣の前でルシファーを呼び出すと、2本の剣を捧げ持つようにして現れた。
「この剣は水魔法を吸収する。また、ウォーターウォールの魔法が生成される能力があるそうだ」
玄武の甲羅を素材に鍛えた剣には、やはり水に関する能力が付加されたらしい。
「ありがとうルシファー。皆の様子はどう?」
2本の剣を受け取り、家族の様子を聞いてみると、
「何やら姫が心配していた。王族がどうとか言っていたが……、問題が起こったのか?」
ルシファーが不安そうな顔をして、逆に私に聞いてきた。
どうやら召喚した双子達が王子だった事を知り、皆が心配しているみたいだ。
父から連絡がないのも、どうしたらいいか対策を練っているんだろう。
「ちょっとね……、解決策はあるから大丈夫よ。合流出来るまで何度か呼び出すと思うけど、よろしくね」
「ああ、分かった」
ルシファーが姿を消したと同時に、私もホームへ戻った。
待っていた双子達に剣の能力を話して、アイテムBOXから取り出す。
蒼光する剣は美しく、相応の力を秘めている事が窺える。
手にした剣を遥斗に渡そうとして、剣が僅かに振動している事に気付いた。
うん? 何か、電動歯ブラシみたい。
シュウゲンさんは、豆腐みたいにスパスパ切れると言っていたけど……。
「それが俺達の剣なの? 綺麗だね」
「蒼い剣は俺も初めて見る」
剣を見た双子達は、興味深そうにまじまじと見つめて手を伸ばしてきた。
早く手にしたいのだろうと思い2人に渡すと、剣を一振りして感触を確かめているようだ。
「いいね。柄が手に馴染む」
「Lv上げが楽しみだな」
玄武の剣を気に入ったみたいで、双子達はやる気になっていた。
それなら、早速魔物を出してあげよう。
新しい魔法を習得させる前に、少しLvを上げておいたほうがいい。
「ミノタウロスを2匹出すから、1人ずつ倒してね」
「ミノタウロス!? それって、ダンジョンに出現する魔物だろ!!」
雅人の声がグラウンドに響き渡った瞬間、2匹のミノタウロスが前方に現れた。
「私は手伝わないから、早く倒して」
大きな魔物を見て、固まってしまった双子達に声を掛けて背中を押す。
すると雅人が遥斗の前に出て、剣を振りかぶりながら駆け出し大きく跳躍し、ミノタウロスの首を狙った。
剣が首筋に触れたと思ったら、スッパリと綺麗に切断される。
おおっ! 剣術Lv10だけの事はあるわね。
私が感心していると、
「何だこれ! 切った感触が殆どない!!」
剣の切れ味に驚いた雅人が絶叫していた。
そうなんだよね~。シュウゲンさんが鍛えた剣は最高に切れ味がいい。
自分の腕がいいのかと勘違いしちゃうくらいだ。
雅人が魔物を簡単に倒したのを見た遥斗が、もう1匹のミノタウロスに向かって走り出す。
そして雅人と同じように、首を切断して倒した。
「沙良お姉ちゃん。この剣、凄いね~。王宮の宝物庫にある武器みたい」
うん。間違いなく、それ以上に高価な武器だよ。
「遥斗も雅人もやるじゃない。次は魔法の習得だよ。魔物から魔法を受けて覚えてね」
「姉さん、魔法は魔術書がないと覚えられないよ。ボール系以外の魔術書は、王子だった俺達にも入手出来ないくらい貴重なんだ」
「大型ダンジョンの宝箱で、まれに出るくらいの品物だよ?」
「あ~、私が召喚した人間は魔物から魔法を受けるだけで習得可能なのよ」
「嘘でしょう!?」
「やっぱり、姉さんの与えられた能力だけおかしい……」
「まぁまぁ、覚えて損はないんだし、魔法を避けずに習得しなさい」
双子達を召喚した時のために、アイテムBOXに収納していた魔法を使用する魔物を出して様子を見る。
怪我をしたら、ヒールで治してあげなくちゃ。
2人は魔法を体に受ける事に抵抗があったみたいだけど、逃げずにその場で踏みとどまりサンダーボールを受け顔を顰めていた。
ちょっと痺れたくらいだと言うので、治療はせず続けて魔物を倒してもらう。
「ステータスを確認してみて?」
「本当にサンダーボールを覚えてるよ!」
遥斗はステータスを見てニコニコ笑い、雅人は考え込むように押し黙った。
「危険だな……」
暫くして、ぽつりと呟き天を仰ぐ仕草をする。
雅人が何を危惧しているか分かるけど、私が召喚出来る人間は地球人だけだ。
異世界人には当て嵌まらない。例外は、地球から異世界に転生か転移した人物だけだろう。
「さあ、次々行くわよ」
私は雅人の肩を叩いて気合を入れさせ、次の魔物を出した。
2時間後、現在習得可能な魔法を全て覚えた2人はステータスを見て感動している。
「こんなに沢山の魔法があったんだ」
「教会が知ったら、間違いなく違法行為として捕まりそうだけどな」
「ちなみに、魔法を行使する時の呪文は?」
「それね、何も必要ないわよ。魔法はイメージ通りに出てくるから、ボール系もアロー系もニードル系も大した違いはないの」
試しに、双子達の前でアースボールを使用して大きな壁を出して見せる。
「「アースボールじゃない……」」
「ね? イメージが重要なのよ」
「今まで習った魔法の知識は何だったんだ……」
雅人が遠い目をしながら現実逃避している間に、遥斗はアースボールで石像を作り出す。
少し不格好だけど、その像は生前の雫ちゃんの姿に見えた。
「魔法って、色々な事が出来るんだね。この剣もいいけど、魔法のLvを優先して上げようかな~」
単純な遥斗は、イメージ通り魔法が使えると分かって剣術より魔法に興味を持ったらしい。
「最後に、とっておきの魔法の使い方を教えてあげる。魅了魔法を覚えたでしょ? 何と、魔物に魅了魔法を掛けるとテイム出来るの!」
性別変化していた双子達は、ネイトメア(男性体)から魅了魔法を習得出来たのだ。
これは、あとで樹おじさんにも教えてあげよう。
女性になっている今なら、魅了魔法が覚えられるだろう。
テイム魔法は、かなり特殊らしいから嬉しがると思ったのに、双子達の反応が薄い。
「はぁ~、姉さん。魔物のテイムが、そんな方法で出来るわけない。テイム魔法は、血統魔法として秘匿されてるんだ」
「シルバーは私が魅了したのよ?」
私の傍にいる従魔を見て、
「「まさか……」」
双子達が目を瞠る。
「それに、魅了を覚えられるのは女性だけなんだから、性別変化の魔法があって良かったでしょ? 何の魔物をテイムしたいか考えておいてね」
「嘘だろう……」
私に頭を撫でられ尻尾をフリフリさせているシルバーを見遣り、雅人が唖然と呟き、遥斗は理解が追いつかないのか目をぱちくりさせていた。
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