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第376話 迷宮都市 香織ちゃんの相談

誤字脱字等を修正していますが、内容に変更はありません。

 私は身支度を済ませて、安全地帯の兄が居る方のテント内に移動した。


 なんと兄はマジック寝袋に入っておらず、フォレストのお腹で寝ていた!

 フォレストが布団代わりに長い尻尾を兄の体に巻き付けてあげている。


 テントに入ってきた私に気付いて、フォレストが顔を上げた。

 動かないように言い聞かせ、喉の辺りを()でてあげると目を細めて喜んでいる。

 一応、まだご主人様だと思ってくれているらしい。


 私は無防備に寝ている兄を驚かせないように、スマホを取り出してクラシック音楽を耳元に当て小音で流した。

 

 1分後、兄の目が開き目覚めて私を見る。


「沙良、今日は寝起きドッキリの心算(つもり)か?」


 7時頃に起こしに行くと兄も旭も既に起きているので、寝ている姿を見る事は休日に一緒に寝ている時だけだ。


 兄は、いつもより私が起こす時間が早いと気が付いたんだろう。


「朝早くからごめんね。ちょっと相談したい事があって、今から自宅に行ってもいい?」


「お前から相談なんて言われると、嫌な予感しかしないんだが……。まぁ、起きたからいいぞ。コーヒーを()れておいてくれ」


 兄から同意を貰って自宅に移動する。

 朝は必ず寝起きにコーヒーを飲む兄のために、既に準備してあったコーヒーメーカーのスイッチを入れた。


 トイレと洗顔を済ませて兄がリビングにやって来ると、私は淹れたてのコーヒーを出して話を切り出す。


「お兄ちゃん。信じられない話かも知れないんだけど、妹の香織(かおり)ちゃんがこの世界で生きてる気がするの」


「まず、どうしてそう思ったのか理由を言え」


 兄は私の言葉を否定せず、一旦(いったん)話を聞くスタンスのようだ。

 一笑に付されていたら、がっかりする所だったよ。


「あのね、ここ最近香織ちゃんの夢を見るの。勿論(もちろん)、私は生まれなかった香織ちゃんに会った事はないんだけど、何故(なぜ)か夢で見ているのは香織ちゃんだと思うの。その内容もちょっと可哀想(かわいそう)で、誰かに虐待されているみたいなんだよね……」


「お前の根拠は夢で見たからか? 信じるには程遠い内容だな。願望がそういう夢を見させている事もある。他には何かないのか?」


「う~ん、どうやって言ったらいいんだろう。私が見ている夢は、香織ちゃんが体験した時の想いで周囲の景色とかは全然見えないの。しかもランダムで、時系列はバラバラだった。あっ、どうも日本での私達の様子を香織ちゃんも夢で見て知っているみたい。お兄ちゃんや私達の名前を呼んでいたし……」


「それだけじゃ、香織が異世界に転生していると確証がない。夢で住んでいる場所とか言わなかったのか?」


「う~ん、今まで見た夢の中で地名が出てきた事はなかったよ」


「香織は何歳くらいだった?」


「まだ小学生の高学年って感じかな~」


「香織が転生したなら、47歳くらいにはなっていそうなものだが……。サヨさんみたいに、地球と時間軸がズレている場合もあるか。正直、内容を全面的に信じる事は出来ない。けど、お前が俺に相談を持ち掛けたのなら何か感じる所があるんだろう。夢を見て、どうしたいんだ?」


「香織ちゃんね、虐待されているって言ったけど、誰かに食事を抜かれて叩かれているみたいなの。父親は助けを求めても気が付かないバカ親みたいだから、探し出して連れ帰ろうと思ってる。もうすぐ両親も召喚するし、一緒に暮らしたい」


「虐待が本当なら、異世界に児童相談所はないから連れてこようとするのも分かるが……。沙良、それは誘拐だ。もし香織を見付けたら慎重に動く必要がある。早計な判断をするんじゃないぞ? まずは、居場所を突き止めてからだ。それが判明しない事には動きようがないからな」


「うん、分かった。また夢を見たら、お兄ちゃんに相談する。香織ちゃん、最後に鰻を食べたがってたから今から沢山蒲焼を焼いておくね!」


「異世界には無い食べ物だからな。本当に香織が異世界で転生しているなら、両親はとても喜ぶだろうし会いたいと思う(はず)だ。夢の内容を忘れないように注意しておけよ」


 そう言って兄は席を立ちTVを付けた。

 朝はニュース番組を1時間程見るのがルーティンだ。


 私はその間に朝食の準備をしよう。


 香織ちゃんの事を兄に相談出来たので、ここ最近もやもやしていた悩みがすっきりした。

 朝早く起こしてしまった兄のために、ちょっと一品多く作ろうかな?


 法蓮草(ほうれんそう)のバター(いた)め・肉じゃが(肉増量)・ネギ入り卵焼き・蓮根(れんこん)のキンピラ・長芋の短冊・なめこの味噌汁。


 準備が出来たので兄を呼ぶと、旭が居なかった!

 テントから回収するの忘れてたよ。


 トイレは大丈夫だったかしら?

 何故(なぜ)か旭は異様にトイレに(こだわ)りがあるらしく、安全地帯のトイレでは絶対しない。


 ヤバイと思って直ぐにテント内に移動すると、旭が半泣きになっていた。


「沙良ちゃん遅いよ~。俺の事、忘れてたんじゃない?」


「ごめん、うっかりしてた!」


(ひど)い! あ~もう漏れそうだから、早く移転して~」


 おっと、テント内で漏らされるのは困る。

 ここはシルバーの家だからね。


 希望通り直ぐに自宅に戻ってくると、旭はトイレに直行していた。

 兄も恋人が居ない事を教えてくれればいいのに。

 いつも一緒にTVを見てるんだし……。


 トイレから出てすっきりした旭が、テーブルの上に並んだ朝食を見て目を輝かせる。

  

「あれ? 今日の朝食はいつもより豪華(ごうか)だね? 何かあったの?」


「昨日夕食作れなかったから、多くしただけだよ。さっ、席に着いてご飯食べよ!」


 兄の説教が長くて夕食を作れなかった事を思い出して、適当に言い訳しておいた。

 兄達は昨日何を食べたのか知らないけど。

 

「頂きます!」


 朝から元気の良い旭が、肉じゃがの()から(はし)をつける。

 汁物から先に食べる習慣はないようだ。


 私と兄は、なめこの味噌汁から頂きます。

 なめこのちゅるんとした食感が楽しい。


 今日の午後は、ゲームに使用する丸椅子を作る予定でいる。

 ウィンドボールを駆使(くし)して作れば、形にはなるだろう。


 工作は得意な方だったしね~。

評価をして下さった方、ブックマークを登録して下さった方、いいねを押して下さった方。

読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


応援して下さる皆様がいて、大変励みになっています。

これからもよろしくお願いします。

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