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第340話 迷宮都市 五目あんかけうどん

 突然の母子の再会があり就業員が1人居なくなってしまったけど、今居る9人に編んでもらったセーターを手渡していく。


 事前にサイズを測っておいたので、着る事に問題は無いだろう。


「オーナー。手編みのセーターって……、ここに居る御婦人たちが編んでくれたんですよね?」


「ええ、そうよ。皆さんお礼を言って下さいね。色も希望通りにしてもらったし、編み物上級者の作品だからサイズもぴったりだと思うわ。良かったら、一度着た所を見せてくれるかしら?」


「あぁ、やっぱりそうなんだ……。皆さん、私達のために編んで下さりありがとうございます。大切に着させてもらいます」


「ありがとうございます!」


 リーダーのバスクさんがそう言うと、全員が一斉にお礼を言って頭を下げた。

 その後、私の希望通りセーターを着て見せてくれた。


 うんうん、とても素敵だわ。

 皆、似合ってる。


 老婦人達も、自分の作品を実際に着てもらった姿を見て嬉しそうだ。

 

 人数が多くお礼の『五目あんかけうどん』は、1階の店舗では全員が食べる事が出来ない。

 一旦(いったん)、従業員達には部屋に戻ってもらう事にした。


 老婦人達と従業員達の分は今朝製麺した物を使用するので、『五目あんかけうどん』に必要な材料を刻んでいく。


 オーク肉・マジックキノコ・人参・白菜・玉ねぎを一口大にカット。

 麺つゆを3倍に薄めた物に、カットした材料を入れ沸騰(ふっとう)させる。


 火が入ったら水溶き片栗粉を入れてとろみをつけ、()で上がっているうどんに掛ければ完成。


 非常に熱いので、取り皿に分けて食べて下さいと注意をしておいた。

 初めて食べるあんかけは、知らないと火傷しそうだからね。


 老婦人達は『肉うどん』を食べた事があるようで、何と全員がお箸を使用していて驚いた。

 まぁ『うどん』はフォークじゃ食べ辛いだろう。


 私的には『七味』を入れたい所だけど、香辛料系はOUTの気がするので出すのは止めておいた。


「まぁ、とっても優しい味がするのね。それに体が温まるわ。このとろっとした所も良いし」


 老婦人達は主婦目線で、とろみの材料を推測しているようだ。

 商売人の奥方をしているだけあって、直接私に聞くのはタブーだと知っているのか質問はされなかったけど……。


「この『五目あんかけうどん』は、お店では出さないのかしら?」


「冬季限定で『ミートパスタ』の代わりに販売しようと思っています」

 

 新しいメニューの感想を貰いたかったんだよね~。

 そうすればお礼も兼ねて、一石二鳥(いっせきにちょう)だし!


「それはいいわね! 販売されたら、是非(ぜひ)食べに行きたいわ」


「私も食べに行きます。さっぱりして食べ(やす)いし、何度でも食べたくなる味ね」


 と嬉しい事を言ってもらえた。

 

 よし!

 手応えは充分だ。


 本当は生姜の入った具無し『あんかけうどん』も『かき玉あんかけうどん』も良いと思うけど、生姜はまだ異世界で見付けてないし、卵は1個200円と高価な材料になってしまうからね。


 卵だけ別で追加注文出来るようにした方が良いかな?

 利益も考えると追加料金は1個500円くらいが妥当(だとう)か……。


 稼いでいる冒険者は追加注文してくれるだろう。

 生姜も欲しいなぁ~。 


「私達、本当に編み物教室を開いてもらって感謝してるんですよ。これからもお邪魔して良いかしら?」


「ええ、勿論(もちろん)です。うちの従業員に編み物を教えて下さって、こちらこそありがとうございます。これからもよろしくお願いします」


「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいわ。皆さん暇を持て余している人ばかりですから、同じ趣味の人達と交流する場が出来て本当に助かっています。オーナーさんが作ってくれる、お菓子も楽しみにしてるんですよ」


 おっと、私が作ったお菓子は人気らしい。

 食べ終わった老婦人達にお礼を言い、店の外まで見送る。


 今回は本当に助かった。

 私と母親達だけでは、冬支度は間に合わなかったと思う。


 来年は手袋と靴下をプレゼントする予定だから、またサヨさん達にお願いしないと……。

 5本指の物は、腹巻を編むより手間がかかるからね。


 私は羽毛布団のために、コカトリスを狩りまくらなきゃ!


 さて、先程の親子はどうしているかしら? 

 店舗の外の庭を(のぞ)いてみると、連れ出された従業員は母親に抱き締められている所だった。


 息子から何年も連絡が無いままで、母親は随分(ずいぶん)心配していた(はず)だ。

 片腕が無くなってしまった事を知って、胸が潰れる思いをした事だろう。


 無くなってしまった方の肩を何度も触って涙を(こぼ)している。

 従業員はそんな母親を見て、何も言えないでいた。


 息子が50歳を過ぎていても、親にとっては幾つになっても子供なのだ……。  


 日も落ち少し寒くなってきたから、私は店の中に入ってもらおうと声を掛けた。

  

「すみません。お礼に『五目あんかけうどん』を食べて欲しいので、お店の中に戻りませんか?」


「あぁ、ごめんなさい。心配していた息子に会えたので、失礼な態度を取ってしまって……。ほら、行くわよ」


 今度は無事な方の手を握って、老婦人は息子と一緒に店内に戻っていく。

 うちの従業員は、私達に見られて少し恥ずかしそうだった。

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


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これからもよろしくお願いします。

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