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第336話 迷宮都市 『浦島太郎』の演劇 1

 アマンダさんパーティーの『うさぎと亀』の上演&剣舞の披露(ひろう)に加えて、旭の剣舞が終わると一旦(いったん)休憩。


 業務用寸胴鍋に準備しておいた、ハニービーの蜂蜜入り紅茶を子供達に配り水分補給だ。

 甘い飲み物は滅多に飲めないので、木のコップに入った紅茶を両手に持ってゆっくり飲んでいる。


 小さな子供達が火傷をしないように、年長者がふぅ~ふぅ~と息を吹きかけて冷ましてあげている姿に癒された。


 もう立派なお兄ちゃん、お姉ちゃんだね!


 観客の冒険者達とサヨさん達にも、紅茶を飲んで一息吐いてもらおう。

 皆が、先程見た劇と剣舞の感想を言っている。


 アマンダさんは、パーティーメンバーが披露(ひろう)した剣舞の駄目出しをしていた。

 私には、何処(どこ)に問題があったのかさっぱり分からないけど……。


 命を預かるクランリーダーから見た視点は違うんだろうな。

 普段とは違う、その厳しい表情に私は冒険者の真髄(しんずい)を見た気がした。


 やはり一流と言われる職業の人は、努力と向上心が半端無い。


 その点、私達3人はちょっとダンジョン攻略をお気楽に考えすぎていたのかも知れないなぁ。


 少し反省しよう。


 ケンさんが、旭の(そば)まで来て先程の剣舞を()めてくれていた。

 旭は()められて照れているのか顔が真っ赤だ。


 注目される事に慣れていないから、恥ずかしいみたい。

 ケンさんが称賛の言葉を掛けると、他の冒険者も次々と旭の周りを取り囲み絶賛し始める。


 中には、どさくさ紛れに体に触れる人達も居て旭がとても困っていた。

 そしていつものように、『ヘルプミー』と口の動きだけで私達に助けを求める。


 それを見て、兄がやれやれといった感じで冒険者達から救い出してあげていた。

 本当にもう、いつになったらちゃんと自分で対処出来るようになるんだか。


 人と争う事が苦手な旭は、NOと言えない日本人そのものだった。

 嫌な事は、はっきり断らないと貞操の危機を迎える事になるわよ?


 異世界で旭は大人気なんだからね!


 兄が連れ出した旭に、お小言を言っている。

 体中触りまくられた旭は既に涙目の所に、兄から怒られてシュンとしてしまった。


 しっかり反省して下さい。

 毎回、タイミング良く助けられる訳じゃないんだから自衛する事は大事よ。


 30分程、休憩をしたら第2部の上演開始だ。


 浦島太郎役は勿論(もちろん)ダンクさんが演じる。

 今回は乙姫様をリリーさんが演じるので、前回の『赤ずきんちゃん』よりはましな物語になる(はず)だ。


 舞台の袖に設置されたテントの中で、リリーさんと扇舞用の衣装に着替え出番が来るまでスタンバイする。


 そして上演が始まった。


 ここにもサプライズでタートルを出す。


 3mの大きな亀を虐めるシーンは、なんだか虐めるというより討伐のような雰囲気になってしまった。

 そりゃそうか、自分より大きい相手を虐めようとする人間はいないだろう。


 討伐されそうになっている亀を、浦島太郎が助け出す。

 

「おい、こいつは魔物じゃない。ただの海亀だ。可哀想(かわいそう)だから、生かしておいてやれ」


「助けて頂いてありがとうございます。お礼に竜宮城までお連れしますので、背中に乗って下さい」


 タートルに隠れて、メンバーが声をアテレコしている。


「また(しゃべ)る亀かよ~。最近は、奇妙な生き物が多いな。ちょっと胡散臭(うさんくさ)いけど、招待してくれるって言うなら竜宮城とやらに連れていってくれ! あぁその前に、勝手に居なくなると母さんが心配するから連絡してくるわ」

 

 すみません、童話では動物たちが話すのはデフォルトです。

 そこは言及(げんきゅう)しないでもらえますかね……。


 あのぅ、母親の出番なんて無かった(はず)なんですが……。

 メンバーが(あわ)てて母親役を買って出る。


「母さん、何か亀を助けたら竜宮城に連れてってくれるらしいんで今から行ってくる」


「まぁそうなのかい? 気を付けていっておいで太郎。帰りは何時になってもいいから、楽しんでくるんだよ」


「あぁ、楽しかったら(しばら)く帰ってこないかも知れない。ちゃんと飯食って元気でいろよ!」


 そう言って、浦島太郎は母親に別れを告げた。

 何このくだり……。


 確かに報連相は大切な事だけど、嫌な予感しかしない。


 二度と戻らない事が前提になってませんか?

 いやいやちゃんと戻って、玉手箱を開けお爺さんになって下さい。


 じゃないと、このお話の教訓がなくなってしまうじゃない!


 そして浦島太郎は、亀の背に乗り竜宮城に到着。


 竜宮城では綺麗な衣装を身に(まと)った乙姫様が出迎えてくれた。

 ここでリリーさんが初登場する。


 観客の冒険者や子供達が、見た事もない衣装に驚いて(ざわ)めき立っていた。

 特に女性冒険者達の視線が(すご)い。


 亀を助けたお礼にと、乙姫様は宴会の準備をして浦島太郎を持て成し始めた。


 豪華な食事(本物を用意。リアリティーが必要だと言って、リリーさんに色々作ってもらったらしい)と酒(これも本物)に舌鼓(したつづみ)を打ち(本当に食べていた……)ほろ酔い気分になっている頃に、私達2人の扇舞の披露(ひろう)だ。


 さぁ出番よ!

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


応援して下さる皆様がいて、大変励みになっています。

これからもよろしくお願いします。

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