椎名 賢也 124 迷宮都市 地下13階 森の果物 1
誤字脱字を修正していますが、内容に変更はありません。
月曜日。
冒険者ギルドで地下13階の地図(金貨1枚・銀貨30枚)を購入し、常設依頼を確認する。
【ダンジョン地下13階 常設依頼 C級】
癒し草10本 銅貨1枚
魔力草5本 銅貨1枚
コボルト1匹 銀貨2枚(魔石)
ハイコボルト1匹 銀貨4枚(魔石)
キラービー1匹 銀貨5枚(魔石)
ハニービー1匹 銀貨20枚(魔石・本体)
フォレストディア1匹 金貨5枚(魔石・本体必要)
迷宮サーモン1匹 金貨5枚(魔石・本体必要)
迷宮ピーコック1匹 金貨5枚(魔石・本体必要)
魔物の名前を見る限り、手強い相手じゃないな。
特に問題なさそうだとダンジョンへ行き、地下13階まで駆け抜けた。
アマンダさんから聞いた通り、地下13階も森のダンジョンになっていた。
地下20階までは森のダンジョンが続くらしい。
安全地帯に到着すると、ダンクさんとアマンダさんのパーティーが居る。
2パーティーは、引き続き俺達と同じ攻略階層に移動していた。
他の5パーティーは悩んでいるようだったが、元々地下10階を拠点とする冒険者だ。
3階層も違うと魔物の強さが格段に上がるため、付いてくるのは難しいだろう。
今日は初見の魔物ばかりなので、薬草採取はせず攻略を始める事にする。
安全地帯を出て初めて会敵したのはコボルトだ。
2足歩行した犬の魔物で体長は1.5m。
ゴブリンより動きが素早く、犬歯が異常に発達している。
噛まれたら、体の一部が引きちぎられそうだな。
コボルトが襲い掛かってくる前に沙良がドレインで昏倒させ、脳を石化した。
換金出来るのが魔石しかないため、俺が魔石を取る。
ハイコボルトは体長2mで、コボルトより背が高く尻尾が長い。
目が茶色だったコボルトと違い、赤みを帯びていた。
こちらも沙良がドレインで昏倒させ、脳を石化する。
魔石取りは旭に任せて、俺と沙良は周囲を警戒するためその場で待機していると、どこからかブーンという羽音が聞こえてきた。
音がする方向に顔を向けると、キラービーの集団が目に映る。
体長2mある蜂の魔物は集団行動を取るらしく、常に6匹で移動しハニービーを守っているそうだ。
尻から突き出た針で刺されると、麻痺状態になるので注意が必要だとアマンダさんが教えてくれた。
飛ぶ魔物は厄介だが、沙良がドレインを掛けると地面にボトボト落ちてくる。
動かなくなったキラービーを沙良は槍で突き、止めを刺していた。
残ったハニービーは体長3mで、キラービーより一回り大きい。
これだけでかいと蜂の姿に恐怖を覚えるな。
妹は気にせず昏倒させたあとで槍を突き刺していた。
そして当然、魔石取りは俺と旭の仕事だった。
この階層は魔石取りが必要な魔物が多い。沙良は、いつになったら自分で出来るようになるのか……。
ハニービーの体内にある蜜袋からは蜂蜜が採れるらしく、大変高価なものだと聞いて沙良が嬉しそうにしていた。
換金しないで食べてみようと思っているんだろう。
それから移動して、フォレストディアを探しに行く。
マッピングを見ながら進む沙良の後を追いかけ、鹿の魔物を見付けた。
体長3mあるフォレストディアには立派な角があった。
この個体は雄なのか? 雌には角がなかった筈だが、動物と魔物の生態は違うかもしれない。
沙良が昏倒させ、血抜きのために首を槍で突き刺す。
「お兄ちゃん、鹿肉って食べられるの?」
「あぁ、臭みもないし美味しいぞ」
妹は鹿肉の味が気になるようで、「ふ~ん」と言いながら角をちょんちょんと突いていた。
フォレストディアの角は薬の材料になるため、その換金額の殆どは角が割合を占めているそうだ。
鹿の頭から剥製を連想した妹が、壁に掛けない事を願おう。
更に森の奥へ進み、迷宮ピーコックと会敵した。
体長3mある孔雀が大きな羽を広げて突進して来るが、これは俺達に求愛行動しているわけじゃなく、威嚇しているんだろう。
沙良が昏倒させ槍で突き刺し倒してしまったので、俺と旭の出番がない。
俺達は魔石取りしかしていないんだが?
綺麗な孔雀の羽は貴族が服飾品に使用するので、人気があるんだとか……。
これも雄だと思うが分からんな。
最後に迷宮サーモンを狩りに、森の西側に流れている川へ向かう。
森のダンジョンに魚の魔物が居るのを不思議に思っていたが、川の中に生息する魔魚らしい。
かなり移動した先で、森が突然開けた場所に大きな川があった。
川幅は10mくらいあるだろうか?
水中にいる魔物なので、浮き上がってこない限り姿は見えない。
慎重に俺達が川縁に近付いた途端、迷宮サーモンからアイスニードルの魔法が飛んでくる。
事前にアマンダさんから魔法を使用する事を聞いていた俺は、避けずにアイスニードルを体に受けて魔法を習得した。新しい魔法を覚える機会を逃す手はない。
その後、水面下にライトボールを撃ち瞬殺する。
浮き上がってきた迷宮サーモンの体長は3mあり、堅い鱗に覆われていた。
口には鋭い歯が並んでおり、大きさからシャチを思い起こす。
沙良と旭がアイスニードルを習得した後、安全地帯に戻った。
昼食のお弁当を開けると、エビマヨ、ツナ入り卵焼き、小松菜の中華炒め、ピリ辛クラゲが入っている。
エビマヨを一番に食べた旭が、妹にもっと欲しいと強請っていた。
仕方ないな~という表情で沙良がエビマヨを追加するのを見ながら、俺はじゃが芋の味噌汁を飲む。
うん? 俺にはくれないのか?
何も言わず沙良をじっと見つめると、察した妹がエビマヨを2個くれた。
増えたおかずに満足して、お腹を満たした。
食事を済ませ、2回目の攻略を開始する。
初見の魔物は全て倒したので、今から各自で果物を探す事になった。
マッピングを展開した沙良は、もう見付けたのか走り出していく。
俺は周囲を注意深く警戒しつつ、頭上を見上げながら移動する。
暫くすると、3m程の木の高さに紫色をした何かを発見した。
ライトボールで枝から切り落とし受け止めると、ずっしりとした重みのある艶々したぶどうだった。
地下13階に生る果物は、ぶどうだったか……。
味は嫌いじゃないんだが、皮を剥くのが面倒なんだよな。
紫色をしているから巨峰かピオーネだろう。
これがシャインマスカットなら、皮ごと食べられたのに……。でも妹は好きそうだ。
生っているなら採取しておこう。
桃を探しながら、襲ってくる魔物を倒し2回の攻略を終える。
安全地帯に戻ると、沙良が夕食の準備を始めた。
ダンクさんのパーティーは、チーズフォンデュをするようでリリーさんがチーズを取り出している。
アマンダさんのパーティーは、ケンさんが卵とチーズを用意しているのでチーズオムレツだろう。
俺達のメニューは、ナン、焼肉、キッシュか。多分デザートは今日採取した、ぶどうだな。
3パーティーのメニューが、それぞれ違っているのは沙良の食事改善が進んだ証拠だ。
俺達だけ美味しい料理を食べるのは心苦しいので、今後も沙良の作った料理を真似してほしい。
ナンに焼肉を挟んで食べるのが、結構美味い。
玉ねぎ、じゃが芋、チーズの入ったキッシュは3等分なので、量があり腹が膨れる。
食後に沙良がぶどうを出して、2パーティーに2房ずつ渡していた。
「おっ、ぶどうじゃないか! この階層で見付けたのかい?」
果物好きなアマンダさんが、ぶどうを摘みながら頬を緩ませる。
ダンクさんのパーティーメンバーは、ぶどうを初めて見たのか食べ方が分からないようだ。
庶民が口にする機会はない果物なんだろう。それを知っているアマンダさんの出身が気になった。
沙良が皮を剥いて食べて見せると、ダンクさん達も同じようにして口にする。
「地下13階には、ぶどうが生ってるみたいです。森のダンジョンは素敵ですね~」
毎日取り放題の果物が生るので、沙良は機嫌よく答えていた。
俺と旭は食べ難いぶどうの代わりに、みかんを食べる。
「こりゃ甘いなぁ。しかし手はベタベタになるし、指先が紫色に染まるのは難点だ」
「じゃあ、私が食べますよ!」
ダンクさんが文句を言うと、横からリリーさんがぶどうを房ごと奪ってしまう。
そんな遣り取りを微笑ましく見ていた沙良は、桃のように賭け事を始めない彼らにほっとしているようだ。
人数が少ない所為か、ランダムに生る果物ではないからか、とにかく賭け事をしないでくれるのは助かった。
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