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椎名 賢也 106 迷宮都市 地下12階&地下10階 魔物のテイム 2

誤字脱字を修正していますが、内容に変更はありません。

「沙良。テイムしたのはいいが、どこで飼うんだ。それに連れ歩いたら目立って仕方ない」


 妹が魔物をテイム出来たのは予想外だ。

 俺は当面の問題に関して口を開き、(たず)ねる。


「う~ん、そこは考えてなかった。ホーム内に放し飼いとか? 自宅から半径27km行動出来るし、ダンジョンより広いから大丈夫だと思う。しかもMPを消費するなら、私の魔力で(えさ)も不要じゃないかな~」


「だったらホームへ連れて行け。このまま一緒に攻略するのは無理だ」


「了解!」


 元気良く返事をした沙良の姿がシルバーと共に消えた。

 まぁ、ホーム内で飼う分には問題ないか……。

 しかしテイムするのにMPが常時100消費されるなら、簡単にテイムさせるわけにはいかない。

 沙良は自分の残りMPを把握せず、好きな魔物をテイムしそうだ。


「魔物を魅了(みりょう)でテイムするなんて驚いたよ! 俺達は覚えられない魔法だから、テイム出来ないのが残念だね」


「ナイトメアの女性体がいないからな。テイム可能なら、俺も欲しいんだが……」


 旭の言葉に返事をして考え込んでいると、

 

「賢也は猫派だから、虎やライオンが欲しいんでしょ? 俺は犬派だから、シルバーウルフでいいな」


 考えていた事を当てられ、苦笑する。


「テイム魔法以外で魔物をテイム出来るなら、他にも方法があるかも知れないぞ?」


「そうだよね! (なつ)かせればテイム出来るかなぁ~」


 俺達が魔物のテイムについて話している間に、沙良が戻ってきた。


「シルバー、私の言葉が分かるみたい!」


 興奮状態で口を開く妹を生暖かい目で見つめながら、テイムした魔物と意志の疎通(そつう)が図れるのかと感心する。


「大丈夫。お世話は私がするから」


「あんまり、むやみやたらにテイムするなよ。特にマジックキノコは止めてくれ」


 先立って妹がしそうな事を牽制(けんせい)すると、


「う、うん」


 驚いた表情を見せ、何とも心許ない回答が返ってきた。


「いいか、やるんじゃないぞ。分かってるな?」


「それって……」


フリ(・・)じゃないから勘弁してくれ」


「分かりました。しません」

 

 更に念を押し、マジックキノコをテイムするのを(あきら)めさせる。

 何の役にも立ちそうにないマジックキノコをテイムするのだけは、阻止しなければ。

 可愛いという理由だけで、限りのあるMPを消費させるのは愚かすぎる。

 その後、2回の攻略を済ませ安全地帯に戻った。


 今夜は皆の前でバーベキューを披露(ひろう)するらしい。

 沙良がまだ食べた事のない13パーティーにバーベキュー台をプレゼントして、火をつけるようお願いしてきた。

 俺と旭は13台のバーベキュー台の炭に火をつけ、食材を網の上で焼く料理法だと教えてまわった。

 沙良が気を利かせて、各料理担当者に胡椒(こしょう)の入った小瓶を渡していたから、焼肉のタレがなくても肉は美味しく食べられるだろう。


「肉だけじゃなく、野菜も焼いて食べてみて下さいね。特にマジックキノコやじゃが芋は、お勧めですよ」


 地下10階に出現するマジックキノコは全てのパーティーが倒していたようで、沙良の言葉を聞いた料理担当者がマジックバッグから取り出して食べやすい大きさに切り出す。

 そして、何から焼くか相談を始めた。

 俺達もバーベキューの準備をして、網に食材を()せる。

 肉やにんにくが焼ける匂いが周囲に漂い始めると、冒険者達は(はし)を手に取り、口に運んだ。

 

「おおっ、マジックキノコがこんなに美味しいなんて! 焼くと香ばしくなるんだな!」


「玉ねぎは甘いし、じゃが芋はホクホクしてるわ!」


 食べた冒険者達の口から、高評価が飛び出す。

 地下10階の冒険者達にも、バーベキューは好評のようだ。

 新しい料理法を披露出来た事で満足したのか、沙良は得意気に胸を張っていた。

 皆が食事を終える頃、沙良が地下12階で採取したみかんを全員に配り、


「みかんの皮は油汚れを落とすのに使うといいよ」

 

 ちょっとした豆知識を教えている。

 洗浄力が強い洗剤なんかは異世界にないだろう。

 みかんの皮を再利用する案は、冒険者にとって良い情報だ。

 沙良が実際にバーベキューで使用した網をみかんの皮で掃除して見せると、冒険者達はそれを真似て汚れが落ちる事を確認していた。


 ホームに戻ると、沙良が自宅から俺達を追い出し階段を駆け下りる。

 どうやら、テイムしたばかりのシルバーの様子が気になるらしい。

 俺と旭は部屋に入らず、沙良達を上から見る事にした。

 シルバーは大人しく駐車場で待っていたようで、お座りしている。

 沙良が走ってシルバーのもとに行き頭を()でると、嬉しそうに尻尾を振っていた。

 魅了されているからなのか、妹の事を主人だと認識しているみたいだ。

 

「シルバー、私を背中に乗せてくれる?」


「ウォン!」


 シルバーは本当に沙良の言葉を理解しているようで、伏せの状態になり背中に乗せた。

 そのままゆっくりと歩き出す姿を見て、騎獣に丁度いいなと感想を抱く。

 乗り心地の悪い馬車で移動するより楽そうだな。

 そこまで見て部屋に戻った。


 翌日も地下12階の安全地帯にエンダ達が居たため、果物の採取だけをする。

 みかんを探しに行った沙良がなかなか帰ってこないんだが……。

 いやな予感がして頭が痛くなった。

 1時間を優に過ぎて戻ってきた妹を、じっと(にら)みつける。

 さぁ、何をしてきたかキリキリ吐け!

 鋭い視線を受けた沙良は吹けない口笛を吹く振りをして誤魔化そうとしたが、俺が何も言わずに黙って両手を組んだ姿を見て、観念したように口を開いた。


「テイム魔法で何が出来るか実験してました……。だってほら、能力を確認しないといけないでしょ? それでね、(おす)はテイム可能だけど(めす)は出来ない事が分かったし、コカトリスの卵は魅了が効かなかったの」


 半ば涙目で言い募る妹に接近し、怒っていると分かるよう顔を近付ける。


「全くお前は、目を離すと(ろく)な事をしないな」

 

「色々調べてみないと何かあった時に困るでしょ? シルバーだって一匹じゃ寂しいだろうし」


「テイム魔法を調べるのはいいが、どうせマジックキノコもテイムしてみたんだろう?」


 なおも言い訳を始める沙良に予想していた事を聞くと、


「あ~それは、どうやら無性のようでテイム出来ませんでした……」


 明らかに動揺して目を伏せた。


「はぁ~、これからはテイムする前に相談をしろ」


「はい、そうします」


 ちなみに沙良に確認したところ、消費したMPは回復しておらず、テイムには常にMPが必要だと分かった。

 通常魔物同士は交戦せず、人間を食べたりもしない。

 何を(かて)に生きているのか不思議だったが、やはり魔力だったようだ。

 これは俺の予想だが、テイムされた魔物は主人が息絶えたら一蓮托生(いちれんたくしょう)で同時に死ぬんじゃないだろうか?

 まぁ、沙良が勝手にテイムしないよう目を光らせておこう。

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。

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