悪役令嬢は流される1
きらきらとせせらぐ川に裸足になった足をじゃぽっと浸ける。ひんやりと気持ちがいい。貴族のお嬢様が裸足になるなどもっての外と言われそうだがここにうるさく言うやつはいない。何か言いたげな妹が岸辺に立っているが私は気にしないのだ。それよりも。
「ルーナもおいでよー。気持ちいいよー」
おいでおいでと手招きするが彼女は眉を寄せる。
「お姉様、はしたないわ」
「えー。誰もいないしおいでよー」
再度誘えば困ったような顔を見せた後岩に腰掛け裸足になると近くへやってきた。
「石に気をつけてね」
「大丈夫ですわ」
あ、ちょっとだけ浮いてる。これならば尖った足を踏んで悶絶することもないな。なお良いツボ押されて涙目になったのは内緒である。
ルーナはドレスの裾をたくし上げちゃぷりと足をつけた。
「悪くないわね」
ルーナが呟いた。水の流れは緩やかで水深も浅い。白い足が艶めかしい。岩に腰掛け澄んだ水に足を揺蕩わせれば小さな魚が指を擽る。
学院の二年目が終わった。今は三年目が始まるまでの間の少し長い休暇なのだ。せっかくなので王都から少し離れた森の近くにやって来た。川もあるし自然豊かで休暇には最高の場所だ。ルーナはアレス様から別件でお誘いがあったようだがこちらに来ると言ってくれた。ちょっと嬉しいぞ。
あれからフィーリアさんは未だ女子寮にいる。彼女を安全な聖堂からの通学生にさせたいジェロームさんと一悶着あったがフィーリアさんの強い頼みに断れなかったようだ。それでもさすがにあの部屋から別な部屋に引っ越した。
学院のクラス内では攻略対象の皆様からフィーリアさんに絶対近づけまいという圧がすごい。徹底ガードである。でもフィーリアさんとはメル先生の庭で自由に会えるので気にならない。相変わらず仲良く昼食の話やおやつの話、夕ご飯の話をしたりしている。あれ?食べ物のことばかりだな。
彼女はいつの間にかクラスメイトの皆男女問わずと打ち解けている。さすがヒロインちゃん、皆を温かく包み込む日だまりのような存在なのだ。
ルーナは相変わらず王妃教育が忙しそうだ。以前から最高に可憐で素敵だったがさらに可愛く美しく最高な淑女になっている。ルーナ最高ーーー!!!鼻が高いぞ。
ちらりとそんなルーナを横目で見れば彼女もこちらを見ていたようで視線が合う。なんだか気恥ずかしくなってしまい目を反らしてしまった。
川遊びは楽しい反面危険を伴います。
必ずライフジャケットを着用し、マリンシューズを履いた上、いざという時の浮き具等を用意し、安全確認した上でお楽しみください。
矛盾点を見つけたのである文を削りました。
作者も主人公も記憶力ないようです。




