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悪役令嬢は双子の妹を溺愛する  作者: ドンドコ丸
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悪役令嬢は大わらわ2

 皆がソワソワとしているどこか落ち着かない雰囲気の教室の中、先生が口を開いた。


「えー、皆さんの机に今試験結果を送りました」


 その言葉と同時に中身が見えないよう、くるくると丸まった紙が机の上に現れた。紙は紐で止められている。

 この紐は教師と試験を受けた本人しか解くことができないらしい。

 ようやく試験期間が終わり、今日はその結果発表なのだ。ごくり、と唾を飲み込み、おそるおそる紐に手をかける。


 この学院では名誉ある上位の成績者の生徒の名前が発表されるそうだ。ちなみに平均位の普通の成績の人は何もない。そして下位のちょっとアレな成績だと、先生から肩トントンされるらしい。

 肩トントンの後、どうなってしまうかは誰も知らない。なぜならトントンされた者はもういないから……なんて噂がまことしやかに囁かれている。


 肩トントンは嫌だ、肩トントンは嫌だ。

 思いをこめれば成績が変わる、なんてことはない。ついに観念して紐を解く、すると紐は消えていき丸まった紙が開いた。真実を目にする時がきたのだ。


 うむ……。皆の協力のおかげで平均よりは良さげな気がする。悪くはないと思う。でも人にひけらかす程優秀な成績とは言えない。

 私は机を開き紙をしまい込むと早々に寮に転送させた。へっへっへ、これで証拠隠滅だ。


 教室を見渡せば、安堵する者、歓喜の声を上げる者、うなだれる者、力が抜けたように机に突っ伏する者、さっそく教科書を読み返し復習を始める者、皆様々な様子だ。


「ではここで成績が優秀な皆さんを紹介します」


 ざわめきが止み、皆が前を向く。教師が手を一度叩くと、前の白い壁に好成績者の名前がじわじわと浮かび上がってきた。


 ルーナ、ソフィアさん、ローランド、イリスさん、ミラさん、ルルディさん、アレス様……。


 各生徒の名前が表示される度に拍手が沸き起こる。勿論私もルーナに向かって手が痛くなる程拍手を送った。


 さっすが、私の妹ルーナ。お姉ちゃんは鼻が高いよ。よーし!週末は家でお疲れ様会をしなきゃだな。ルーナの好きなハーブ、まだあったかな。好物をたっぷり作って貰わなきゃ。


 ソフィアさんもいつも勉強熱心だもんね。こつこつ努力タイプな気がする。ルルディさんは何でもそつなつこなしちゃう、でも影で見えない努力をしていそう。ミラさんは怖そうだけど、授業が終わるといつも真っ先に先生に質問をしに行ってたな。怖そうだけど。そして王太子&お供もさすがである。ま、将来ルーナの夫になる人なのだからその位じゃなきゃ駄目だよね。

 ……と自分のことを棚に上げて勝手な感想を抱いてしまう。


 まあ、それはともかくとして大変気になることがある。

 名前の中に『ローランド』って見えたのだけど、気のせいかな?ローランドってあのローランドだよね。うちのクラスにもう一人真面目なローランド君っていたっけ?


 まさかあの、入学早々婚約者がいるルーナをナンパしようとし、中庭で二人がかりでフェルナン君を虐め、授業中に魔法で悪さしていた、あのローランドじゃないよね?


 まあこの教室のローランドはあいつしかいない。ぐぬぬぬ……。なんでっ!私よりっ!あいつがっ!上位の成績なの???おのれローランド……。

 いやこれは完全に僻み、妬みである。

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