表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は双子の妹を溺愛する  作者: ドンドコ丸
40/101

祭りの日3

 街外れの小さな家の中。

 でたらめな歌を口ずさみながら、持っている服を少女は取り出した。といっても数える程しかないが。それでもこの中で一番可愛い服はどれだろうと思案する。どれもそれ程代わり映えないが、こういうのは気分なのだ。


 少女は一つを選び着替えると、髪に花を挿す。これで自分史上最高に可愛い姿になれたはずだ。


「お母さん、街に行ってもいいでしょ?」


 母親に問うとにっこり微笑み頷き、硬貨を彼女に手渡した。


「楽しんでいらっしゃい」

「いってきまーす!」


 大きな声を上げて、嬉しそうに外へ駆け出す少女を母親は見送った。


 玄関先に飾った花は優しい色合いをしている。


「あの子が手入れすると花は長持ちするわね」


 いつも元気よく、朗らかで、体も丈夫にすくすく育った娘。人に親切で近所からの評判も悪くない。親を困らせることもなく、のびのびと真っ直ぐに育っている。


 たった一度だけ夜遅くまで帰ってこないことがあった。後々森へ迷い込んだとわかった時は血の気が引いた。よくぞ無事に帰ってきてくれたと。


 しかしその後は大きなトラブルもなく、穏やかな日常が続いている。

 このままずっと彼女が大人になるまで親子3人で仲良く暮らしていくのだ。祭りへ向かう娘の後ろ姿を見送りながら、疑うことなく母親はそう思っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ