エピローグ
―――:日本上空:―――
宇宙戦艦型 空挺護衛艦の一番艦大和。
それはGMであるヤマダが、密かに召喚した日本の技術者たちと共に製作した護衛艦であった。
その全長は236メートル。それが東京の空に浮かんでいる。
船主に三連装の光学式攻撃兵器をもった、明らかな護衛艦であった。
海外から見ればいつのまに日本はそんな護衛艦を製造していたのだと驚くことだろう。
いま、その操舵室に内閣の要人たちが召喚されている。
「さて諸君。我が国ではさまざまな批判を受けながらも消費税、国家機密保持法、治安維持法、テロ等準備罪法などといった法案を成立してきたことはご存知の通りだと思う。これらの法律はいろいろな批判を受けてきたが、我々としては最善を考え我が国のためになると信じてやってきた。――さて今回の件ではあるが、もし実行すれば同様にマスコミからの非難が殺到し、今回は内容の大きさに内閣は崩壊するかもしれない――」
三藤首相はそれぞれに語り掛ける。
それは、簡易の閣議であった。
「だが、私は信じる! たとえどのような批判を受けようとも、日本の崩壊を救えるのなら、そしてその機会がここにあるのであれば――、使わない手はないであろうと――」
そして、三藤首相は視線を外に向けた。
それに呼応するように大和の艦内システムがイベントドリブンにより駆動していく。
:システム:武装難敵ミサイル群見ゆ! 命中率上昇x4――、命中率上昇x4――
:システム:1024インチ3連装 拡散照準波光砲≪レイザーポインタ≫、1番から24番オールグリーン。25番から48番までフルロック!
:システム:駆逐五拾式五階層最終奥義――レイザーポインタ詠唱魔力装填率、80、90、99…、100%フル装填完了!
:システム:総員対閃光防御!
:システム:ギルマスの承認をお願いします。繰り返します。ギルマスの承認をお願いします。
表示されるのはウルトラバイオレットの2択ウィンドウだ。
:システム:承認しますか?(Yes/No)
三藤首相はうなずく。
「主砲! 1024インチ3連装 拡散照準波光砲! 撃てぇぇぇぇ!!」
Yesボタンをクリックしたその瞬間、強烈な光の閃光が世界を満たすように広がっていく。
ZapZapZap! レーザー特有の破滅の破壊音が世界に轟き、そして――
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それから1か月が経過した。
お隣の国での戦争はいまだに行われている。
だが、再び日本に火の粉が降ってくることはなかった。
日本の宇宙戦艦型 空挺護衛艦の一番艦大和の影響はそれほど大きかったのだ。
散発的に武装した難民が来る事態が生じているが、冒険者レベルのある日本人はなんとかそれを退けることができている。
それら隣国の戦闘などの事象は世界にとっては大きな問題であったが、日本発のさらに大きな問題によって掻き消されることになる。
そう、些細な事象化されてしまったのだ。
まず、最初に起こったのはたかが自称国家だったサウスフィールド/ノーザンテリト連合(俗称:SNUN)を国家承認を米国と日本がしたことだった。
かの国はゲームの世界に存在する国とされ、さまざまな国の思惑が世界中に錯綜することになる。
だが、それも自国にSNUNの≪冒険者組合ギルド≫を配置させ、108文字の現地語を地域語を新たにUNICODE登録するなどの便宜を図る程度であれば笑い話で終わったことだろう。次いで起きたのが世の趨勢を決定づけた。
金相場の崩壊である。
かつては紙幣の代わりに金本位としてお金として使われていた金は本来希少なものである。
だが、日本と米国がその金の市場への放出をすることによって金価格があっというまに崩壊しのだ。
その量は、本来の埋蔵量とされていた量の軽く1000倍を超える。
ドルと円以外の紙幣は一気に低下した。世界は大混乱である。
他にもダイヤや銀、レアアースといった資源が猛烈な勢いで下落していく恐怖を各国は味わうことになる。そしていつのまにか、石油やシェールガスは日本と米国が大きな輸出国、資源大国となっていた。
さらにはカール・ヒクソンや、ドナルド・レーガンといった空母を近代化改修によって空挺化するに至ると、その理由としてウィンドウシステムの存在が広まり、そしてSNUNは高度な技術力を持つと国として世界に知られるようになる。
それによりSNUNに対しては他国から様々な圧力を受けることになったが、その圧力は2カ国からの圧力で簡単にねじ伏せられることとなった。
そもそも地球に国土がないのだ。攻めようがない。
その後は、レーザー砲などの新しい兵器の進展、一部日本の土地を租借させたロシアのウィンドウシステムへの参画、SNUNの廃帝置県または廃国置州などが始まり、世界は今、日本と米国を中心として新しい世界感に否応なくシフトせざるを得なくなっていた――
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―――:邪魔台国:魔王城:中庭:―――
「ご成婚おめでとうございます――」
一人の男に2人の魔族の少女という奇妙な結婚式が、魔王城で開かれたのは、その日の昼のことであった。
それは結婚術式と呼ばれる片方の姓を片方に分け与えるという儀式なのであった。
日本では許されない重婚も、国が違えば許されるのだ。
もっとも、それはこの邪魔台国を含む、サウスフィールド/ノーザンテリト連合が地球化することによって変わっていくことだろう。
だが先行者利益として、ユウジの重婚の件は残るはずだ。
それに満面の笑みを浮かべる3人。
まさに両手に花である。純白のウェディングドレスを身にまとう遠野那由他は嬉しそうだ。
≪応援≫スキルは女神カーキンによってはく奪され、遠野那由他は≪始まりの魔女≫という個性を失うことになったが、それでもである。
周囲には≪てきとー同盟≫のギルドメンバーや魔王城の面々、それにユウジの親族が参列していた。
当初、ユウジの会社の人間や公安からの要員も来るか来ないかで揉めたが、結局丁重にお断りすることになった。
会社としては邪魔台国との交易は多大な利益になると踏んでいたが魔王ラララが接触を断り、公安はユウジが断ったからだ。
それに3人にとって結婚式は身内だけの会で十分だろう。
これから新婚旅行だが、フェイノ王妃が手配して異世界の海でのクルージングなどを楽しむ予定だ。
海岸の見えるコテージ――、実に新婚旅行向きではないのか?
「――誓いますか?」
「誓います」
用意された似非神官――異世界の神官職には女神カーキンの卑巫女しないので、地球の神官はいない――の言葉に従い、3人は口づけを交わしあう。
彼らの新しい旅出は始まったばかりであった。




