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 久々のパーティプレイだ。

 リアルの方で、トモガラにログイン時間帯を指定しておいた。

 彼は今日午前から大事な試合があると地方に遠征している模様。

 一泊して寝りゃ良いものの、リニアで即行帰ってくるってさ。


 それだけこのゲームにハマっているのだろう。

 皆も納得の廃人ですね。


「おはようございます!」


「ども」


 サイゼがオンラインなのを見ると、昼食へ向かう。

 ローヴォの分もちゃんと出してくれるのでありがたい。


「ふふ、ローレントさん、今回は他のプレイヤーが釣ってきたフィッシャーガーのフィッシュサンドイッチなんですよ?」


「東の川辺の拠点も、作業は進んでるんですか?」


「いや、難民キャンプみたいです。一応PKに狙われなくなったので、セレクさんの作ったテントを買ったプレイヤーの方々が、資材を置いてる場所に寝泊まりして東のフィールドからエリアクエストの攻略を開始しています」


「へぇ」


 一度見に行ってみるのも面白いかもしれない。

 エリアクエスト解放のメッセージはかなりの反響を呼んでいるみたいだ。

 北の森、西の草原に跋扈していたプレイヤーの大移動。

 だが、人が増える分、面倒くさそうなことも多そうである。


「レイラさんも大変なことで」


「そうなんです〜! ぶっちゃけ建築予定地にテント張られてもこまるんです」


 生産拠点目当てに来る連中も居るが、お陰で拠点づくりから難航しているようだ。

 人が多いのか……。

 その分めんどうな人が増えていそうで、行くのを躊躇ってしまう。

 こりゃ、当分南の森の奥に潜るしかないな。


「今日も朝から狩りですか?」


「はい、トモガラと南の森に行こうと思いまして」


 やるべきは、森の探索と、バトルゴリラを討ち滅ぼすことだな。

 負けず嫌いじゃないけど、やられたらやり返すのが家訓なんだ。

 

「トモガラさんの分も! ぜひどうぞ! 良い食材ありましたらお願いします」


「了解です」


 木箱にギッチリ詰められたサンドイッチを二箱貰った。

 バッシングが起きてから穀物類が見事に消え去ってしまった中で、コンスタントに朝はサンドイッチの看板を掲げ続けるサイゼの屋台は、一番すごいんじゃないかと錯覚する。


 お、トモガラがログインしたようだ。

 待ち合わせは、南の門だということでさっそく移動しよう。



 南の門に向かうと、トモガラは何かを食べながら待っていた。

 食事の時間が惜しいようだ。


「おす、今日はどうだった」


「負けた! だから腹いせにゴブリン狩りだ」


「樵夫だから森は得意かもしれんが、山の傾斜で転んで死に戻るとか無しな?」


「今日に限ってはそれはない。ブーツを新調した」


 そういって足を見せてくる。

 どことなく質感が長靴に似ている。


「兎と蛙の合皮らしいぞ、まぁ長靴で構わんけど滑りにくいし蒸れないし良いぞこれ」


 そして俺の足下と見比べて言い放つ。


「おまえ、まだ靴は初期装備なのかよ? 厚手の布だから防御力も皆無だし、まず装備扱いされてないだろ」


「まじか」


 そう言えば、自分のステータス確認する時。

 何故か靴は表示されていなかった。



プレイヤーネーム:ローレント

職業:無属性魔法使いLv13

信用度:70

残存スキルポイント:0

生産スキルポイント:3


◇装備アイテム

武器

【大剣・羆刀】

【鋭い黒鉄のレイピア】※修理中

【魔樫の六尺棒】

【黒鉄の双手棍】

装備

【革レザーシャツ】

【革レザーパンツ】

【河津の漁師合羽】

【軽兎フロッギーローブ】

【黒帯】

称号

【とある魔法使いの弟子】



 アイテム欄にも【初期靴】と書かれている。

 手を抜いていい所と悪い所があるだろ……。



【初期靴】

厚手の布にテクスチャでそれっぽくした。

初心者用の支給品は服とローブのみ。

下級市民は靴を履かないが、流石に可哀想だと思った開発チームのT氏がそれっぽく自作してくれた物。



 なんか損した気分。

 トモガラの靴を鑑定させてもらう。



【軽兎フロッギーブーツ】製作者:セレク

リバーフロッグとグリーンラビットの革を合わせた素材で作られている。

【セレクの裁縫】によって通気性、防水性、丈夫さをコンプリート。

・ブースト系スキルLv1プラス補正

・完全防水

・滑り止め

・耐久Lv1

・耐久100/100



 なんじゃこりゃ。

 なんじゃこりゃ。

 なんなんじゃこりゃ。


『僕のブーツもお願いします! トモガラと同じ奴!』


 気付いたらメッセージを送っていた。

 すぐ返信がきた。


『わかったわ! 特別! 特別にすっごく安く作ってあげるんだから! 近々顔出しなさいよ? あ、あと私最近レザーワーカ——』


 やったでおい。

 トモガラのブースト系を先上げだったはず。

 そして黒帯も身につけてるからレベル+2補正がついてるんじゃないのか?


「実は樵夫スキルを取るとその他スキルに木の呼吸ってあってな、それでも身体能力は上がるんだ」


 ブーストの上位【マッシブ】の他にも正当派系である【ハイブースト】にもスキルポイントを使っているんだとか。

 初っ端ビルドミスしてしまった自分を嘆きたいが……。

 いやいや、この道を歩むと決めたなら紆余曲折せど、筋は通せ。

 今は亡き祖父にいわれた言葉である。


「ちなみに道場には通え、良いことあるぞ」


「そうなのか?」


 与太話をしながら道を進んで行く。

 道中の敵はシュンコロでした。

 と言っても、駄犬がほとんど戯れ程度に弄んだだけ。


 トモガラがボソッと、テイムするなら虎かな。

 と呟いていた。

 虎なんてこの辺に居ねーよ。


『ちょっと返信——』


 メッセージ機能をオフにしておくのを忘れていたみたいだ。

 森へ入る前にパーティ申請しておく。

 これでトモガラのヒットポイントが見えるようになった。

 流石前衛職、俺の二倍くらいあった。

 でも、あくまで耐久値というだけで、首を居られれば一撃でお陀仏。

 急所攻撃には魔物もプレイヤーも共通で弱いのだ。



【サップリングマン】Lv5

エントの眷属、トレントの若木。

疲れ知らずで丈夫な身体を持つ。



 む、見たこと無い魔物がでた。

 俺の得物はレイピアと六尺棒。

 六尺棒は当然杖代わりにも使う。

 俺樵夫じゃないし、一緒に山を駆けるには大剣は背負えない。


「お前はそっちな」


 トモガラは鉞を片手につっこんで行く。

 どう見ても効果抜群何ですが、それ。


 俺は俺で、人型の魔物に対して武器を切り替えずに挑む。

 大剣で裂いてしまえば、一瞬で勝てるのかもしれないが。

 バトルゴリラに挑む為に出来るだけ修練は重ねておきたい次第。


「まあ、丸太にして終わりだな……、おいおい、お前も良くやるぜ」


 手足を削ぎ落として丸太に変えたトモガラは座って見ている。

 時折ローヴォが連れてくるゴブリンの眉間に、手斧をぶつけて殺している。


 周りは気にしなくていい。

 さてどう料理しようか。

 ギギギと軋む音がしてオーバースロー気味の一撃が来る。

 これは背負って投げるだけ。


 地面に激突したサップリングマンのHPは大きく減る。

 それでも一割程度ってことは相当頑丈な証だろう。

 急所はどこなんだろう。

 思いつかなければ、このまま打ち込みがてら投の練習で使わせてもらおう。


「せいッ!」


 起き上がって再び向かって来た。

 体落としだ。

 重さも堅さも十分である、ただ、HPが減るのと一緒に木片が飛ぶのは勘弁してほしい。

 目に入りそうになった。


「おいおい受け流せてないんじゃねーの? HP減ってるぜ?」


 自分のHPを見ると確かに減っていた。

 これは体落としをした時だな。

 ……事前作りが甘い。

 気を引き締めて構える。


 押し倒す様に両腕を向けて襲い来る。

 速度は遅い、まずは当て身と思わせて掌打。

 相手が俺を掴む前に顔面とおぼしき部分を鷲掴みし、脚を刈る。

 小内刈りだ。

 反射的に堪える相手のもう片方の脚も手で持ち上げる。

 そして掴んだ顔面を後頭部から叩き付ける。


 もちろん、魔物に通用するかわからない。

 HPは大きく削れて残り僅か。

 そこで俺の身体を霞めるように手斧が飛んで来て突き刺さった。

 そのサップリングマンは息絶えたみたいだ。


「危ないな」


「木の魔物ってドロップにすると地味に勿体無い」


 それでも一言声を掛けた方が良いだろ。

 彼の言い分では、サップリングマンのドロップアイテムは木材。

 ナイトトレントとほぼ同じなのだが、樵夫のスキルで丸太にすると、魔力を帯びた木材のままで保存しておけるらしい。


 死滅と同時に保有魔力はどんどん失われて行くが、木工所に持って行き加工してもらうと魔力を帯びたままで、木材として利用できるようになるようだ。

 当然、高値で売買される。

 この守銭奴が!


「一日くらいなら放っておいても良い。流石にこの重量だと丸太はスタックできないから帰る時に拾って行く」


 誰かに取られたらどうすんだ。

 そう思ったが。

 樵夫プレイヤーが今の所トモガラオンリーらしいので、印を付けておけば他の人が持ってかえっても自分の利にはなるらしい。


 魔物を蹴散らしながら森を行脚していると丁度ローヴォのレベルが上がっていた。



◇テイムモンスター

テイムネーム:ローヴォ

【リトルグレイウルフ】灰色狼(幼体):Lv9

人なつこい犬種の狼の子供。

魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。

群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。

[噛みつき]

[引っ掻き]

[追跡]

[誘導]

[夜目]

[嗅覚]

[索敵]

※躾けるには【調教】スキルが必要。



 今更ながら、新しいスキルっぽいのが追加されてるが……。

 今までも索敵は問題ないが、より一層強化されたってことか?


 既にモンスターにクラスチェンジがあることは知っているぞ。

 俺達はレベル10で一次転職したが、魔物はどうだ?

 【アポート】のスキルマックスボーナスもそうだが、楽しみなことが増えた。


 気付いたのだが、いつまで経っても森の傾斜が出ない。

 マップを改めて確認すると、やや東へとマップを進んでいる様だった。

 東に川があって、山から流れているとスティーブンが言っていたのを思い出す。

 ということは、必然的に川に近付いていて。

 ゴブリンの集落は上流の水場にあるのでは無いかと。


 あれ?

 俺達や町の連中は川や井戸水を生活用水や飲料水として利用している。

 もしかして使用済みなの?

 早急に殲滅せねばなるまい、これは急を要する案件だ。


「そろそろ見えて来るはずだ」


 トモガラが腰を屈めながら先行する。

 俺も姿勢を低くしながら後続。


 ここまでで戦って来た魔物は、サップリングマンと薬草詰みや狩りを行っていたゴブリン。

 その他には、種の妖精【ピクシード】と騒がしい鶏【ノイジーチック】の群れだった。


 ピクシードは状態異常攻撃を使用してくる。

 幸運なことに魔法職はレジスト能力があったので、苦戦はしなかった。

 取り回しが効くヌンチャクで叩き落としていただけだったからな。


 でもトモガラが眠らされたり、喋らなくなったり、木にぶつかったり、転けたりしていた。

 樵夫の敵だと嘆いていた。

 ソロで入った際は見つけたら即行殺さないとヤバイ。

 ドロップは?



【不思議な種(下級)】素材

何が生えるかは、ランダム。

種のランクによって生えてくる植物の希少価値も変動する。

種のランクは倒した植物モンスターによる。


【魔石(中)】

色々な素材として利用できる。

価値に比例して大きさと色艶が変わってくる。


【騒鶏の羽】素材

矢の素材として利用可能。


【騒鶏の肉(胸)】

騒鶏の胸肉。

柔らかく、味も淡白であっさりしている。

脂肪の少ない部位。


【騒鶏の肉(腿)】

騒鶏の腿肉。

脂肪が入りやすく、味にコクがある。



 不思議な種も気になるが!

 初の鶏肉だ!

 というか、割りかしすぐに出会ったのに、これだけ流通してないとなると。

 マジで南の森人気無かったんだな。


 夜はすぐそばまでオークがゴブリンを狩りに来たりしたお陰で。

 豚肉は少しずつ出回っていた気がする。

 北に比べて、圧倒的食材の宝庫である。


 そしてもう一つ大事なことを思い出した。

 いや本当に興味ないことすぐ忘れる性格どうにかならんかと思う。



【パンドラストーン】素材

石系モンスターの体内で蓄積された塊。

真珠のように異物の周りを石素材で覆うように精製される。

慎重に砕いて行けば何かいいことあるかも。



 これである。

 完全に忘れていた、帰ったらガストンの鍛冶屋に行って砕いてみよう。

 戦いに夢中になっても絶対に忘れないぞ。



ーーー

プレイヤーネーム:ローレント

職業:無属性魔法使いLv13

信用度:70

残存スキルポイント:0

生産スキルポイント:3


◇スキルツリー

【スラッシュ】※変化無し

【スティング】※変化無し

【ブースト(最適化・黒帯)】※変化無し

【エナジーボール】※変化無し

【メディテーション・ナート】※変化無し

【エンチャント・ナート】※変化無し

【アポート】※変化無し

【投擲】※変化無し

【掴み】※変化無し

【調教】※変化無し

【鑑定】※変化無し


◇生産スキルツリー

【漁師】※変化無し

【採取】※変化無し

【工作】※変化無し

【解体】※変化無し


◇装備アイテム

武器

【大剣・羆刀】

【鋭い黒鉄のレイピア】

【魔樫の六尺棒】

【黒鉄の双手棍】

装備

【革レザーシャツ】

【革レザーパンツ】

【河津の漁師合羽】

【軽兎フロッギーローブ】

【黒帯】

称号

【とある魔法使いの弟子】


◇テイムモンスター

テイムネーム:ローヴォ

【リトルグレイウルフ】灰色狼(幼体):Lv9

人なつこい犬種の狼の子供。

魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。

群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。

[噛みつき]

[引っ掻き]

[追跡]

[誘導]

[夜目]

[嗅覚]

[索敵]

※躾けるには【調教】スキルが必要。

ーーー


おはようございます。

一作目のテラ神父が、コンバット要素が好きだという方が多かったので。

基本的にコンバット要素とか多めです。

そして、漁師プレイはまだ船が出来てないので……。


本日も二回更新。

17時にもう一度更新します。



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