ちょっとしたお金稼ぎをする ②
さて、俺はアルバイトのために図書館に来ていた。配架などの作業をする予定だ。地球に居た頃も含めて、図書館でのアルバイトはしたことがないので、少し楽しみだ。
本の持ち運びをしなければならないので、体力は消耗するかもしれない。ただこの世界で大分体力がついたので問題はないだろう。
流石に図書館にクラは連れていけなかった。完全に一人である。
それにしても同じくアルバイトに参加している人達は、大人しそうな見た目の人が多かった。やっぱりこういう仕事をしようとするとする人はやはり本が好きなんだろうな。そう言う相手だからこそ、もしかしたら話が弾むかもしれない。
とは思ったものの、アルバイト中なので私語は慎むべきだろう。それに図書館で会話ばかりしているのも問題だし。
ただアルバイト中の若い男性は思ったよりもお喋りだった。色んな人に話しかけていて注意を受けていた。俺はそれを見て、真面目にやらなければならないなとそう思った。
それにしても伯母さんに関する本、多すぎないか? この街って伯母さんの信者がやっぱり多いのかな。というか基本的にこの世界の人達って伯母さんの信者多すぎじゃないか?
それだけ人々の求めることをやり続けた結果なんだろうか。母さんは全然そんなことはしないからな。だから信者が限られているんだろうけれど。
伯母さんの本……なんか読むのが恐ろしいような、恋愛話の本もいくつかある。うん、身内のそういう話とか正直あんまり聞きたくない。母さんと父さんみたいに互いにだけならばいいけれど、でも伯母さんって色んな人相手の逸話あるからなぁ……。
神様だからこそ、見た目も凄く若々しくていつまでも精神的にも若いのだろう。俺はそんなことを思った。
母さんの本は、凄い奥まったところにあった。まだおかれているだけましなのだろうか。街によっては禁忌的な扱いをされているだろうしなぁ。あと恐ろしいタイトルの本とかも多い。なに、生贄って……。母さんって邪神呼ばわりもされているもんなぁ。
母さんの本を読んでいる女性もいた。こそこそしながら読んでいて、やっぱり堂々と読みにくいんだろうなと思った。
目が合ったらなぜか睨まれた。……うーん、なんだろう、俺が見ていたのが気に食わなかったのか?
こうして本の配架をしていると、面白そうな本が沢山あった。アルバイトをしていない時間帯に本を読み来てもいいかもしれない。
母さん関係のこととか、神界に行くための術は調べておきたいし。
俺と同じように神界に行くことを目的にしている存在とかこの場に居たりするんだろうか。信仰心が強い存在は、神の姿を一目見て、神の声を一度でいいから聞きたいっていう人も多いっぽい。
そういう生涯をかけてそれを目的にしている存在と比べると、俺の熱量はとても低いだろう。そもそも俺は……ただ自分の意思でのんびりとこの世界を旅して神界を目指しているだけで、俺が望めばすぐにでも神界には行かせてもらえるしな。
神界には多くの神が居るらしい。その神たちは、俺に対してどんな反応するんだろうか? 姉さん達はすっかり受け入れているらしいし、伯母さんは俺によくしてくれているからおそらく良くしてはくれそう。伯母さんって神たちの間では一番影響力って強そうだし、母さんは特別視されているからな。
この世界をぶらぶらとしていると、余計にそのことは実感する。どれだけ母さんたちがこの世界にとってどういう存在なのか分かるし。
そんなことを考えながらアルバイトを必死に進める。
――そうしていたら、何だか様子のおかしい存在を見かけた。
「こんな邪神の本を置いているなんて何を考えているのだろうか。あの方だけが唯一の神様であればいいのに。それに他の神の信者をしているのもおかしい。あの方だけを信仰しないのはどうなんだろうか。こんな大きな街でさえそうだなんて許しがたい。あああっ、お母様、その尊き声を聞かせてください。何れの日か、お母様の元へこの私が参りますから……ブツブツブツ」
危ない人である。
……なんだろう、寧ろなんで他の人達はこんな様子の人を見てなんで注目しないんだろうか? エルフっぽい見た目。でもブツブツ呟いている様子がかなり怪しい。
色白のエルフで、見た目は美人だ。ただし様子がおかしすぎて近づきたくは全くない。というか何? マザコンなの? あとなんか呟き聞いている限り、神のことをお母様扱いしている? となると俺と同じ半神ってことか?
どちらにしても、同類に思われたくない危うさがある。
うん、なるべく近づかないようにしよう。
そんな決意をしながらちらっと見てしまった時に目が合ってしまった。うわっ、やばいかも。
一瞬目が合った時に、目を見開かれた。
……反応が怖すぎる。うわぁ、これ面倒なやつ?
そう思っていたらアルバイト帰りに、案の定絡まれた。
「あなた、私のことに気づいていたわね?」
なんともまぁ、威圧的である。
俺は面倒事の予感がした。




