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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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脳内家族会議with旅の同行者 ⑤




『ねぇ、博人。私の傍に居てくれているのは私を愛してくれているからでしょう? ほら、愛しているって言って?』

『乃愛、流石に子供達と乃愛の信者の前だと恥ずかしいんだけど? そして何を聞かせようとしているの?』

『牽制だよ、牽制。私のダーリンは博人だけだっていう。ほら、信者の子達にも私と博人が如何にラブラブか見せつけるべきでしょう? 博人の存在だけはほのめかす予定だけれども、姿や性格とかは誰も知らなくていいとは思っているのだけど』


 母さんは牽制しなくてもいい相手に、こんな風だから母さんらしいなってそんな気持ちになった。

 それにしても母さんの父さんに対する声が甘ったるすぎる。




『……愛してるのよ、乃愛。ほら、これで満足した?』



 それで結局、子供と信者達の前で母さんが望むからってこういうことを言ってしまう父さんも父さんだよなぁ。……そういう性格も母さんを夢中にさせる一旦な気がする。



『って、ちょっと乃愛。まっ……』



 うわぁ……父さんが襲われている気がする。こういう声をのせているのも、母さんが牽制を込めてなんだろうなぁ。




(父さん、母さん、いちゃついていてもいいけれどそれならそれで声、閉じててくれない? めちゃくちゃ気まずいから!!)

『あら、咲人。別にいいじゃない。多分、母様と父様はキスとかしてそうだけど』

『本当に母様と父様は相変わらず』



 姉さん達は、両親がいちゃついてようと楽しそうな声だ。ちなみにフォンセーラとノスタは多分反応に困っているからか無言である。




 その後、二人の声が聞こえなくなった。母さんが声を閉じているのだろう。




 

『イチャイチャタイムに入ってしまったわね。フォンセーラとノスタは、何か聞きたいことはある?』

『母様と父様が会話に入ってこれない間、答えるわよ』



 姉さん達は気をきかせてか、二人に向かってそう問いかける。




『ノースティア様とその旦那様が仲がよろしいことが分かり、私は満足しました。ノースティア様の旦那様のことは信者間で広めるのは問題ないですか?』

『世の中にはノースティア様の愛を受け取るのは自分だと勘違いしている長命種の信者もいらっしゃいます。だからこそ、正しく情報は広めておくべきかと』



 ……この二人、母さんのことばかりだなぁ。まぁ、母さんの信者だから当然か。

 母さんと父さんの正しい情報広まったら、「自分は母さんの特別だ」って思い込んでいる信者達だって大人しくなるんだろうか? でもなんか、そうやって思い込んで、周りに自分から広めているような信者ならばすぐに信じない気もしている。



『それはもちろん、構わないわ。寧ろ母様は本当に望んでいなければ、今すぐでも口出しをしてくるでしょうから』

『そうね。今、母様が口出ししてこないなら、父様のことを広めてもいいとは思うわ。ただし、父様に対して懸想するような相手が増えることは望むところではないわ。だから広め方は気を付けること』


 姉さん達はそう言いながら、何処か楽しそうである。



 

『はい。もちろんです。私としても、ノースティア様とその旦那様の望まぬことはしたくありませんから。それにしてもノースティア様の旦那様の存在が広まれば、それはもう騒ぎにはなることが懸念されてます。もしかしたら信じてもらえない可能性もありますが……』

(その時はその時だろう。母さんは父さんの偉大さは広まって欲しいとは思っているだろうけれど、それで俺とかフォンセーラ達が危険な目に遭うと父さんが悲しむだろうし)


 うん。母さんは父さんが偉大だと広まるのは嬉しいとは思う。寧ろ父さんのことを蔑ろにする人間とか、母さんは許すことが全く出来ないだろう。ただしその結果、俺やフォンセーラ達が危険な目に遭えば父さんが胸を痛めるだろう。

 となると、どんな風にするかちょっと悩むなぁ。俺も父さんの存在が完全にこの世界にはないのは寂しいから、広まるなら広まればいいとは思ったけれど。





『そうねぇ。父様が悲しむことは母様が一番嫌がることだからそのあたりは気をつけないと』

『そもそも広めるにしても父様のことは悪く言われないようにと言いくるめてはおかないと。そうじゃないと父様の悪口とかが世の中に広まったら、母様が暴走しちゃう!!』



 志乃姉と華乃姉の言葉に確かにそうだよなぁと俺も思う。

 だって母さんは父さんのことが何よりも大事なのだ。だからこそ、父さんに何かあるのだけは絶対に嫌なはず。自分のことを悪く言われるよりもずっと怒りそう。



 ……姉さん達の存在も世の中には広まってないだろうしなぁ。世間的にみれば母さんは未婚で、夫なんていない神様のように思われてそう。

 それはそれで嫌っていうか、俺達家族の存在は隠すことではないんだよな。尤も俺は自分の母さんの息子ってことは隠して旅はしたいわけだけど。





『当たり前でしょう? 私の博人を悪く言う存在なんて消滅だよ?』



 いつの間にか話に入ってきていた母さんがそう言った。



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