脳内家族会議with旅の同行者 ③
『咲人は相変わらず神様関係との遭遇率が凄いわね』
『やっぱり神の血を引いているからでしょうね』
姉さん達がそんなことを言っている。
うん、まぁ、俺神様関係の遭遇本当に多いんだよな。俺が普通の人ならば行かないような場所にもどんどん飛び込んでいるからもあるだろう。あとそのうち自分で神界に行けるようにしたいってそんな目標もあるわけだし。
そうしていたら、神に遭遇するのはそうだよな。
(これから先ももっと遭遇しそうな気配は滅茶苦茶しているけれどな。別に神様の世界で俺が母さんの息子だってバレるのはいいけれど、人の世で広まるとややこしいから嫌なんだけどなぁ)
『諦めたら? 咲人は私達と同じく母様と父様の子供なんだから目立つもの』
『そうね。そのうち、広まってもおかしくはないわ。そうなったら今まで通りに旅は出来ないとは思うけれど』
俺の言葉に姉さん達がそう答える。うん、まぁ、そうだよな。
俺もそんな予感はしている……! それでもなるべく、のんびりと過ごしたい。今の旅生活、結構楽しんでいるからなぁ。ばれるにしても思う存分、この世界で遊んでからにしたい。
あとは俺が母さんと同じように常識改変出来るようになったらまた別なんだろうけれど。なんでもかんでも母さんに全てやってもらうのはなんか違うだろうし。
母さんって何だかんだ俺達子供には甘いから何かあったらきっと助けてはくれる。父さんは俺達に何かあるのを望んでいない。だからこそ、母さんは俺達のことをちゃんと見ててくれている。
子供だからではない。父さんが俺達を大切にしていて、俺や姉さん達が弁えているからと言えるだろう。
母さんは血の繋がった子供だろうが、本当に不要だと思ったら簡単に切り捨てるだけのしたたかさは持っているから。
『そうだ。母様、伯母様がいつ神界に来るのかって気にしているわ』
『久しぶりに母様に会いたくて仕方ないみたい』
『何度も言われなくても知っているよ?』
知っている、といいながらまだまだ伯母さんに会いに行く気ゼロの母さんである。どれだけ父さんとの二人っきりを謳歌したいんだろうか。母さんは父さんを愛してやまないから、父さんと伯母さんや他の神様を会わせたくないんだろうけれど。
『お姉ちゃんにはそのうち会いに行く予定だからいいの。志乃と華乃はお姉ちゃんから何度も催促するように言われているのかもだけど、何度も言われると逆に行きたくなくなっちゃう』
『じゃあそう、伯母様には伝えておくね?』
『伯母様、母様のことを心配していたよ』
姉さん達はなるべく母さんを刺激しないように言い回しに気をつけながらそう言った。
うん、母さんって普通に俺達でも嫌なこと言われたらしばらく話さないとか当然する。母さんって昔から子供っぽい部分もあるから。……まぁ、そのあたりは母さんが神様だからこそ、いつだって何年経っても変わらなかったというそれだけっぽい。
母さんって、父さんの時間の方が長いっぽいし。それこそ神様だからこそ信じられないほどの時間を生きてきたはず。その間、ずっとこんな感じで生きてきたのだろう。
『はいはい。分かったよ。そのうちね! それより咲人は今は何をしようとしているの? 何か目標決まった?』
(いや、ぶらぶらしているだけ。目標はそのうち神界に行ければいいなとかそのぐらいで、相変わらず特にないよ。母さんが俺の状況聞いたのって父さんに言われたからだよね? いい加減、父さんの声聞きたいんだけど)
どうせ母さんが俺のことを気にしている風なのも、父さんに言われたから以外何もないだろう。母さんって本当に分かりやすすぎる。
父さんの声、此処まで一回も聞こえてないんだけど。
特にファンセーラやノスタが居るから余計に父さんの声を聞かせたくないとか考えてそう。母さんの信者である二人が父さんにちょっかいだすはずないのに。
『……分かったわ。博人、もう声出せるよ』
母さんは少しだけ不満そうにそう告げる。ただただ独占欲が強すぎてびっくりする。父さんのことが誰よりも素敵な生物だときっとそう思い込んでいるから、ちょっかいを出されそうとか考えているのかも。
『ようやく声出せた。聞こえる? それと、乃愛、折角博人の仲間たちが一緒に来てくれているんだからいつまでも声を出せないようにしていたら駄目だよ』
『……むぅっ。博人がそう言うなら仕方ないなぁ。喋れるようにしたから挨拶して? でも私の博人にあまり話しかけないようにね。博人は私のなんだから。名前を呼ぶのも駄目』
……凄いびっくりするぐらい好き勝手言っている。これ、母さん以外がこんなこと言ったら絶対反発されるんだろうなと他人事のように思った。
母さんが自分の信者達に向けて言う言葉だからこそ、こうして許されている。
『は、初めましてノスタといいます!! よろしくお願いします』
『以前神託を受けて以来になります。フォンセーラです。ノースティア様の家族会議に参加出来ることを喜ばしく思います』
二人の声が脳内に響く。滅茶苦茶大きな声で、一瞬びくついた。




