脳内家族会議with旅の同行者 ②
騒がしい二人をなんとか宥めつつ、家族会議の時間がやってきた。ちなみにフォンセーラは自分の部屋にいて問題がないのに、緊張するからなどといって俺とノスタの泊まる部屋に来ている。
「こ、これから脳内にノースティア様の声が響くのよね。直接声をかけていただけるなんて……!!」
「ノースティ様の声がこれから聞こえる。ノースティア様が直接声をかけてくださる。ノースティア様が……」
……この二人、本当に大丈夫だろうか。
そんな風に思うのも当然のことだろう。この状態で母さんと話して大丈夫なのだろうか。それこそ、何か粗相でもしそうだ。
まぁ、母さんも俺もこの二人がどんな失敗をしたとしても特に気にはならないけれど。
「落ち着け。そんなに緊張してもどうしようもない」
母さんという神様を前にするとまともな状況でこの二人は居られないだろう。それがよく分かる。
だからそもそも落ち着くように言ったところでどうしようもないかもしれないが、一応声はかけておく。
結局諦めて俺はクラを膝に乗せながら煩い二人を横目に魔法の練習とかをしていた。
『咲人、会議をはじめるけど、その二人は何をしているの?』
母さんの声が脳内に響く。
(母さんと話すのに緊張しすぎているのか変なことになっているんだよ)
『へぇー。ちょっと煩いね?』
(……まぁ、ちょっと煩いかも。でも我慢して)
『ふぅん。博人も咲人と一緒に居る人間達のことを気にしているみたいだし。我慢してあげる。ただ咲人は幾ら私の信者だからといって信じすぎたら駄目よ。人はね、色んなことを理由に裏切ったりするんだから』
(あー、うん、まぁ、勝手に暴走したりはするかも。母さん至上主義者だからこそ、そのためにって行動することはあるかも。俺もなるべく気を付けておくけれど、もし俺だけで説得が難しいぐらいだったらいうから)
母さんは父さんの声ならば幾らでも聞いていられるっていうぐらいのスタンスだけど、他の声や音なんて本当にどうでもいいと思っているだろう。寧ろ煩いとさえ思っているからな。
それにしても今段階でのフォンセーラやノスタのことをどうでもよさそうだなぁ。だから特にノスタが期待してそうな名前を呼んでもらいたいとかあれこれはきっとない。
「フォンセーラ、ノスタ。これから会議だから、脳内で喋って」
俺が母さんとの会話を一度中断してそう言うと二人は緊張し様子で行きを飲んだ。
それからさっそく家族会議が始まる。
『では、これより薄井家家族会議を開催するわ。ゲストである私の信者二人は、なるべく喋らないでね? 私の旦那様の邪魔をしたら、潰すから』
母さん、最初から物騒。
まぁ、下手に色々言われるのは嫌なんだろうな。
『あ、博人ごめーん。咲人との同行者たちに厳しすぎたね。博人が言うならもう少し優しくする』
……なんか、母さんは本当に相変わらず父さんの声を同行したくて仕方がないのか相変わらず、父さんの声が聞こえなくなっている。まぁ、そのうち父さんが俺や姉さん達と話したいと喋り出すだろうけれど。
それにしても母さんは父さんに話しかける声は本当に優しいな。父さんのことが好きすぎるだろう。
『の、ノースティア様、ぼ、』
『一旦黙って?』
あ、ノスタが無言に耐えかねて、声をあげようとしたら母さんに黙らされた。多分、物理的に。
挨拶をするように言われたタイミング以外で喋ったからだろうな。
『もう、博人ぉ、そんなこと言わないでよ。だって求めていないのに声をかけられたらどうしようもないじゃんか。煩いもんね?』
……ああ、母さん本当に父さんへの声甘いな。多分、フォンセーラとノスタは驚愕してると思う。
『母様、父様、いつまでじゃれているの?』
『そろそろちゃんと話した方がいいわ。母様が煩わしいのは嫌いなのは知っているけれども、もうちょっとちゃんとしないと父様にもっと怒られるよ?』
姉さん達の呆れたような声が聞こえてきた。
父さんは多分、呆れたような様子で叱っている感じなんだろうな。父さんって母さんに本気で怒ったりは中々しないし、なんか本当に全部受け入れてそうな感じ。
『博人に嫌われることだけは絶対に嫌だから、我慢するよ。皆、どんな感じ?』
『私と華乃は相変わらず、神界でのんびりしているよ。とくにこれといって何もないかな? あ、でも求婚はされているかも』
『でもこの世界の神様って、なんか、恋愛に奔放な人多いからちょっとねぇ。私はやっぱり母様と父様みたいな関係の夫婦がいいから私も運命の相手に出会えるのを首を長くしてまとうかなぁ』
母さんの声に、姉さん達はそう言って答える。
……それにしてもまだ父さんの声を一度も聞けていない。もうちょっとしたら聞けるかな。
(俺も相変わらず、異世界をぶらぶらしているよ。報告は……まぁ、ノスタのこととか、遭遇した神様のこととかそのぐらいかな)
俺も母さんと姉さん達に近況報告をする。




