表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

145/148

闇の女神の信者達の村についての話 ⑧



 目の前で美しい舞が披露されている。他でもない母さんに向けられているものを、息子である俺が目撃しているなんて思えば不思議な光景である。

 母さんはまだ見ているだろうか? いや、多分違うな。父さんと過ごすのに一生懸命のはずなので、母さんはこちらを気にもしていないはずだ。



 となると俺がじっくり見て、後から母さんに教えようかな。母さんは興味がないかもしれないけれど、父さんは少なくとも母さんがどんなふうに信仰されているかは知りたいと思っている気がする。そうなるとちゃんと話せた方がいい。母さんは俺が父さんの求めている話を出来なければ気分を害するかもしれないし。

 それにしてもなんというか、母さんの信者達って基本的にすらっとしている人の方が多い。

 太っている人が少ないというか、凄く健康的というか。



 この辺、なんでだろうなんて思ったのだけど聞いてみたら、母さんが美しいと噂されているかららしかった。

 実際に母さんの姿を見たことがある人は、全然いない。神様である母さんは、そもそも人前にほとんど出ない。そもそも下々の者達のために何かをしようとかいう選択肢は、母さんには一切ない。そういう人なのだから、母さんの実際の姿を知らない人はきっと多い。

 父さんの傍にいるためにって、地球にずっといたわけだしなぁ……。だけれども母さんの見目の良さというのはきちんと広まっているようだ。



 母さん自身は自分の見た目がどう広まろうとどうでもいいとそういう感じだ。だけれども正しく広まっているのって母さんを慕う者達の功績なんだろうな。それでまぁ、母さんは堕落した者を嫌うとかそう言われていたりもするんだとか。

 そういうわけで母さんの信者達って、割とちゃんとしているらしい。

 ……邪神呼ばわりされている母さんの信者はそれだけ規則正しい生活をしているのかと思うと何だか変な感じする。逆に伯母さんの信者は数が多い分、所謂悪徳神官的な存在も居るらしいが。

 それにしても母さんの信者達って、伯母さんのことを嫌っている人がそれなりに居る。



 母さんは伯母さんのことを嫌いじゃないというか、寧ろ仲良くしている。だけれども、事実なんて知らない人の方がずっと多い。

 母さんが伯母さんと敵対していると思い込んでいる人って案外、多い。だから彼らが出会った伯母さんの信者――その中でもかなりの問題児たちの情報を話してくれた。


 そう言う存在には近づかない方がいいと、そう言っている。






「光の女神イミテアの信者達は、私達を改宗させようとする者も多いの。いつまでも私達がノースティア様のことを信仰していると、存在してはいけないものだとそう言って浄化と称して火あぶりにしようとするのよ」

「へぇ……」


 火あぶり……。いや、まぁ、うん。歴史上の中である魔女狩りみたいなものなんだろうなとは思う。実際の証拠はなかったとしても自分達にとっての敵を何らかの理由を掲げながら排除しようとすることって。


 というかさ、伯母さんってあんまり信者達の様子を見れていないんだろうな……とは思った。伯母さんは母さんのことを妹として可愛がっていて、大切に思っているのは確かだろう。

 俺のことも母さんの息子だからこそ気に掛けていてくれている。



 ただ神様っていうのは万能ではないから、勝手に伯母さんの信者達は母さんの信者を排除しようとしている。

 神様である伯母さんからしてみれば、人間達のことなんてそれこそどうでもいいとさえ思っているのかもしれないけれど……もう少しどうにか出来なかいのかというのは伯母さんにも言っておきたいな。というか母さんにもだな。

 信者達がそれなりの危機に陥っているわけだし……。父さん経由で伝えれば母さんはおそらくちょっとした対応はしてくれるはず。


 もちろん、母さんが何かしたところで全てが解決するわけじゃないけれど、少しはましになるのでは? と勝手に思っていたりする。



 ここで俺が母さんの信者達の前で伯母さんを庇う言葉でも言い放ったらスパイか何かにでも勘違いされそうなのでそんなことを言うことはしなかった。流石にそこまで考えなしではない。




 踊りの後は、歌を捧げることになる。ここには俺も混ざっている。それにしても堂々と歌っている人達ばかりだ。人前で歌を披露するのなんて少しだけ恥ずかしいし、慣れない。

 ただ彼らは周りの視線は一切気にしていなくて、ただ信仰の対象である母さんに捧げるためだけに歌っているというのは分かる。

 ちょっとしたミスがあっても咎めることもなかった。想いが籠っていればそれでいいという感じらしかった。



 ……うん、俺は自分の歌う場面をおそらく母さんが見ていないことにほっとした。いや、だって拙いものだし。なんか恥ずかしいしな。



 母さんは歌が好きだと思われているらしかった。

 実際はどうだろうか? うーん、たまに鼻歌は歌っていたけれどそのくらいだな。父さんが好きなゲームやアニメの歌はよく歌っていた気はするけれど、本人が歌を好きということはない気がする。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ