番外編その86:エチュード⑤
「ニャポニャポ、エクフラ、のわっさFOOOOOO! ――1ニャッポ!」
「に、2エクッフ!」
「3わっさ!」
「4FOOOOOO!」
「「「「ニャクっさFOOOOOO!」」」」
「FOOOOOO!!!! やっぱ『ニャポエクわっFOOOOOO!』は面白いね!」
混ぜスギィ!!!!!
まーちゃん絶対ドリンクバー全種類混ぜるタイプでしょ!!?
「エッ、エッ、エチュード、エッエッエチュード」
――!?
まーちゃん!?
「エッ、エッ、エチュード、エッエッエチュード」
――!?!?
篠崎さん!?!?
「エッ、エッ、エチュード、エッエッエチュード」
勇斗まで!?!?!?
「フッ、エッ、エッ、エチュード、エッエッエチュード」
「うふふ、エッ、エッ、エチュード、エッエッエチュード」
変公と優子も教室に入ってきた!?!?!?!?
「「「「「エチュード~~~~」」」」」
………………。
何これッッッッ!!!!!!!!
「フッ、という訳でエチュードだ」
……。
まあ、エチュードなんだろうなとは思ったけどさ。
「フッ、サブエチューダーの二人カモンッ!」
「……何ですかサブエチューダーって」
「まあまあ微居、今回も参加させてくれるっていうんだから、お言葉に甘えようぜ」
サブエチューダーの絵井微居コンビもキタッ!
まあ、僕もサブエチューダーの意味はよくわからないけれども!
「フッ、そして今回の日替わりエチューダーはこの二人!」
「押忍! 失礼のないようにみなさん殺す気でいくんで、よっしゃっしゃすッ!!」
「……峰岸先生、どういう状況なんですかこれは」
熊谷さんと孝一兄ちゃんが日替わりエチューダーなの!!?(いやだから日替わりエチューダーって何!?)
「フッ、では今回も五人対五人のチーム対抗戦だ。みんなキングエチューダー目指して死力を尽くせ!」
「「「おー!」」」
……結局単語の意味は一つも教えてくれなかったッッ!!!!
「うふふ、先ずは私達Aチームからよ」
「よろしくね熊谷さん!」
「押忍! よっしゃっしゃすッ!!」
「いやあ、緊張するなあ」
Aチームのメンバーは僕、まーちゃん、優子、熊谷さん、勇斗という構成だった。
まーちゃん以外は前回からガラッと変わったな。
とはいえ、まーちゃんがいる以上チュパカブラの恐怖は拭えないが……。
因みにまーちゃんと熊谷さんは肘-1グランプリの決勝戦で戦って以来すっかり意気投合したらしく、今ではとても仲良しだ。
脳筋同士気が合うんだろうね(辛辣ゥ)。
「フッ、ではAチームのテーマは初心に返って『職員室』としよう!」
『職員室』……!!
僕が初めてチュパカブラにされてしまった因縁の場所……!
……くっ、もうイヤだ!
今回ばかりはチュパカブラになるのだけは絶対イヤなんだ……!
「あ、あの、梅先生! 提案があります!」
「フッ、何だ智哉、言ってみろ」
「は、はい、どうも僕らのエチュードは、毎回UMAが出て来過ぎだと思うんです」
「フッ、それで?」
「はい、それだとあまり演技の練習にならないんじゃないかと思いまして。やはりいろんな役を演じてこそのエチュードだと思いますし」
「フッ、なるほど、一理あるな。――では諸君、今回はUMAを出すのは禁止とする! いいな?」
「「「はーい」」」
おお!!
僕の意見が通った!!
いや言ってみるもんだねッ!
ブラック企業にお勤めの方も、勇気を出して上司に勤務体制を改善してもらうように訴えた方がいいよ!(それで改善されるなら最初からブラックじゃないよ)
「うふふ、AチームのエチューディングをBチームに見せつけてあげましょ。エチュードエチュードエッチュッチュー!」
「「「エチュードエチュードエッチュッチュー!」」」
ふふふ、UMAにさえされないなら、僕にも勝機はある!!
まあ、エチューディングの意味は判然としないけれども!
「おはようございまーす。あれ、まだ他の先生は来てないかあ」
――!
今回も一番槍はまーちゃんか。
でもこれは想定内だ。
いつものUMA戦法が使えない以上、まーちゃん恐るるに足らず!
僕は意気揚々と舞台に上がった。
「おはようございます足立先生。お早いですね」
「キャアアアッ!! 何でこんなところに織田信長が!?」
「っ!!!?」
ノッブリート!?!?
そ……ッッ、そうきたかァ~~~ッッッ(烈○王)。
UMAがダメなら、戦国武将にしちゃえって発想ね?
…………うん、やっぱ僕の彼女はどうかしてるなッッ!!!
「いやあッ!! こないで!! こないでええええ!!!」
「……」
そもそもな話、チュパカブラならまだしも、何でパッと見で僕が織田信長だってわかったの?
信長ってそんなに見た目特徴あるかな?
あと百歩譲って織田信長だったとしても、そんなに怖がることなくない?
確かに信長は第六天魔王なんて呼ばれてたりもするけど、最近の研究じゃ意外と良い人だったなんて説もあるらしいよ!(必死)
……とはいえ、信長と呼ばれてしまった以上、何が何でも信長を演じ切らねばならないのはエチュードの絶対的なルール!
演るしかないのか……!
「そ、そうだノッブ。我は第六天魔王、織田信長だノッブ。人間五十年~」
「ヒィィ! 敦盛踊ってるううう!!」
信長の語尾は絶対「ノッブ」じゃないと思う!!!!(セルフツッコミ)
もういっそ殺してくれ……!!
「押忍! そこの第六天魔王のことはジブンに任せてくださいっす!」
――!!
その時、熊谷さんが颯爽と舞台上に躍り出た。
く、熊谷さんはいったい何役なんだ……!?
「あ、あなたは」
「押忍! ジブンは第六天魔王絶対殺すマンこと、明智光秀っす!」
「まあ、あなたがあの!」
麒麟がきたッ!!!
これはマズいぞ……!
光秀は言わば信長の天敵……!
このままでは本能寺で敦盛っちゃうこと必至!
「さあ、覚悟するっすよ第六天魔王! 必殺の光秀正拳突きで、お前を敦盛ってやるっす!」
「……くっ!」
そう言うなり熊谷さんはただならぬ殺気を纏ったまま、じりじりと僕に近寄ってきた。
……え? まさかガチで僕に光秀正拳突きを打つつもりじゃないよね?
これ演技だってわかってるよね??
そもそも『光秀正拳突き』というネーミングをスルーしてあげた僕をもっと褒めてくれてもいいと思うんだけどね!!
「待て待て待てーい」
「「「――!!」」」
その時だった。
満を持して勇斗が舞台上に現れた。
この感じは……!?
例によって田島勇斗仮面か……?
でも今のところ戦国武将縛りで来てるけど、果たして……。
「押忍! 何者っすか! 名を名乗るっす!」
「俺は正義の関白ヒーロー、『豊臣秀吉田島勇斗仮面』だのわっさほーい」
「なっ!? お前があの有名な!!?」
豊臣秀吉なのか田島勇斗なのかどっちだよ!?!?!?
最近の勇斗はやんちゃにも程があるぞッ!!!
……だがこれはチャンスだ。
秀吉といえば、光秀の天敵にして信長の忠実な僕!
これで勝つる!(ネットスラング)
「猿よ、よくぞ参ったでノッブ! この裏切り者に、天誅を下すでノッブ!!」
「うるさいッ!!!」
「っ!?!?!?」
ひ、秀吉???
「今の俺は豊臣秀吉田島勇斗仮面だのわっさほーい! もうお前の知る猿ではないのだわっさほーい!」
いやどういう理屈????
「二人共必殺の関白パンチで敦盛ってやるっさほーい!」
「押忍! 受けて立つっすよ!!」
「まあ! このままじゃ職員室が滅茶苦茶になってしまうわ!」
そういえばテーマは職員室だったねッ!!!
相変わらず職員はまーちゃんしかいないけれども!!!
「うふふ、そこまでよ!」
「「「――!!!」」」
優子ッ!!!
今回も締めはお前なのか……。
この流れからいって、最有力は徳川家康役ってところだが――。
「あ、あなたは」
「うふふ、私は『彼氏の同窓会についてくる女』よ」
彼氏の同窓会についてくる女?????
いや確かにそういう人たまにいるけど!!!
周りがどう扱っていいか、滅茶苦茶戸惑うやつだけど!!!
……戦国武将はッッ!?!?!?!?
ここまでずっと戦国武将の流れで来てたんだから、お前も踏襲しろやッッ!!!!
「うふふ、そんな私から、あなた達に一つだけアドバイスをあげるわ」
「「「――?」」」
アドバイス?
「――同窓会で学生時代好きだった人に再会することになっても、大抵もう結婚してるか見る影もなくなってるかのどっちかだから、過度に期待しない方がいいわよ」
「「「――!!」」」
マジなアドバイスキタッ!!!!
金言あざーーーっす!!!!(迫真)
「うふふ、ハァーイオッケェ! ベストエチューディングだったわよみんな。よくぞここまでエチューデシベルを高めたわね」
「フフン! 今回はキングエチューダー狙ってるからね!」
「押忍! 日々の修練の賜物っす!」
「のわっさほーい!」
とりあえず僕はもう帰ってもいいかなッ!!!?
心の傷を癒すためにさっさと温かいお布団に入って寝てしまいたいよ僕はッ!!!
「フッ、これはBチームも負けてはおれんな。いくぞ諸君!」
「「おー!」」
「……おー」
「お、おー」
Bチームの注目は、やはり初参戦の孝一兄ちゃんかな。
――受けるがいいよ孝一兄ちゃん、エチュードの洗礼を(倒置法)。
絵井「微居、演劇の発声は腹式呼吸が大事らしいぜ。ちょっと腹筋触っててやるから、腹式呼吸してみ?」
微居「やめろ。気安く俺に触るな」
ぶるうちいず先生「(エクストリームヘヴンフラーーーッシュ!!!!)」




