番外編その50:絶対に困惑してはいけない青春ハイスクール24分!
「フッ、いいかお前達、この線を超えたら24分間は、絶対に困惑してはいけないぞ。もし困惑したらキツい罰が待っているからな?」
「はーい」
「了解です、コーチ!」
「ああ、いいですよ」
「……」
いや何これッ!?!?(困惑)
今僕達は、教室を出てすぐの廊下に立っている。
放課後突然変公に呼ばれたと思ったら、前述の大晦日によく聞くような台詞を言われ、僕は早くも困惑している……。
困惑してはいけないの?
笑ってはいけないじゃなくて?
「梅先生、何なんですか唐突に? あまりくだらなそうなことなら、僕もう帰りたいんですけど……」
「フッ、まあそう言うなハマダ。これも社会勉強の一環だぞ」
「僕がハマダなんですか!?」
いや、まあ、確かにツッコミポジだから、あの五人の中だったら、そうか……。
「私は俄然やる気ですよ! 私のお母さん、前に笑ってはいけないにエキストラ出演したことありますし!」
「フッ、それは頼もしいなマツモト」
久々に出たねまーちゃんのお母さんのチート設定!?
そしてまーちゃんはマツモトなのか。
まあ、僕がハマダだから、さもありなんといったところか。
「エンドウとタナカも心の準備はいいな?」
「はい、コーチ!」
「いいですよ」
篠崎さんがエンドウで勇斗がタナカか。
これも妥当かな。
てとこは消去法で変公はホウセイか?
……マスコットキャラ的なという意味では、合ってはいるけど。
「フッ、ではいくぞ諸君ッ!」
「「「おー!」」」
「お、おー」
はぁ……。
メッチャ帰りたい……。
「お、早速最初の刺客がお出ましだぞ」
「!」
僕達の前に現れたのは、まさかの絵井君と微居君であった。
のっけから君達か!?
二人共頭にハチマキを巻いており、二人の間には臼。
そして微居君は杵を持っている。
こ、この構図……!?
もしやッ!?
「世の中にはどんな男がいるんだぁ!?」
「お正月だからって、彼女と羽根突きをして遊んでる男がいるんですよ~」
っ!!
やっぱりッ!!!
「な~~にぃ~~!? やっちまったな!!!!」
「男は黙って」
「独り羽根突き!」
「男は黙って」
「独り羽根突き!」
「あらら~、地獄絵図だよ~」
「「クールクールクールポコ! オス! あっした!!!」」
……えぇ。
『デデーン。ハマダ、アウトー』
「なっ!?」
どこからともなくお馴染みの効果音が聴こえてきた。
「どうも、私が伝説の神獣アーティスティックモイスチャーオジサンです」
「ふおっ!?」
そしていつの間にか僕の横に、サラッサンが立っていた。
サラッサンは髪の毛をニョキニョキと伸ばし、バットの形にした。
「ちょっ!? ちょ待――」
――スパーン
「ニャッポリートオオオオオ!!!!」
ケツバットが炸裂した。
「フッ、情けないな智哉。このくらいで困惑してしまうとは」
「いや誰でもするでしょこれは!? むしろ何でみんなは平気なの!?」
「んふふ~、ケツバットされてる時のともくん、とっても可愛いかったよ」
「まーちゃん!? 僕の話聞いてるッ!?」
こんなところで持ち前のドSっぷりを発揮しないで!!
そういう点では、どちらかというとまーちゃんの方がハマダっぽいよね!?
「フッ、では時間もないからな。ちゃっちゃと次にいくぞ」
「「「はーい」」」
「……」
よもやこれも†カオスオーナー†の効果の一つなのか……?
「お、次の刺客が来たぞ」
「!?」
続いて僕達の前に登場したのは、皆川先輩と古賀さんであった。
もう負け確の予感しかしないッ!!!
「古賀、何なんだこの小説は。相変わらず内容が滅茶苦茶じゃないか」
「す、すいません先輩……。次こそは必ず!」
「いや、もういい……。やはりお前には小説家の才能はなかったんだ。もう小説家は諦めろ」
「そ、そんな……!?」
「……だから今後は、俺の生涯のパートナーになってくれ(指輪が入った箱をパカー)」
――!!
「せ、先輩……!!」
「――やっと気付いたこの気持ち」
「――遂に届いたこの想い」
「「イエス、フォーリンラブ」」
…………えぇ。
『デデーン。ハマダ、アウトー』
「……」
「どうも、私が伝説の神獣アーティスティックモイスチャーオジサンです」
「……」
――スパーン
「ニャッポリートオオオオオ!!!!」
ケツバットが炸裂した。
「もう無理です梅先生!! このままじゃ僕のお尻がもちません!!!」
「えっ!? あ、浅井君のお尻が、もたない……!?」
「ぶるうちいず先生!?」
ただでさえ今回いろいろとキャパオーバーなんですから、余計な仕事を増やさないでください!!
「フッ、では次にいくぞ!」
「誰も僕の話を聞いてくれないッ!」
そもそも何だよ、†カオスオーナー†ってネーミングは!?(今更)
「フッ、どうやら真打が現れたようだぞ諸君」
「えっ!?」
「うふふ、覚悟はいいかしら、智哉くん?」
「ゆ、優子――!?」
白地に赤のラインが脇に入り、前面に「Sunshine 優子」とプリントされたノースリーブのシャツに、青の短パン、頭にはハチマキといった出で立ちの優子が現れた。
絶対アレじゃーーーん!!!!
「空前絶後のぉぉぉぉ! 超絶怒涛の宇宙海賊!! イケメンを愛し、イケメンに愛された女!! 俺様、ツンデレ、草食、ヤンデレ、全てのイケメンの生みの親!! 人呼んで、12星座最後の宇宙海賊!!! そう!! この私こそはぁぁぁぁぁ!! 例えこの身が朽ち果てようと、イケメンを求めて命を燃やし! 燃えた炎は星となり! 見るものすべてをイケメンに変える!! みんなご存じ!! そうこの私こそはぁぁぁぁ!! 最強無敵の宇宙海賊!! そのあまりのポテンシャルの高さに、忍者! 科学者! 魔女! 巨乳! 貧乳から命を狙われてる女ァァァァァ!!! そうこの私こそはあああああ!!! 天下無双の宇宙海賊!! あの! 日本一の優子を決める大会、優子-1グランプリセミファイナリストォォォ!! そうこの私はぁぁぁぁぁ!! 身長! 166センチ! 体重はヒ・ミ・ツ! 長所! せくすぃなところぉ! 短所! せくすぃ過ぎるところォ! 宇宙海賊界に舞い降りたクイーン・オブ・逆ハー! そうこの私はぁぁぁぁぁ!! 1696年生まれ! 出身地はぁ母親ぁ!! 家族構成!!! 父! ガイア・ユーゴー!! 母! ポセイドン・ユーゴー!! 兄! マサオ!! そう、そしてみんなお待ちかね長女で末っ子この私はぁぁぁぁぁぁぁ!!! サンシャイィィィィンゆ・う……
便局の近くの肘川北高校でぇ!! 普段養護教諭してまぁす! 月給! 12万円! 貯金残高! 69690円!! キャッシュカードの暗証番号! 1107! 肘北の生徒のみんな!! 今がチャンスでぇす!! もう一度言います! 1107、『イイ女』って覚えてくださぁぁい!!――そう!! 全てをさらけ出したこの私はぁぁぁぁぁぁ!!! サンシャイィィィィィィィン!!!!! ゆ・う!!!! ボゴォ!!!! こ!!!!!!
イェェェェェェェェェェェェ!!!!! ジァァァァァァァァスティス!!!」
…………月給低いな。
あと、お前300歳超えてんのかよ……。
『デデーン。ハマダ、アウトー』
「……」
「どうも、私が伝説の神獣(ry」
「……」
――スパーン
「ニャッポリートオオオオオ!!!!」
ケツバットが炸裂した。
「異議あり!!!!」
「却下だ智哉。まあ時間的に次でラストだ。あと少しの辛抱だぞ? 今までよく頑張ったな。私はお前なら乗り切れると信じていたぞ」
「何でちょっと良い話風にして誤魔化そうとしてんですかッ!? その手には乗りませんよッ!!」
「おっ、そうこうしているうちに、最後の刺客のお出ましだ」
「え――ええっ!?」
そこに現れたのは、何と絵井君と微居君であった。
まさかの二回目!?!?
「――なあ、微居、お前、関西の大学受験するってホントかよ」
「……ああ、本当だ」
……!?
「何で俺に黙って勝手に決めてんだよ!! 二人で千葉の名門大学に入って、大学野球で天下獲ろうって約束してたじゃないか!!」
「ああ、確かに約束した。――だが今の俺じゃ、お前には相応しくない」
「――! び、微居……!?」
「お前は捕手として既に一流だ。――だから俺も、お前に相応しい投手になれるように、関西の大学で一から修業し直すって決めたんだ」
「……微居」
「次はプロの世界で会おう、絵井。俺とお前のバッテリーで、日本のプロ野球界に革命を起こすんだ」
「……わかった。今度こそ約束だぜ(固い握手)」
「――俺とお前の二人なら」
「――どんな苦難も乗り越えられる」
「「イエス、フォーリンラブ」」
………………うわぁ。
「えっ!? ちょっと待ってちょっと待って!? こ、これは……!? つまり、そういうことなの……!? 絵井君と微居君がアレでコレで!?!? 公式が最大手ってやつ!?!? えー、これはちょっと青天の霹靂っていうか棚から牡丹餅っていうかとにかくありがとうございます本当にありがとうございますいつもお世話になっておりますエクストリームヘヴンフラーーーッシュ!!!!」
っ!!?
……ぶるうちいず先生。
『デデーン。ハマダ、エンドウ、アウトー』
「……」
「感謝! 神に感謝!!」
「どうも、私(ry」
「……」
「尊い! 尊いオブ尊いッ!!!」
――スパーン
――スパーン
「ニャッポリートオオオオオ!!!!」
「エクストリームヘヴンフラーーーッシュ!!!!」
ダブルケツバットが炸裂した。
……みなさん、良いお年を。
茉央「因みにこんなネタをやっておいて何だけど、作中ではまだ10月の下旬くらいだから」
智哉「作中って何!?」




