特別編:ギャラリー『gift』④
今回は恒例の特別編第四弾です。
例によって本作にいただいたファンアートを紹介させていただきます。
今回のファンアートは「砂臥 環」様からいただきました!
「番外編その16:肘コレ」のイラストです!
その節は誠にありがとうございました!
「砂臥 環」様の
「続・騎士団長と嫁」
https://book1.adouzi.eu.org/n7833fd/
も、是非ご高覧ください!
「あ、『gift』だ」
「え?……ギッフリート!?!?!?」
今日はいつぞやダブルデートをした遊園地にまたいつもの四人で来たのだけど、以前はお化け屋敷があった場所に、あろうことか『gift』が出来ていた。
もうこれ、何でもアリだな……。
「今日はどんなファンアートが見れるのかな! もちろんみんなも寄ってくでしょ?」
「ああ、いいぜ」
「私もいいよ茉央ちゃん」
みんなもうここに『gift』があることに対して疑問すら抱かなくなっちゃったの!?
これ僕の感覚がおかしいの!?
「さあさあ、ともくんもちゃっちゃと歩いて歩いて~」
「ま、まーちゃん!?」
まーちゃんは手を使わず、おっぷぁいだけで僕の背中をグイグイと押してきた。
あ、あんま押さないでよお~~~~(ご満悦)。
「画廊だああああああヒャッハー!!!」
「『ヒャッホー』が『ヒャッハー』になってるよまーちゃん!?」
完全にやつらに影響受けてるじゃんッ!
――さて、予想通り内装はいつもとまったく同じだな。
まあ、異星人がいるくらいなんだから、いろんな場所にワープする画廊があっても不思議じゃないのかな(感覚が麻痺してきている)。
「こ、これはッ!!!?」
「え?」
途端、勇斗が悲鳴にも近い声を上げた。
どうした勇斗!?
僕は勇斗の目線の先に目を向けた。
そこにはこんな絵が飾ってあった。
スックミーズ!?!?
これは、肘コレの時の白スク篠崎さん!?!?!?
エッッッッ。
何てせくしぃなイラストなんだ……。
期待と不安が入り混じった、恥じらいを含んだ表情。
そして白スクによって露わになった、なだらかな曲線を描いているボディライン。
胸の『しのざき』の名札といい、破壊力ばつ牛ン(ネットスラング)だ!!!
やっぱ白スクは偉大やな。
一富士二鷹三白スクだよ(?)。
――あ! でもマズい!
こんなもの見たら、勇斗がッ!
「ぐ、ぐふぅ」
「勇斗くん!?」
「「っ!?」」
案の定勇斗は、鼻からボタボタと紅いパッションを迸らせた。
……嗚呼、そりゃ篠崎さん大好きっ子の勇斗が見たら、こうなるよね。
「大丈夫、勇斗くんッ!?」
「あ、ああ、大丈夫だ……。むしろ俺は今日という日のために、この世に生を受けた」
「何を言ってるの!?」
悪い意味で感極まってんなお前。
でも今からそんなんでホントに大丈夫か?
僕の予想じゃ、この流れだと次の絵は――。
「――なっ!? そんなあああ!!!」
「勇斗くん!?!?」
勇斗はさっき以上の空気をつんざくような悲鳴を上げた。
その視線の先にはこんな絵があった。
ブッルマート。
やっぱりね。
さっきの感じだと、次はこれだと思ったんだよ。
これで前のウェディングドレスと合わせて、肘コレ衣装コンプだな。
このイラスト描いてくれた方、篠崎さん大好きだよね。
それにしても、このイラストの殲滅力も桁違いだな。
この、「ち、違うんだよ……。コケちゃったからビリになっちゃっただけで、ホントはもっと良い順位だったんだよ……」とでも言いたげな表情。
シッカリと膝に貼られた絆創膏。
頭に巻かれたハチマキと、後ろで一本に縛られた黒髪!
そして何より、プリっとした形の良いお尻を強調した赤ブルマー!!!!!
黒のソックスも個人的にはポイント高いね(謎の評論家気取り)。
何だか『6』と書かれた順位の棒も、何かの暗喩に見えてくるよ(思春期男子特有の暴走する妄想)。
――ハッ! だからマズいって!!
流石に二連続は、勇斗がもたないッ!!
「ぬわーーっっ!!」
「勇斗くーーーん!?!?!?」
「「っ!!!?」」
勇斗は鼻からアーチ状の情熱の薔薇を噴き出して、その場に卒倒した。
遅かったか……。
「ゴ、ゴメンね二人共ッ! 私、勇斗くんを医務室に連れてくね!」
「あ、うん」
「ハイハイ、気を付けてね~」
篠崎さんに肩を借りて運ばれていく図体のデカいムッツリ男の背中を、僕とまーちゃんは見送った。
あいつ、本当に幸せそうだよな。
「ふふふ、やはり今回のイラストは、彼には刺激が強過ぎたみたいですね」
「あっ、マサキさん」
この人が急に登場するのにも、段々慣れてきたな。
慣れって怖いぜ。
「実は今日はお二人に、紹介したい方がいるんですよ」
「「え?」」
紹介したい方?
「どうも! はじめまして浅井くん、足立さん! きゃああ、本物だー!! はあああ、ひんむきたい、ひんむきたいよおおおお」
「「っ!!?」」
どこからともなく美人だけどやたらハイテンションなおねえさんが現れた。
どちら様ですか!!?
「ご紹介します、こちらはミドリさんです」
「どうもどうも、ミドリです! よろしくね二人共ッ!」
「「……はあ」」
ハイテンションミドリさんは、ダブルピースで自己紹介をしてくれた。
「ミドリさんは、以前見ていただいた、このバナーを作ってくれた方なんですよ」
「「えっ!!?」」
そうなんですかッ!!?
それはどうもありがとうございますッ!
「頑張りました!」
「ありがとうございますッ!! 私、このバナー大好きなんですッ!!」
まーちゃんはミドリさんに、キラッキラした憧れの眼差しを向けている。
ああ、ちょっとだけミドリさんとまーちゃんって性格が似てる気がするな。
「ミドリさんは是非お二人に会いたいと仰ってくれまして、こうしてお越しいただいた訳です」
「そうなんです! 会いたかったよ二人共~」
「あ、どうも」
「私もお会い出来て光栄ですッ!」
「うんうん――ミドリのMは、ドMのM!!」
「「――!!?」」
ミドリさんは唐突に、両手でMの形を作って謎のポーズをキメた。
どうされたんですか急に!?!?
「マサキのMも、ドMのM!!」
「「――!???」」
マサキさんまで!?!?
ははーん、さてはこの二人、ヤバい大人だなッ!?
「ま、まーちゃん、そろそろお暇しよっか?」
「あ、うん、そうだね。ミドリさん、またお会いしましょうねー!」
「うん! この次会う時は、ひんむかせてねー!」
むかせないですよッ!!?
……やれやれ、世の中にはいろんな大人がいるんだな。
また一つ人生の奥深さを味わった、とある秋の日の出来事であった(何故最後は純文学風に?)。
絵井「次は何に乗る、微居?」
微居「……田島と篠崎だ」
絵井「え? あ、ホントだ。何だか田島具合悪そうだけど、大丈夫かな?」
微居「これはチャンスかもしれない」
絵井「何のだよ!? とにかくその手に握った岩を仕舞え!!」




