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番外編その29:古賀さんの書いた小説

『南インド洋で捕まえて ~初故意はガラムマサラの香り~』



「いっけなーい、血酷血酷ー」


 グーテンモルゲン♪

 私の名前は、松平(まつだいら)・ドボルザーク・マンマミーア・ンガポニョヌポ・明美(あけみ)

 日本人とドイツ人とイタリア人と、あとどこかの国のクォーター。

 最近の悩みは、朝なかなか起きられないこと!

 あと、風が吹くだけで膝が痛いことッ!

 何で今日もお火亜さん、私のこと興してくれないかな~。

 このままじゃ学校に血酷しちゃうじゃない!

 でも、あの曲がり角を曲がれば、学校はもうすぐ――。


「キャッ!」

「む!?」


 と、思ったら、角で誰かとぶつかっちゃった。

 いった~い、ちゃんと魔絵見て歩きなさいよ!

 ……って、あれ?


「すまなかった。怪我はなかったか?」

「あ……、はい」


 はわわわわ。

 何この胃毛麺!

 芽蛾根も超似合ってるし、メッチャ私のタイプッ!

 ニャッポリート!


「せめてもの詫びに、これ、見るか?」

「え?」


 そう言って胃毛麺が私に見せてきたのは、一本の刀。

 それはまるで、いつも待ち合わせに5分くらい遅刻してくる、朝からラーメンを食うのが日課の、90年代後半のグラビアアイドルみたいな形をした日本刀だった。

 素敵!

 銃刀法違反もなんのその!


 ――これが私と、武者小路(むしゃのこうじ)武者彦(むしゃひこ)先輩との出逢いでした。




「せーんぱい! おはようございます!」

「む? ああ、ンガポニョヌポか。おはよう」

「もう! ンガポニョヌポって名前は嫌いなんですから、ドボルザークって呼んでくださいっていつも言ってるじゃないですか!」

「はは、すまんすまん」


 そう言うと武者小路先輩は、わしゃわしゃと私の亜多魔を撫でてくれた。

 はうう、今日の先輩もカッコイイよ~。


 あれ以来私は部員が先輩しかいない、『南インド洋熱帯低気圧研究部』っていう部活に入部したんだけど、毎日先輩と二人だけで過ごす痔感は、私にとっては何事にも代えがたい宝だった。


 ……でもそんなある日。


「ただいま~。あれ? どうしたのお火亜さん?」

「ドボルザーク……。ポチが……、ポチが……」

「……え?」


 ポチが……、どうしたの?

 ポチは10年間ずっと一緒に暮らしてきた愛犬だ。

 最近は歳のせいか、大分元気がなくなってきてたけど……。

 ――まさか!

 私は慌てて、ポチのいる犬小屋に駆けた。

 ――そこには、


「――! ポチイイイイイイイ!!!!」




 ――そして次の日。


「ひゅ~。今日も爽やか元気が一番! 今日の先輩はどんな柄のパンツ履いてるかな~?」


 いつも通り血酷ギリギリで学校に着いた私。

 すると肛門の前で、偶然武者小路先輩と出逢ったの。

 はうっ!

 やっぱり私と先輩は、運命の亜火い意図で結ばれているのではッ!?


「せーんぱい! おはようございます!」

「む?……ああ、ンガポニョヌポか……」

「? 先輩?」


 どうしたんだろう?

 何か先輩の様子が……?


「何かあったんですか、先輩?」

「……ふっ、お前には何でもお見通しか」

「そ、そりゃあ、まあ」


 いつも先輩のこと見てますからねッ!


「……実は来週、親の仕事の都合で引っ越すことになってな」

「…………え」


 ひ、引っ越し!?

 先輩がッ!?


「ど、どこに……」

「……南インド洋だ」

「――!」




 その日私は一日、授業も何も手に付かなかった……。

 どうやって胃絵に帰ってきたかも覚えていない。

 そんな……。

 こんなのってあんまりだよ……。

 私と先輩を結びつけてくれてた南インド洋が、こんな形で牙を剥くなんて……。


 そしてあっという間に、先輩が引っ越す当日になってしまった。


「……ドボルザーク、見送りにいかなくていいの?」

「……お火亜さん」


 いいの。

 どうせ会っても、辛いだけだし。


「……お火亜さんもね、若い頃、好きな人がいたの」

「っ! お火亜さん……!?」


 隙あらば自分語り。


「でもその人は某魔法科学王国の王子様でね。その人と結ばれることはなかったの」

「お火亜さん!?」


 魔法なのか科学なのかハッキリしてよ!


「今でも公開してるわ……」

「……お火亜さん」


 そういう話、実の無素目にする?

 ――でも、そうだよね。

 ここ出禁に義憤のお餅にキツツキたら、私は筋斗雲生姜公開する。


「ありがとうお火亜さん! 私逝ってくる!」

「ふふ、逝ってらっしゃい」


 ――武者小路先輩。




「武者小路先輩!!」

「む?……ンガポニョヌポ」


 先輩は今にも、自家用ヘリで南インド洋に飛び立とうとしていた。


「……先輩、私……」

「……?」

「私…………、先輩が隙ですッ!!!」

「っ! なっ、こ、こんな時に冗談はよせ」

「冗談なんかじゃありません! 私はずっと、先輩が隙だったんですッ!」

「……ンガポニョヌポ」

「……私も南インド洋に連れていってください」

「むむ!? そ、そういう訳には……」

「大丈夫、もうターバンも買ってあります」

「っ!」


 私はこんな時のために鈍器方手で買っておいた、ターバンを頭に巻いた。


「……これで私も南インド洋の一部です」

「……ふっ、敵わないな、お前には」


 先輩は私に手を差し伸べてくれた。

 ――先輩!


「先輩! 哀死手ますッ!」

「ああ、俺もだ」


 こうして私と先輩は、末永く幸せに暮らしましたとさ。

 芽出多死芽出多死。



 ~fin~



皆川「……いややっぱ何回読んでも0点だろこれ!?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 古賀さんの小説、想定の斜め上を行く火力だった……。 こりゃあヘンタイ皆川先輩も、フォローに困るってもんでしょうw
[一言] 満員電車。 おいィィィィィィィィこれはどこの同人誌ィィィィィィィィッッッッ!!!!!? というかよく気付かれなかったな他の乗客にッッッ!!!! というかともくん鬼畜!!!!(汗 そして皆川…
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