番外編その93:兄貴⑤
――時は少々巻き戻る。
智也が茉央ちゃんとホーリーナイト(隠語)しているクリスマスイブの夜。
俺は愛しの梅先輩から、IGAの事務所の一室に呼び出されていた。
クリスマスイブに俺を呼び出すなんて、これはもう完全にアレしかない……!
――そう、卒業だ。
遂に梅先輩は満を持して、俺の童貞を卒業してくれるつもりになったらしい。
……永かった。
梅先輩と運命的な出逢いを果たしてから、早や数年――。
いままで幾度となく卒業しそうなシチュエーションはあったものの、そのたびお預けを喰らい、今日まで純潔を守り抜いてきた俺。
それもこれもクリスマスイブという、日本人の性欲が一年で一番高まる日を卒業にあてようという梅先輩の気遣いだったのですね……!(感涙)
俺の正妻は、何て出来た人なんだ!(ドヤ顔)
これぞ内助の功!
これには利家とまつもニッコリ!
俺は万感の思いを込めて、事務所の扉を開いた。
「お待たせいたしました梅先輩! あなたにとっての前田利家、浅井が馳せ参じましたよ!」
「フッ、よくぞ来たなダルダルマイスター。待っていたぞ」
「――!!」
そこにはドスケベなミニスカサンタのコスプレをした、正妻が仁王立ちしていたのである。
この時期のエロ漫画雑誌の表紙でよく見るやつだーーー!!!!(大歓喜)
「フッ、どうしたんだダルダルマイスター? そんな前屈みになって?」
「い、いえ、どうかお気になさらず」
おおふ……。
これは純潔には刺激が強いぜ……!
不自然におっぷぁいの位置に空いたハート型の穴……!
からの網タイツッ!!!
網タイツすこすこのすこ……!(迫真)
どう考えても良い子にプレゼントを配るのには不向きな格好だぜッ!!
むしろクリスマスツリー(隠語)がブッシュ・ド・ノエル(隠語)しちゃうぜッッ!!!
「えーと、ところで梅先輩、ご用件というのは?」
「フッ、私のこの格好を見ればわかるだろう?」
「は、はい――!!」
遂に、卒業ですね――!!
「今日はクリスマスイブだからな。いつも頑張っているお前に、クリスマスプレゼントを用意したぞ。ホレ」
「……え?」
そう言うなり梅先輩は、いつものようにおっぷぁいの谷間から何かを取り出した。
――見ればそれは、トナカイのコスプレ衣装だった。
…………は?
「サンタにはトナカイが必要不可欠だろう? その名誉ある役職を、お前に務めさせてやろう」
「っ!」
梅先輩から投げられたコスプレ衣装を、戸惑いつつもキャッチする俺。
――えーと、もしかしてこれ、またしても卒業はお預けパターンですかね?
「フッ、さっさと着替えんかこの赤鼻のトナカイ(隠語)がッ!」
「ひゃうんッ!」
梅先輩がおっぷぁいの谷間から取り出した鞭で叩かれる俺――。
ああーーーーーーーーー(恍惚)。
「フッ、どうだ、幸せかダルダルマイスター?」
「はいぃ、俺は世界一果報者の赤鼻のトナカイ(隠語)ですぅ」
四つん這いになった俺に、ドスケベサンタが座る。
柔らかく心地良い重みを、全身で堪能する。
卒業は果たせなかったものの、これはこれで、悪くないクリスマスかもしれない。
――メリークリスマス(隠語)。
ドスケベサンタ「今回挿絵に使わせていただいたイラストは『砂臥 環』様からいただいたものだ。
『砂臥 環』様の
『婚約者に逃げられました。』
https://book1.adouzi.eu.org/n2964hh/
も是非読んでくれ」
赤鼻のトナカイ「いつも本当にあざーーーっす!!!」




