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111-7

 街角お姫さまコンテスト当日。

 快晴の青空の下、それは開かれた。

 王都で一番広い広場が会場だ。


 俺とマリアを含めた参加者たちは舞台に上がっている。

 舞台の前には大勢の観客が集まって俺たちを見ていた。

 緊張する。


「では、ただいまより街角お姫さまコンテストを開催いたします。がんばってくださいね」


 ラピス王女が開会の宣言をした。

 コンテストの審査員には王族もいるのだ。

 王家の知らないところで勝手にお姫さまコンテストなんてやったら無礼だから当然だ。


 観客たちが拍手する。

 しかし、失敗したな……。

 俺は今さらになってコンテストに出場したのを後悔していた。


 コンテストの出場者は4組。

 まず、俺とマリア。


 それと仲睦まじげな老夫婦。

 ありふれた初々しい若者のカップル。

 プリシラくらいの年齢の男女の子供。


 このコンテストはどうやらゆるい雰囲気で開催されるものらしく、いわゆる『ガチ』で優勝を狙いにきているのは俺たちしかいないようだった。

 見たところ貴族は俺たちだけ。

 明らかに俺たちだけ場違いで、さすがに居心地が悪い。


 ラピス王女が一人ずつ、マイクと呼ばれる拡声の魔法道具を渡していく。


「私たち、結婚して60年目なんです。記念に参加させていただきました」

「私のナイトさま、すてきでしょ?」

「あたしがお姫さまでー、こっちがナイト!」


 ほのぼのとした雰囲気だ。

 間違いなく、この日に備えて礼儀作法や剣術の特訓をしたのは俺たちくらいだろう。

 マイクがマリアに回ってくる。


 マリアがぺこりとおじぎする。

 深呼吸してから、前をまっすぐ見てこう言った。


「わたくしとわたくしのナイトは幼馴染です。そして――」


 そして――どうやら俺は不器用らしい。

 優柔不断で、やきもきする場面も少なからずあったようだ。

 だけど、とても頼りになって、自分をいつも守ってくれる。

 力による強さと心による強さを兼ね備えた人。


 そんな人物だとマリアは俺を評した。

 それはなんだか俺に向かって言っているような気がした。


 拍手喝采が起きる。

 マイクをラピス王女に帰した後、マリアはちらりと俺に視線を向けた。

 気恥ずかしくなった俺は視線をそらして頭をかいた。


「それでは、これから三つの試練を彼女たちに乗り越えてもらい、誰がお姫さまにふさわしいか決めましょう」


 最初は学力を問う勝負。


「第1問。我が父グレイス王は今年でいくつでしょう?」

「はいっ」


 まっさきに挙手したのは老婦人。


「51歳でございます」

「正解です」


 すごい。即答だ。

 もしかすると彼女たちもこの日に備えていたのかもしれない。

 ちなみには俺はまったく知らなかった。

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