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101-5

 とりあえず一安心した。

 ケイとイリスの兄妹のラジオとはどんなたくらみかと思ったが、まったくの無害だった。

 むしろケルタスの活気づけるものだった。


 とはいえ、あのラジオ、領主の許可は取っているのだろうか……。

 たぶん、無断で放送しているのだと思うが。


 ラジオをきっかけに俺たちにもちょっとした変化が起きた。

 冒険者の仕事の依頼があるということで、冒険者ギルドを訪れると、俺たちは手紙を山ほど渡されたのだ。

 全部、ラジオ『サンタイム』あての手紙だった。


「大人気ですわね」

「みな、娯楽に飢えておるのじゃろう。実際、あやつらのラジオは面白かったからの」


 そういうわけで俺たちは郵便配達の仕事をすることになったのだった。

 遺跡の塔に行く。


「ケイさま、イリスさま。冒険者ギルドの者です。お手紙を配達しにきましたー」


 塔の入り口の前でプリシラがそう言うと、少し間を置いてからガラスの自動扉が開いた。

 中に入るとケイとイリスが出迎えてくれた。


「やあやあ、待ってたよキミたち!」

「お手紙の配達ご苦労さま」


 以前とは大違いの態度だ。

 俺は背負っていたリュックサックを彼らの前に降ろす。

 爆発寸前まで膨らんでいるリュックサックの中身はすべて兄妹あての手紙だ。


「す、すごい! こんなに……!」

「やったわね、ケイ」


 文字通り山ほどある手紙を前にして兄妹は感激していた。


「あはは。これだけの手紙、放送日までに全部読めるかな」

「うれしい悩みね」

「ラジオ、とっても楽しかったですよ、ケイさま、イリスさまっ」

「ありがとう! 獣耳ちゃん」

「よかったら上に上がってお茶でも飲んでいかない?」


 イリスの厚意に甘え、俺たちは兄妹のティータイムに招かれたのだった。

 昇降機で最上階へ。

 そして応接室らしき部屋で紅茶とお菓子を振舞われた。


 ケイとイリスはとても社交的でおしゃべりな性格だった。

 お茶を楽しみながら二人はひっきりなしにしゃべり続け、退屈な時間は一瞬たりともなかった。

 ただのおしゃべりじゃなくて、相手を楽しくさせる話術を心得ている。


「すっごい面白いね、キミたち! 不老不死の魔術師にその後継者! キミたちの冒険譚を聞いていて興奮したよ!」

「小説が一冊出来そうなくらいの心躍る物語だったわ」

「そうだわっ」


 ぽんと手を合わせるイリス。


「明日のラジオのゲスト、あなたがたに頼もうかしら」

「ゲスト?」

「ラジオには毎回お客さんを招くものなんだよ。キミたちもラジオでなにかしゃべってもらおうかな」

「な、なんだって!?」


 俺は驚いてしまった。

 プリシラやマリア、スセリは乗り気なようす。

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