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97-1

 地下の遺跡の地図も完成に近づいてきた。

 遺跡はたまごのあった場所が最深部だったので、あとは上の階の探索していない箇所を探索するだけだ。

 階下への最短経路から外れた経路を歩いていく。


 細い通路を歩いた先の部屋へ入る。


「機械人形がいるのじゃ」


 部屋には二体の機械人形がうろついていた。

 銃を持った人型の機械人形。


「さて、どうするのじゃ、アッシュよ」


 危険だが討伐しよう、と俺は提案する。

 ここの機械人形を排除すれば、探索可能な範囲が広がるし、地図もより詳しく描ける。

 スセリとプリシラ、マリアは提案に賛成してくれた。


 相手は以前にも戦った機械人形。

 魔法に反応して魔法障壁を展開してくる。

 だが、魔法以外の直接攻撃に関してはもろいのもわかっている。


「ワシが戦うのじゃ」


 珍しく、スセリが率先して申し出てきた。


「たまには運動をしないとのう」

「ですが、スセリさま。接近戦ならわたしにおまかせくだされば……」

「プリシラは地図描きで疲れておるじゃろ。遠慮するでない」


 背を低くして腰を落とす。

 じっくり力を溜めた次の瞬間、バネのように跳ねて疾駆する。

 瞬時にして機械人形の一体に接近すると、強烈な蹴りをかました。


 機械人形の腰から上が吹き飛ぶ。

 とてつもない威力の蹴りだ。


 魔力で身体能力を強化しているのは明らか。

 それにしても、これほどまでの威力を出せるほど強化できるとは。

 さすがは『稀代の魔術師』と言わざるをえない。


 まずは一体を撃破したスセリは、続けざまにもう一体の機械人形に近づく。

 そして腕をつかむと、背負い投げをして身体を地面に叩きつけた。

 床に叩きつけられた背中から身体全体に衝撃を受けた機械人形が、関節という関節から火花を出して壊れた。


「肩慣らしにもならんのじゃ」


 これだけの肉弾戦ができるなら、プリシラと戦ってもいい勝負になるだろう。

 普段はおちゃらけているが、やはり彼女の本性は偉大なる魔術師だと再認識させられた。


 障害を排除し、部屋の奥へと進む。

 そこには扉があった。

 たまごがあった部屋のときと同じ、機械的に封印されている扉だ。


 扉の側にはあのときと似たような台座があった。

 今回はボタンはついていない。

 代わりに手のひらの絵が描かれていた。


「ここに手を重ねろ、という意味かしら」

「あ、危ないですよ、マリアさまっ」


 マリアが臆せず台座に手のひらを乗せる。

 すると、台座が赤く発光すると同時に、頭上から女性の抑揚のない声が聞こえてきた。

 声は古代文明の言語のようで、意味は理解できない。


「スセリ。今の言葉の意味はわかるか?」

「『お前じゃ先には通せん』と言っておった」

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