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80-2

「おぬしらというやつらは……」


 よくわからないが、呆れたようす。

 写真を撮るのに失敗したのかもしれない。


「スセリさま。写真を見せてくださいまし」

「ほれ」


 スセリが端末の画面を見せてくる。

 そこに写っているのは――花火に驚いて首を引っ込め、目をつぶる俺たちだった。

 なんとも間抜けな絵面だった。


 なお、背後の花火はきれいに撮れている。

 写真を撮りなおそうにも、花火はもう終わっている。

 暗い夜空を背景に写真を撮ったところでつまらない絵になるだけだ。


「まったく、肝心な時に失敗しおって」

「わたくしたちは悪くありませんわ」


 まあ、これはこれで思い出に残るな。

 とはいえ、やはりちゃんとした写真も撮りたいので、俺たちはバルコニーを出て『シア荘』の前であらためて写真を撮った。

 今度はスセリが撮った後、俺が彼女に代わって撮った。


 花火を堪能して写真をしっかり撮って、やるべきことはやり終えた。

 今、俺たちは『シア荘』の中に入ってリビングでくつろいでいる。


「ベオは今夜は泊っていくんだよね」

「女の子がひとりで夜道を歩くものじゃない、って師匠が言ってたし」


 ところで、さっきからスセリの姿が見えない。

 家の中に戻ってすぐ、二階に行ってしまったきりだ。


「おーい、ユリエルよ」


 スセリが戻ってきた。


「なんだよ」

「おぬしにこれを授けるのじゃ」


 スセリはユリエルに四角く平べったい物体を渡した。

 端末だ。


「ワシの予備の端末じゃ。ありがたく受け取るのじゃ」

「こ、これをどうしろっていうんだ……?」

「操作方法を教えるから、一度で憶えるのじゃぞ」


 スセリが端末の端のスイッチを押して電源を入れた後、画面を指でなぞる。

 すると、起動した端末の画面に先ほど撮った写真が写った。


「先ほど撮影した写真のデータを転送したのじゃ。これで精霊界に戻ってもいつでも見ることができる」

「あ、ありがとう……」


 とまどいながらもユリエルは礼を述べた。

 画面をじっと覗き込むユリエル。

 その表情は微笑んでいる。


「『稀代の魔術師』。わかってるとは思うが、アタシはお前を嫌っていた。でも、今は違う」

「尊敬の念を忘れるでないぞ。のじゃじゃじゃじゃ」

「ユリエル。端末は『電池』っていう装置で動いてるから、ときどき魔力を送って充電するんだぞ」


 それにしても、めずらしく気が利くな、スセリ。

 彼女もユリエルを好いてるわけではないだろうに。


「あー、あとついでにワシ秘蔵のゲームアプリもかたっぱしからインストールしておいたのじゃ。退屈なときは遊ぶがよい」

「げーむ……あぷり……? いんすとーる……?」


 それからスセリはゲームで遊ぶ方法も指南した。

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