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55-4

 そういうわけで、朝食を食べおわったあと、さっそくプリシラを俺の部屋に招いた。

 彼女に端末を渡す。

 俺の指示に従ってプリシラは端末を操作し、セヴリーヌに通話を発信した。


 プルルル……と発信音が鳴り続けている。

 ドキドキした表情で待っているプリシラ。

 やがて発信音が途切れ、通話が開始した。


 ――と思いきや、相手の顔が表示されるはずの画面が真っ黒だ。

 しかも、通話に出たのはセヴリーヌではなく、思いがけぬ相手だった。


「もしもし、ウルカロスでございます」

「ウルカロスさま!?」


 セヴリーヌに従うゴーレムのウルカロスだった。


「ど、どうしてウルカロスが通話に……」

「セヴリーヌさまが通話に出られないとき、自動でわたくしとの通話になるようにしてあるのです。いわゆる留守番でございます」

「ウルカロスさまも端末を持っていらっしゃるのですか?」

「いいえ。わたくしの機能でございます」


 彼いわく、セヴリーヌが古代人の遺跡から拾ってきた機械を修理し、ウルカロスに装着したらしい。


「セヴリーヌさまは通話には出られないのですか?」

「ただいま入浴中でございます」


 ちゃんと風呂には入っているんだな。


「セヴリーヌさまとお話しできないのは残念です」

「申し訳ありません。また時間をあらためておかけください」

「わかりました。ウルカロスさまもお元気そうでなによりです」

「ゴーレムのわたくしを気づかってくれるとは、おやさしいのですね。プリシラさまは」


 ウルカロスとの通話が切れた。

 セヴリーヌ、朝に風呂に入ってるということは、もしや昼夜逆転の生活を送っているのだろうか……。少し心配になる。


「アッシュさーん。いますー?」


 扉の向こうから声が聞こえてきた。

 フレデリカの声だ。


「あっ、プリシラもいたんだ」


 扉を開けてフレデリカを中に招いた。


「なにか用か? フレデリカ」

「用が無いと会っちゃいけないんですかー」


 ふくれっ面になるフレデリカ。


「い、いや、そういう意味じゃ――」

「あははっ。焦ってる焦ってるー」


 戸惑う俺を見たフレデリカがぷっと吹き出した。

 からかわれてしまった……。

 彼女にはスセリとはまた違って意味で調子を狂わされる。


「まあ、用事はあるんですけどねー」


 フレデリカは手に長方形の小箱を持っていた。

 宝石箱だろう。茶色の箱に金色の美しい意匠が施されている。

 この小箱が用事に関係あるようだ。


「プリシラから聞いたんですけどー、アッシュさんってー、召喚術が使えるんですよねー」

「金属しか呼び出せないけどな」

「知ってますよー。その召喚術でー、この宝石箱のカギを召喚してほしいんですー」

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