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46-1

  ――楽しそうじゃのう。ワシを差し置いてのお茶会は。


「えっ!?」


 突如、スセリの声が聞こえてきた。


「スセリさまですわ!」


 マリアが指さす先にスセリがいた。

 自分で脱出できたのか。

 ……かと思いきや、よく見るとスセリの姿は幽霊みたいに半透明だった。


「ス、スセリさま……。やはりあの崩落で命を落としてしまったのですね……」

「なんだ。この世に未練があるのか」

「安らかに眠ってくださいまし」


 ――死んでおらんわっ!


 まあ、それはわかっていた。

 セヴリーヌの家でボードゲームで遊んだときと同じく、魔法を使って自分の姿を別の場所から投影しているのだろう。

 とりあえず、無事な姿を見られてよかったといったところか。


「スセリ。今どこにいるんだ?」


 ――おぬしらより上の階なのじゃ。


「それは知ってる。崩落の場所から移動したのか?」


 ――うむ。上の階から興味のする魔力を感じての、今は最上階におるのじゃ。


「さ、最上階って……」

「スセリさまってば……」


 あとどれくらい登ればいいのか、途方に暮れる。

 プリシラは目をまんまるにしており、マリアは呆れてため息をついていた。


 ――がんばって助けにくるのじゃな。のじゃじゃじゃじゃっ。


「『のじゃじゃじゃじゃっ』じゃない。自分で降りてこい」


 ――いんや、ワシは自力では降りんぞ。おぬしらがここに来るまでの。


 なんでそうなる……。


「助けてもらう態度じゃなさそうだから、このまま帰ってもいいんだぞ」


 ――まあ、待つのじゃ。最上階にはおぬしらにとっても面白いものがあるのじゃ。ここに来るまでの価値はあると断言するのじゃ。


 スセリがそう言うのだから、とてもくだらないものなのだろう。

 プリシラは困った表情をしており、マリアは疑うような視線を半透明のスセリに送っていた。


「どうしましょう、アッシュさま」

「このまま帰りますの?」

「それはさすがにスセリがかわいそうだ。しかたないから最上階まで登ろう」


 ――せいぜいがんばるのじゃぞ。のーじゃじゃじゃじゃっ。


 高笑いをするスセリの姿が消えた。

 まったく、本当に俺のご先祖さまは迷惑をかけてくれる。


 俺とプリシラとマリアはスセリの挑戦を受け、最上階を目指して塔を登りだした。


「ここです」


 スセリとプリシラが離れ離れになった崩落の現場に到着した。

 先へ進む道は瓦礫の山でふさがれている。

 三人で手分けして迂回路をさがすも、見つからない。


「魔法でふっとばすしかありませんわね」


 マリアが瓦礫の山に手をかざす。


「ちょっと待て」


 俺はそれを制した。

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