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41-2

 冒険者ギルドに赴いた俺たちは、ギルド職員のオーギュストさんに赤き月の夜に起きた出来事を説明し、冒険者ギルドから国王に書状を送れないかと相談した。


「ロッシュローブ教団のナイトホーク……。それに魔剣アイオーン……。確かにこれは僕たちの手には余る話だね」


 オーギュストさんは俺たちを別室に案内し「少し待っててね」と言って部屋を出ていった。

 落ち着かないのか、プリシラはきょろきょろと視線をさまよわせている。

 スセリは退屈そうに足をぶらぶらさせている。

 マリアは――微笑みながら俺を見つめている……。


「マリア……。用もないのにじろじろ見るなよ」

「あら、誰かを見つめるのに許可が要りますの? しかもアッシュは将来の夫でしてよ」

「だからマリアと婚約したおぼえは――」


 と、そのとき、部屋の扉が開いた。

 オーギュストさんが白髪の老人を連れて戻ってきた。


 老人はオーギュストさんと同じ、冒険者ギルドの制服を着ている。

 年老いてはいるが、背筋はしっかりしている。

 白い眉の下にある目は力強い。


「冒険者ギルド、ケルタス支部の支部長、ボールドウィン・ノーグだ」


 老人はしわがれた声でそう名乗った。

 支部長……。つまりこの冒険者ギルドの最高責任者だ。


 俺たちはノーグ支部長にあいさつを返した。

 ノーグ支部長はいかめしい表情をしており、プリシラとマリアはロコツに緊張していた。


「お前たち、ロッシュローブ教団と関わったそうだな」


 ノーグ支部長がそう言う。


「オーギュストから話は聞いた。お前たちの言うとおり、この件は冒険者ギルドだけでは手に余る。冒険者ギルドから国王陛下にお伝えする。お前たちの謁見の許可も得られるだろう」

「よろしくお願いします」

「しかし、魔剣アイオーンとは……。そのようなものがケルタスに眠っていたとはな」


 冒険者ギルドはアイオーンの存在を知らなかったらしい。

 アイオーンの存在を知っており、破壊を目論んでいたスセリは無言を保っている。


「わかっているだろうが、国王陛下に仔細をお伝えしたら、この件からは身を引くのだぞ。ロッシュローブ教団は血も涙もない恐るべき連中だ」

「もちろんです」


 そうだよな、とスセリに目配せしたつもりだったが、彼女は気付いていないか、あるいは無視を決め込んでいた。

 話が終わり、ノーグ支部長とオーギュストさんが腰を上げる。


「『稀代の魔術師』と魔書『オーレオール』の継承者よ。自分たちを選ばれし勇者などとは思うなよ。うぬぼれは死への一歩だ」


 そう釘を刺し、支部長は俺たちの前からいなくなった。

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