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41-1

「ゆうべも言ったが、ロッシュローブ教団は暗殺教団。自分たちの敵とみなす者は容赦なく抹殺する。ヘタに関わればおぬしらの命が危うい」


 さらにスセリは続ける。


「危害が及ぶのはおぬしらだけではない。クラリッサやヴィットリオ、ディアやセヴリーヌにネネだって標的になりかねんのじゃ」


 そう言われては食い下がれなかった。

 クラリッサさんたちに迷惑はかけられない。

 だが、このままナイトホークを野放しにしていいのだろうか。

 魔剣アイオーンを手に入れたナイトホークは間違いなく悪さを企んでいる。

 危険だからといって無視できるほど、俺は無責任ではない。


「そんな顔をするでない。ワシは諦めるとは一言も言っておらんのじゃ」


 トレーに載っている朝食をすべて食べ終え、口元を拭いてからスセリはこう言った。


「この件を国に伝えるのじゃ」

「国に伝える?」

「王都グレイスへと赴き、国王陛下に今回の件を申し上げるのじゃ」


 スセリの発言に俺たちは再び驚いた。

 確かに、今回の件は個人で解決できるようなものではない。

 国に任せるべきなのだろう。

 幸いにも俺は召喚術の名門ランフォード家の人間。門前払いはされないはず。


「というわけで、王都グレイスへと行くのじゃ」


 王都グレイス。

 この国で最も大きな都市。

 中心に王城を据え、そこをぐるりと囲むようにして都市が広がっている。

 ケルタスから船を使えば一週間ほどの船旅になるだろう。


「ケルタスも華やかじゃが、王都グレイスはそれ以上に栄えておるぞ」

「王都グレイス! わたくし、一度行ってみたかったのですの」


 マリアが目を輝かせていた。

 遊びにいくわけじゃないんだが……。


「見聞を広めるためにも、アッシュには一度王都グレイスに行かせようと思っておったところだったのじゃ。ちょうどいいのじゃ」

「ケルタスより栄えている都市……。わたし、想像できないです」


 プリシラはぼーっと天井を見上げていた。



 朝食を食べ終えた俺たちは乗船券を買いに港へと向かった。

 王都グレイス行きの乗船券、四人分を購入する。

 俺たちの乗る船は二週間後に出航する予定だった。


「ケルタスともしばらくお別れになるのですね」


 名残惜しげなプリシラ。

 確かに、『夏のクジラ亭』には長い間お世話になった。

 この件はちゃんとクラリッサさんたちに話しておかないとな。


「さてと、次は書状を書かんとな」

「ランフォード家の名前を使うのか? そうなると父上に話をしないといけないぞ」

「それだと出航に間に合わんから、冒険者ギルドを介してあらかじめ書状を送るのじゃ」

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