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40-4

「ナイトホーク。お前はこの剣を手に入れてどうするつもりだ」

「なに……?」


 俺の問いかけに訝るナイトホーク。

 しまった。うかつだった。

 ナイトホークは俺たちもアイオーンと呼ばれる漆黒の剣を手に入れにここへやってきたのだと思っていたらしい。もう少し慎重に言葉を選んでいれば、こいつからアイオーンの正体を聞き出せたかもしれなかった。


「死にゆく者の問いに答えるなど無意味」


 やはり答えはしないらしい。

 ナイトホークは両手の袖から短刀をそれぞれ取り出して握り、十字に交差させて構える。


「『オーレオール』にふさわしいのはこの私だ」


 身体を低くし、滑るように急接近してくる。

 そして短刀を下から真上に振り上げた。

 プリシラがロッドで防御する。

 ロッドに短刀の刃が擦れ、金属音と共に火花が散る。


 プリシラが左足を軸に、右足で蹴りをかます。

 ナイトホークは素早く後方に飛び退いて回避する。

 それから両手を真横に払い、短刀を二本同時に投げ放ってきた。


「ていやーっ!」


 プリシラがロッドを風車のごとく回転させ、投てきされた二本の短刀を打ち落とした。

 ナイトホークの袖から再び短刀が出てくる。


 ナイトホークは魔法を使おうとしない。

 もしや、俺たちの背後にあるアイオーンを傷つける可能性があるからか。

 だとすると、この状況は俺たちが圧倒的に有利。


「放て、光の矢!」


 俺は魔法を唱え、魔力で生み出した矢を放った。


「退けよ」


 ナイトホークが防御の魔法を唱え、魔法障壁で矢を防御する。

 地下にあるこの遺跡が崩落する危険があるから、俺のほうもあまり派手な魔法は使えない。


 俺は再び魔力の矢を放つ。

 ナイトホークは真横に走って回避し、そのまま再びこちらへ接近を試みてきた。


「メイドの本領発揮ですーっ!」


 プリシラが応戦する。

 ガキンッ。

 キンッ。

 キンッ。


 プリシラとナイトホークは互いの武器を何度のぶつけ合い、そのたびに薄暗い空間に小さな火花が散った。

 五分と五分の戦い。


「半獣の力を少々あなどっていたか」


 ナイトホークが魔力を集中させた右手を高く掲げる。

 ついに魔法を使うつもりか!


「プリシラ、離れろ!」


 俺とプリシラは部屋の隅まで逃げる。

 ナイトホークが魔力を集中させた右手を地面に叩きつける。

 その瞬間、激しい閃光が視界を奪った。


 思わず目を閉じる。

 まぶたを貫くような熱い光。

 視界を遮る魔法か!


 閃光が空間を白く染めた時間は、三つ数えるほど。

 閃光が収まり、目を開ける。

 すると、ナイトホークが台座に上がり、アイオーンの前に立っていた。

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