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40-2

 殺風景なコンクリートの通路を進んだ先に、開けた空間があった。

 周囲には、確か『モニター』と呼ばれている四角いガラスと、謎の装置がいくつも設置されている。電気が通っているためか、装置はどれも生きているようすだった。

 ここはなにかを研究するための施設だったのだろう。


「プリシラ。気をつけろ」


 先へと続く扉の前に機械人形がいた。

 人型の機械人形。

 直立している機械人形の目には光が宿っていた。

 その目が俺たちを捉える。

 そして、手の甲から鋭利な刃を出した。


 俺たちと敵と認識している。


「アッシュさまはわたしがお守りします」


 プリシラがロッドを最大まで伸ばして構えた。


 機械人形が腰を低くする。

 刹那、すさまじい加速で突進してきた。

 瞬時にしてプリシラに肉薄し、刃を真横に振るう。

 プリシラはそれをロッドで防御する。

 

 キイイィン!

 刃とロッドがぶつかり、甲高い金属音が鳴り響いた。


「ていやーっ!」


 プリシラが蹴りをかます。

 腹に渾身の蹴りをくらった機械人形は真後ろに突き飛ばされた。

 床に背中をしたたかに打ちつけるも、素早い動作で起き上がる。


 次の攻撃がくる。

 ――そうはさせない!


「うがて雷撃!」


 俺は電撃魔法を放った。

 紫色の雷撃が機械人形を貫く――かと思いきや、機械人形の周囲に丸い光の障壁が発生し、魔法を打ち消した。


「こいつ、魔法が通じない!?」


 うろたえている隙に機械人形が再び迫ってきた。

 振り下ろした刃をプリシラがロッドで受け止める。

 押し合うプリシラと機械人形。


 力比べはプリシラが勝ち、機械人形をのけぞらせた。

 無防備になったところにロッドの渾身の一撃をかます。

 ロッドの先端が肩に直撃し、機械人形の右腕をもぎ取った。


「メイドの一撃ですーっ!」


 続けざまにプリシラは腰をひねらせてロッドを真横に振るい、機械人形を真横から叩いた。

 吹っ飛ばされた機械人形が壁に激突した。

 そして、ぐったりと倒れた。

 プリシラが歓喜の声を上げる。


「やりましたっ」

「いや、まだだ!」


 壊れた部分からバチバチと火花を散らしながらも、機械人形はよろよろと起き上る。

 右腕を失っているせいか、身体が左に傾いている。

 左手の甲から刃を出す。

 なおも接近戦を仕掛けてくるかと思ったが、機械人形はその場に立ったまま刃を水平にし、切っ先をプリシラに向けた。


「障壁よ!」


 俺はとっさにプリシラをかばうように前に出て、防御の魔法を唱えた。

 正面に魔法の障壁がせり出す。

 それからわずかに遅れ、機械人形の手の甲から刃が射出された。

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