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31-1

 もう何度目か忘れたくらいの行き止まりにつきあたる俺たち。

 ため息をつくスセリ。

 壁を蹴り飛ばすセヴリーヌ。

 フーガさんも、さすがにうんざりとしたようすだった。


「この世界はとても複雑な構造をしているのですね」

「悪魔アズキエルを外に逃がさぬためにそうしておるのかもしれんの」

「ガルディア家もメンドーなもんをつくってくれたな」


 俺たちはくるりと反転し、もと来た道を戻って、別の分かれ道を進んだ。

 そしていよいよ迷路が終わり、シャンデリアの吊るされた広間へと到着した。

 広間の奥には大きな扉がある。

 この先にアズキエルが閉じ込められている。

 息を呑むフーガさん。


「皆の者、用意はいいか?」

「まず最初に僕の魔杖ガーデットでアズキエルの力を吸い取ります。アズキエルが弱ったところにありったけの魔法をくらわせてください」

「うむ。それがよかろう」

「単純だな」


 スセリが扉に手をかける。

 扉は重そうな見た目に反し、彼女が少し押すだけで開いた。


「ゆくぞ!」


 俺たちは扉の先へと躍り込んだ。


 扉の先の部屋には悪魔アズキエルがいた。

 血のような赤い人間の身体。

 ねじれたツノを持つヤギの頭。

 その怪物は床と天井から伸びる鎖で四肢をつながれていた。


 俺たちを見るや暴れだすアズキエル。

 しかし、手足を封じられているアズキエルは、いくら暴れてもガチャガチャと鎖を揺らすだけだった。


 フーガさんが魔杖ガーデットをかざす。

 先端の赤い宝石が光る。

 そしてアズキエルから生命力を吸収しだした。

 アズキエルから赤い光が漏れ出てきてガーデットの宝石に吸い寄せられていく。


 すると、暴れていたアズキエルの動きが止まり、頭を力なく垂らした。

 アズキエルが弱まっている。


「魔法の矢よ、我が敵を射れ!」


 スセリが魔法の矢を無数に放つ。

 アズキエルの胴体にそれらが突き刺さる。


「グオオオオッ!」


 苦悶の咆哮を上げるアズキエル。


「突き刺せ!」


 続けざまにセヴリーヌが魔法の槍を投てきする。

 魔法の槍がアズキエルに刺さる。

 狂ったように叫んでいたアズキエルが、再び動きを止めた。

 しん、と部屋が静まり返る。


「こいつ、死んだんじゃないか?」

「油断してはならぬぞ、セヴリーヌ」


 スセリが警告したにもかかわらず、セヴリーヌがアズキエルに近づく。

 そしてその身体を蹴った。

 その瞬間、アズキエルが突如復活して雄たけびを上げた。


「うぎゃーっ!」

「だから言ったじゃろうが!」


 全速力で逃げてきて俺の背中に隠れるセヴリーヌ。

 無数の矢と槍が突き刺さっているというのに、アズキエルは鎖を引きちぎろうと必死にもがいている。

 バキンッ。

 そしてついに、右腕を拘束していた鎖がちぎれた。


「フーガ! あいつの力を吸い取れ!」

「は、はい!」

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