表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

209/842

30-5

「とりあえず、ディアの――ガルディア家次期当主クローディアの意見も聞いてみましょう。フーガさん」

「わかりました。そうですね。大事なことですからね」

「ただ、俺個人の意見としては、悪魔アズキエルを倒すべきだと思っています」


 封印という手段は、きたる日の先延ばしに過ぎない。

 俺たちが今まさに直面しているように。

 ここで封印するという選択を選べば、この先ずっと後の世代に責任を押し付けることになる。クロノス・ガルディアがそうしようとしたように、悪意ある人間に封印を解かれる危険だってはらむことになる。


 ならば、俺たちでこの問題を解決すべきだ。

 俺はそう皆に伝えた。


「アッシュさま! とてもご立派ですっ」

「口だけじゃなければよいのじゃがな」


 俺だって冒険者になって幾度も戦いを繰り返してきた。腕に覚えはある。

 それに、心強い仲間もいる。

 俺たちならきっとアズキエルにも勝てるはず。



 後日、俺たちはパスティアのガルディア家へと赴いた。

 そしてディアにフーガさんを紹介し、セオソフィーをどうすべきか意見を求めた。俺の意見をあらかじめ伝えて。


「アッシュさんたちがアズキエルを倒していただけるというのなら、ぜひともお願いしたいです」


 ディアはそう答えた。


「アッシュさんたちはガルディア家を救ってくださいました。悪魔アズキエルも倒してくださると信じています」


 どうやらディアも俺を信頼してくれてるようだ。


「では、決まりましたわね」

「僕たちでアズキエルを討伐しましょう!」



 それから三日後、俺たちは悪魔アズキエルを討伐するため、ガルディア家の中庭に集まった。

 俺とプリシラ、スセリ、マリア、ディア、フーガさん。


「なんでアタシまで手を貸さなくちゃいけないんだよッ!」


 ……それと、セヴリーヌ。

 彼女は半ば無理やり連れてきた。

 スセリ同様、幼い外見をしているが、彼女も長い年月を生きてきた天才的魔術師。力ずくでも手伝ってもらわなくてはならない。


「セヴリーヌ。おぬし、セオソフィーとフィロソフィーの研究をあれほどしたがっていたじゃろう。喜ぶのじゃぞ」

「あのバケモノと戦うんだろ? そんなもんに興味ない。お前らだけで勝手にやれ」


 立ち去ろうとするセヴリーヌ。

 が、その腕をプリシラに掴まれる。


「ダメですよ、セヴリーヌさま。セヴリーヌさまのお弁当代はディアさまが支払っているんですから。恩返しをしないといけません」

「ぐぬぬ……」


 口ごもるセヴリーヌ。

 セヴリーヌは『夏のクジラ亭』の弁当を毎日食べている。

 クラリッサさんは「あんな小さな子からお金はもらえないわ」と無償で提供しようとしてくれていたが、そんな厚意に甘えるわけにはいかない、とディアがセヴリーヌに代わって弁当代を出しているのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ