4-00『教授への手紙』
四章開始です。
まずはプロローグ。
――久し振り。
といっても教授のことだ。こっちの事情はどうせ知ってることと思う。
知った上で、またぞろケッタイな研究にでも精を出してるってところじゃないのかな。まあ、当たってても外れててもそれはいい。
この手紙が届く頃には、こちらの問題が解決していることを祈っている。
本当、いつになっても面倒ばかりだ。
愚痴はさておき、少し書いておきたいことがある。
手紙で詳しい話はしないけど、最近、どうも呪いの進行が速くなってる気がしてる。そろそろ魔力が使えなくなっても、まあおかしくはないだろうな。
というより、これまでが異常だったんだろう。
普通なら死んでもおかしくない、いや死んでなきゃおかしいような呪いだ。生きていることだけで、俺は幸運を喜ぶべきなんだろう。
……と、今のは訂正。書き直すのは面倒だから消さないけど、さすがに幸運とは言えない。
キュオが助けてくれたからだ。運じゃない、あいつのお陰だろう。
ま、そんなこと言ったら、間違いなくキュオにぶん殴られるだろうけど。あいつは怒らせると怖いから。
なんだかね。最近は、なぜかあいつのことをよく思い出す。
これも、ある意味で呪いの一種かもな。
そういや学院で、キュオに似た奴に会ったんだよ。いや見た目はぜんぜん似てないんだけど、治癒魔術を使うところとか、格闘で戦うところとかな。キャラ被ってる。
性格は……どうだろ。似てはないけど、でもなんだかんだ甘い辺りは共通してるかもしれない。
レヴィはレヴィで、どっかマイアに似てる気もするしな。いや、さすがのレヴィも、そんなこと言ったら怒りそうだけど。あそこまで傍若無人じゃない。
すまん、話が逸れたな。普段あんまり手紙なんて書かねえし、一発書きだ。
季節の挨拶みたいなモノっていうか、ちょっとした近況報告だとでも思ってくれ。
本題に入ろう。
近々、そっちに行こうと思ってる。
たぶんひとりか……場合によっては多くて三人くらいで。話は聞いてるかな、マイアがどこからか攫ってきたアイリスって子と、あとフェオっていう、まあ友人。この手紙を預けたシルヴィアの妹だ。
しいて言えばセルエに似てる気もするけど……いや、さすがにこれはこじつけかな。
もちろん本人に了解を取らないとわからないけど、祭りのあと、俺がどうなってるかもわからないからな。普通にひとりで行く可能性のほうが高いと思う。
複数人で向かってたら、それは、そういうことだと思ってくれていい。
ともあれ、詳しい話はそっちで。着いたら話すよ。
呪いに関してとか、あと話をしておきたい連中がいる。
七曜教団。教授なら、これももう知ってるかもしれないな。
奴らが王都にまで根を張ってないとは言えない。
ともあれまた。
元気かどうかは訊かないでおくことにする。
会えばわかるし、教授ならなんだかんだ言いながら、どうせ怠惰に元気だろ。
じゃあまあ、一応、息災で。
アスタ=プレイアスより、ユゲル=ティラコニアへ――。
次回、一時間後。




