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【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません  作者: ゆうき


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第四十話 作戦失敗?

 なにがあったのか、ここからでは詳しくはわからないけど、二人の透明になる魔法は解除されてしまい、その姿は外界に晒されてしまった。


 このままでは、二人がやられてしまう。私には魔法でどうにか何てできないし……っ!?


「どうしようどうしよう……あっ、これだっ!!」


 私は足元にあったキノコを採取し、それを力任せに潰しまくる。すると、キノコは粉状に変化した。

 その粉を、先に戦っていた学生達に投げつけると、突然苦しみ始めた。


「うわぁ、なんか涙が止まらねえ!?」


「やだぁ~前が見えませんわ~!!」


 いまのキノコには、強力な催涙効果が含まれている。それを粉状にして振りかけたら、ああなったってわけ。


 私には魔法の知識がないけど、代わりに自然の知識なら自信がある。これなら、二人の手助けができる!


「これは……なるほど、そういうことか! アイリーン、素晴らしい援護だ!」


「この煙って、アイリーンさんが……!?」


「その通りだ。煙の影響が無いように結界を張るから、一気にチェックポイントに向かおう! アイリーンもこっちに来て手伝ってくれ!」


「わかりました!!」


 大声で返事をすると、私の体を白い光が纏うように広がった。


 これが、エルヴィン様の結界魔法だろう。今なら、煙の中に突撃しても、彼らのようにはならないと思う。


『ようこそ。受験者の名前を述べなさい』


「エルヴィン・シャムル、アイリーン、ソーニャの三名です」


『確認しました。あなた達が二番目の到達者です。次のチェックポイントを目指して進みなさい』


 チェックポイントとされていた台座から聞こえた質問に、エルヴィン様が代表で答えると、台座から一筋の光が地図に向かって伸びる。

 すると、地図に記されていた一つ目のチェックポイントに光が灯った。


「なるほど、これがここに来た証になるというわけか」


「なら、もうここに用は無いですね。今のうちにここから離れましょう!」


 あのキノコの催涙効果は強いけど、粉末状にすると短時間で効果が無くなってしまうから、早くここを離れないと反撃をされてしまう。


 相変わらず足元は悪いし、歩きにくい場所だけど、森の中を歩く経験のおかげで、なんとか彼らに気づかれないうちに離れることが出来た。


「ここまでくればいいかな……二人共、大丈夫ですか?」


「ああ。助かったよ、アイリーン。爆風と転んだ衝撃で、魔法が解除されてしまったみたいだ」


「ならよかったです。ソーニャちゃんは……って、どうしたの!? なんで泣きそうなの!?」


「ごめんなさいごめんなさい! わたしが驚いて、エルヴィンさんを巻き込んで転んでしまったから……!!」


 なるほど、あの時に何があったのかと思ったけど、そんなことがあったんだ。だから、ソーニャちゃんが今にも泣きだしそうなくらい落ち込んでたんだね。


「気にすることは無いよ。僕もあの爆発魔法は肝が冷えたからね。驚いてしまうのも無理はない」


「そうだよ! 私なんか、ビックリして声も出なかったんだよ!」


「うぅ……」


 エルヴィン様と一緒に励ますものの、ソーニャちゃんは中々元気にならない。


 落ち込む気持ちはよくわかる。自分のミスのせいで、危うく作戦が失敗しそうになったどころか、あの場で全員やられてもおかしくなかったのだから。


「そんな、自分を責めちゃ――」


 ソーニャちゃんを何とか励まそうとしたその時、私達の周りに突然深い霧が発生した。辺りは一瞬にして真っ白になり、二人の姿が全く見えなくなった。


「な、なにこれ!? これも試験のうちなの!?」


「わからない! 二人共、危険だからむやみにその場から動かないように!」


「は、はい……!」


 こんな視界が悪いと、私でも少し動いただけでケガをしそうなこの状況だと、エルヴィン様の指示は、とても正しいものだ。


 だというのに、まるでその指示を全てなかったことにするように、エルヴィン様は突然思わぬ行動を取り始めた。


「アイリーンはこっちだ!」


「え、エルヴィン様!? どうして腕を引っ張るんですか!? 今は動いてはダメです!」


 エルヴィン様は私を引っ張ってどんどんと進んでいく。すると、いつの間にか霧は晴れて、さっきまでの森の景色に戻っていた。


「ふう、無事に抜けられたね」


「エルヴィン様、どうして急に動いたのですか? いくらなんでも、今の行動は軽率と言わざるを得ません!」


 確かに霧からは抜けられたけど、無理に引っ張るせいで足元はグチャグチャだし、体中が木の枝で切れたりすりむいたりと、細かい傷だらけになってしまった。


「あの霧から嫌な気配を感じてね。あのままあそこにいたら、霧の影響で僕達はやられていただろう。危険は承知だったが、動くしかなかった」


 あの霧が何だったのか、私にはわからない。それに、エルヴィン様が危険と思ったのなら、きっとそれは正しかったのだろう。


 でも、それならあの霧自体をどうにかする方法だってあったはずだ。

 私の知っているエルヴィン様なら、きっと何とかすると思うし、身の危険になる可能性がある方法を取るとは思えない。


 そもそも、いつも冷静に物事を判断するエルヴィン様が、私を連れてこんな強硬手段に出るだろうか……?


「……あれ、ソーニャちゃんは……?」


「彼女は置いてきた。僕達を危険に晒すような間抜けはいらないからね」


「はっ……?? お、置いてきたって……?? それに、間抜けって……!?」


 今の言葉、本当にエルヴィン様の口から出た言葉なの? 全く信じられない……でも、今私の近くにいるのは、エルヴィン様だけだ。


「どうしてそんな酷いことを言うんですか!?」


「強者が弱者に足を引っ張られるだなんて、あってはならない。それに、僕はずっと待っていたんだ」


「待っていたって……」


「君と、こうして二人きりになれる時を」

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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