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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

百合シーズ

ノートとシャーペンの擬人化百合

作者: 間咲正樹
掲載日:2019/04/26

「ねえ、ノート」

「ん? なあにシャーペンちゃん」


 シャーペンちゃんがいつになく真剣な表情で、私に迫ってきた。


「私ノートのこと……、好きかも」

「えっ!?」


 シャーペンちゃん!?

 何を言い出すの急に!?


「ダ、ダメだよ! 私達は、女の子同士なんだよ!?」

「だったら何? 女が女を好きになっちゃいけないって、誰が決めたの?」

「そ、それは……」


 そうだけど……。


「人が人を好きだと思う気持ちに、性別は関係ないはずよ」

「う、うん……?」


 あまりのシャーペンちゃんの迷いのない眼に、私もちょっとだけ「そうなのかな?」という気になってくる。


「だからお願い。ノートに――私の芯で字を書かせて」

「ええっ!!?」


 そう言うなリ、シャーペンちゃんはカチカチと芯を出してきた。


「ちょ、ちょっと!? ダメ! ダメだよこんなところで!?」

「そんなこと言わないで。私もう……我慢できないの」

「シャーペンちゃん……」


 シャーペンちゃんは切なそうな顔で、私を見つめてくる。

 そ、そんな顔されたら……、私……。


「ね? お願い」

「ふえ!?」


 私はシャーペンちゃんに押し倒されて、ペラリと一枚ページをめくられてしまった。


「ああッ! は、恥ずかしいよぉシャーペンちゃん! そんなところ見ないでッ!」

「フフ、大丈夫。ノートの一ページ目、真っ白でとっても綺麗だよ」

「シャ、シャーペンちゃん……」

「……じゃあ、書くよ」

「シャーペンちゃん!? 待って――あぁッ!!」


 シャーペンちゃんは慣れた手つきで、私に芯を這わせてきた。

 シャーペンちゃんの芯が触れた箇所は、摩擦熱でじわじわと熱を帯びた。

 ああ……熱い。

 熱いよ……シャーペンちゃん。

 シャーペンちゃんが私に書いたもの――それは、『好き』という文字だった。


「シャーペンちゃん……」

「ね、わかったでしょ? 私はあなたが、好きなの」

「うん……、私も」

「え?」

「私も……、シャーペンちゃんが、好き」

「っ! ノート!」

「シャーペンちゃん」


 こんなに真っ直ぐで熱い想いを書き綴られたら、私もシャーペンちゃんのこと、好きになっちゃうよ。


「ノート! ノート!」

「シャーペンちゃん。シャーペンちゃん」

「いいよね? もっとノートに、私の気持ちを書きなぐってもいいよね!?」

「うん……、いいよ」

「ああ、ノート! ノートォ!」

「あああッ! シャーペンちゃあぁん」


 シャーペンちゃんは一心不乱に、私に『好き』という文字を書き連ねた。

 ああ――シャーペンちゃん。

 シャーペンちゃん。

 ――好き。

 私もシャーペンちゃんが好きだよ――。


「ハァ……、ハァ……、ハァ……」

「ふぅ……、ふぅ……、ふぅ……」


 気が付けば、私のページはシャーペンちゃんの『好き』という文字で埋め尽くされていた。

 シャーペンちゃんの芯の匂いが、私を包み込んでる……。

 私はシャーペンちゃんの愛をページ中で感じて、天にも昇る気持ちだった。


「フフフ、ノート」

「ふえ?」


 シャーペンちゃんの眼が、妖しくギラッと光った。


「まだ終わりじゃないわよ」

「え? それって……」


 そう言うとおもむろに、シャーペンちゃんは私のページをめくった。


「シャ、シャーペンちゃん!?」

「まだまだあなたの空白ページは残ってるでしょ? あなたの全てを、私の文字で埋め尽くしてあげる」

「シャーペンちゃん……」


 どうやら私達の書き初めは、まだ始まったばかりらしい。



 ~fin~



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― 新着の感想 ―
[一言] 前も読んだのですが、幼い私には理解できませんでしたけど……大声では言えませんが腐女子となった今ならわかりまする……発想がすごいですし感想欄もすげえ……。 百合に男を挟む気はありません。ですが…
[良い点] 私は一体、何を読んだのだろう… [気になる点] 私は一体、何を読んだのだろう… [一言] 私は一体、何を読んだのだろう… …… ……… 万年筆×便箋とかどうでしょう…?二人とも良…
[良い点] 楽しく拝読しました♪ エロじゃないものにエロを見る、まさに芸術だなぁと思います。楽しい作品&感想欄&レビュー、読ませて頂き有り難うございました! 自分も感想欄参加させてください♪。 ぺた…
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