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【VR】ブレイブファンタジー【神ゲー確実】  作者: hikoyuki
CLIMB DESIRE

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CLIMB DESIRE Ⅳ

 塔の中に入ると、そこは迷路でした。


 入り口の地点から左、真ん中、右と分岐しており非常に複雑な迷路であることは容易に想像がつきます。ついでに言えばこのダンジョンは『バベル』という塔型ダンジョンなのですから、単純に考えてもこの迷路を攻略しても先はまだまだ長いのでしょう。


「これは難易度が高そうですね。ですが、この天才ゲーマーとも呼ばれたボクが華麗に攻略してみせましょう!」


『あ、そこの看板にヒントが書いてあるので読んでくださいね』


「これはまたご親切にどうも」


 相変わらずの親切運営ですね。単純に全てのルートを虱潰しにあたっていくのが迷路の常ですが、ヒントがあるという事は思考によって正解の道を導き出す事ができるのでしょう。あるいはゴールまでの道のりは謎を解かないと開かない、といったパターンとも考えられますが。


 とりあえずGMさんの言うとおりに看板を読んでみますか。どれどれ……?



【壁に示された矢印に従って進めば次の階層への階段にたどり着くであろう】



「ん??」


----

>完全に答えじゃねーか


>よく見たら矢印めっちゃ書いてあって草


>そんな直接的なヒントがあるわけないだろ!!これはなぞかけだ


>まるで意味が分からない

----


「えっと……この看板は文章通りに捉えてもよろしいのでしょうか?」


『当たり前じゃないですか。ヒントなんですから』


「でもこの看板があると迷路の意味が無いですよね……?」


『それがですね……このエリアはマップ担当班が3日掛けて完成させた迷路なのですが……。いざテストプレイを始めたところ、デバッガーが全員遭難してしまうという異常自体が発生してしまいまして。迷子になってしまうような複雑なエリアはプレイヤーを不快に思わせてしまうという事で、道案内を追加したんですよ』


「な……なるほど!さすがデスゲーム運営なだけはありますね!ユーザーの気持ちを理解していらっしゃる!」


『いえいえ、それほどでも』


----

>ヌルゲー過ぎてワロタ


>やっぱデスゲームって神ゲーだわ


>ありとあらゆるVRMMOの中でも最もユーザーフレンドリーなデスゲーム運営


>でも実際道案内があっても取りこぼししてないか不安になるよね


>↑あるある

----


 左、真ん中、右と3つの分岐があることは伝えたが、その中でも真ん中が正規ルートらしい。もはや完全にGMを信用しているボクは、看板に従って真っ直ぐに進もうとした。すると、左の道から声がした。




「センパイー。あの看板のヒントに書いてある道を進まなくてよかったんスか?」


「バカかお前。あんなご丁重に正解ルートが書いてあるわけないだろ。プロデスゲーマーの俺にはすぐにわかった。あれはトラップだ。そもそも正解ルートが本当に書いてあったら迷路である意味が欠片も存在しないじゃねーか」


「確かに!」


「だが、あれがヒントだという視点は間違っていない。なぜかわかるか?」


「いえ、あーしは頭が悪うございまして……」 


「簡単な話だ。ここは迷路。どの道を進んでもいずれはあの矢印の道と合流する事もあるだろう。そんな時に、『矢印が書いてある道だけは罠ルートである』というように択を絞る事ができるわけだ」


「……!なるほど!!さすがセンパイっス!!」


「俺はこう見えてもIQ9999はあるからな。論理的に思考すればこの程度の事実を読み取るのは容易い事だ。さあいくぞ!」


「一生着いていくっス!!!」




 地獄への道は善意で舗装されている……ってこういう時に使う言葉なんでしたっけ?


 無意味な深読みの果てで今まさに遭難しようとしている人たちを哀れみながらもボク達は真ん中の道を進むことにしたのであった。




 当然だけどここはダンジョン『バベル』の第一層。モンスターが出現する。落書きみたいな棒人間が幾度となく襲ってきたのだが、序盤のモンスター相手にステゴロの勝負でボクが負けるわけがない(慢心)。パンチングマシンで100とか普通に出せるボクの自慢のメガトンパンチで棒人間を薙ぎ倒していく。


『えっと、スキルは習得なさらないのでしょうか』


「あっ」


----

>無自覚の縛りプレイである


>スキル無しでぶっ倒せる棒人間サイドにも問題があるのでは


>スキル反射とかそんな感じの初見殺し能力を持ってるかもしれないだろ!卍さんはそれを警戒していたんだよ!!


>マジかよスキル反射してくる棒人間最低だな

----


「え……えーと。今からスキルを習得してみたいと思います!さーて、どんなスキルがあるのかなー?」


 勢いで失態をごまかしつつメニューからスキル画面を開く。しょうがないでしょ!素手で普通に倒せるせいで存在忘れてたんだよ!ちなみにボクはキャラメイクで魔法使いのクラスを選択している。魔法使いは火力系クラスであることが多く、大好物の職業なのです。


 そして開いたスキル画面を見て、驚愕してしまった。


名前:ファイアボール 炎属性 スキルレベル0/20

消費MP:4 詠唱時間:2.5秒

効果:燃え盛る炎の弾を撃ち出す。

オススメ度:★★★★

説明:

魔法使いの最も基本的な魔法であり、重要スキルです。

炎属性の魔法は威力が高く、ダメージソースを稼ぐのにうってつけ。おまけに場合によっては複数の敵を巻き込むことができます。

中盤以降は単純威力や効果で見ればこれ以上に強力な魔法も登場しますが、

強力な魔法は詠唱時間も長くなり、使い勝手は下がります。

この魔法は序盤から終盤までのかかせないメインウェポンとなるでしょう。

欠点としてはこの魔法は火力を重視する魔法であり、他の属性魔法に付属されている追加効果が存在しない事くらいでしょうか。とはいえ強力である事に変わりはありません。是非最大レベルまで取得することをおすすめします。


同時に取得すると相性の良いスキル:

『炎属性親和』

炎属性の威力を最大で35%上昇させるパッシブスキルです。他の属性にも類似スキルが存在しますが、割合上昇である都合上、基本火力の高い炎属性魔法が最もその恩恵を受けることができます。オススメです!

『ウィークレポート』

ファイアボールは強力な魔法ではありますが、炎属性に耐性を持つモンスターが出現する事もあります。そういった状況ではさすがに最大限の効力を発揮することが難しいので、接敵時はこのスキルで相手の耐性と弱点を確認しましょう。

『アイシクルスピア』

ファイアボールと同階級の氷属性魔法です。炎属性魔法に耐性を持つモンスターは氷属性に対する耐性を持たない、あるいは弱点であるという傾向があります。ファイアボールと合わせて氷属性のスキルを習得すれば隙は無いでしょう。


名前:エンチャントマジック 無属性 スキルレベル0/20

消費MP:4 詠唱時間:5秒 効果時間:5分

効果:対象の魔法攻撃力を増加させる。

オススメ度:★★★★★

説明:

魔法使いであるならば必須スキルです。魔法使いには様々な攻撃魔法が存在しますが、それらの魔法にスキルポイントを割り振っても強化されるのはその魔法だけ。しかし、魔法攻撃力そのものを増加させるこの魔法を強化すれば、全ての魔法の威力を増加させることができるのです。めぼしい攻撃スキルにはポイントを1だけ振って、最初はこのスキルをレベルMAXまで育てると良いでしょう。あなたの魔法使いライフを最後までサポートしてくれますよ。


同時に取得すると相性の良いスキル:

『効果時間増加』

その名の通り効果時間を増加させるパッシブスキルです。エンチャントマジックの効果時間は5分。基本的には敵と遭遇する前に掛けておくスキルですが、戦闘中に効果時間が終了してしまっては目も当てられません。他のエンチャントスキルを習得するならばそれらにも適応されますし、間違いなくオススメできます。

『魔導障壁』

魔法攻撃力の最大で35%を物理防御力に加算するパッシブスキルです。このスキルとエンチャントマジックを併用すれば正に攻防一体。魔法使いにありがちな低耐久を補ってくれる有力スキルです。



「親切にも程があるでしょ……」


----

>他のスキルとの組み合わせまで乗ってて面白い


>こういう解説好き


>スキル振りの失敗を防止する有能運営


>こういう情報無しで試行錯誤するのが面白いんだろ。いい加減にしろ

----


「ボクもどちらかといえば試行錯誤派なのですが、これは一応デスゲームですからね。効率を重視してオススメに従っておきましょう。ファイアボールとエンチャントマジックを習得っと」


 都合のいい時に棒人間達が襲いかかってきたので早速発動してみる。


「ファイアボール!」


 宣言と共に炎の弾が棒人間を目がけて放たれる。すると棒人間は一瞬にして炎に包まれ経験値になっていった。


 それだけではない。炎上した棒人間の側にいた他の棒人間にまで炎が燃え移り、炎上しだす。それが次から次へと連鎖していき、最後にはドロップアイテムだけが残った。


「……さすがオススメ度星4ですね」


----

>星4でこれなら星5はなんなんだよ


>エンチャントマジックは星5みたいだけどただ汎用性が高いってだけだろうな


>運営公式のおすすめスキルだぞ!!これで弱かったら詐欺だ


>デスゲーム運営なら少しくらい詐欺しろやw

----


 なにはともあれこの階層の敵なら初見殺しのトラップや徘徊するボスモンスターでも出ない限りは楽勝で勝てそうだ(超慢心)。


「そういうのないんですか?」


『ないですよ』


 そうですか。



 襲いかかる棒人間共を虐殺しつつ道案内に従って迷路を進むと、話し声が聞こえた。声の方向は道案内の先。よかった。道案内通りに進んでいる人もいるんだね。別に自分が困るわけでも無いのになんだかほっとしてしまった。


「ここまでスキルを習得しなくてもやってこれたな。場合によっては状況に応じて習得するために温存していたが、スキルポイントも溜まってきたし何か覚えてみるか?」


 温存!?まさかそんな素晴らしい言い訳もとい作戦があったとは。さっき気付いていれば思慮深い天才卍荒罹崇卍さんロールが演じられたというのに!


「そうですわね。これからの戦闘にも影響しますし、相談して決めることにしましょう。スキルページの一覧を見るとおすすめスキルが載っていますわね。しかし——」


「ああ、間違いない。オススメ度の高いスキルは地雷だ。デスゲームでそんな都合のいい事があるわけない」


「やはり同じ結論に達していましたのね。相棒」


 草生えますね。



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