表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
間違えられた番様は、消えました。  作者: 夕立悠理
五章 私が取り戻せたもの、取り戻せなかったもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/80

4話

お待たせしました!

 ノクト殿は、まるで僕のように恭しく跪いている。

「……ノクト副団長」

 言いたいこと、聞きたいこと、たくさんある。

 でも、今はそのときではない。

「陛下の警護と団員への指示をお願いします。私は、エルマ・アンバーを追います」

 たとえ、今回の件で、陛下の運命の番である私に、なにかあったとしても。

 陛下の故意ではない。

 私のせいだ。だから、なにも起きないとはおもうけれど、念の為にノクト殿に陛下の守護を願った。

「……かしこまりました」

「頼みます」

 ノクト殿が頷き、陛下の守護のために転移魔法を使ったのを確認した。


「では、行ってきます」

 もう一度、アリーとカイゼルに微笑んでから、窓枠に足をかける。


 フクロウが魔法でつけた目印によると、エルマは、動いている。

 私に見つかったことに気づいたのだろう。


 あなたと8年共にいた。

 あなたは私のことを親友とは思っていなかったのかもしれない。

 それでも――。


 窓から空へと浮遊魔法で、飛び立った。


 8年の月日は、決して短くない期間だ。

 偽りだけで過ごすには、長すぎる期間。

「エルマ……あなたなら、」

 そろそろ目印に気づいて、それを違う方向に飛ばすだろう。

 そして、自分は、目印とは逆方向へ。

 少しでも私から離れて、時間を稼ぐために。


「逃がさないわ」


 私の親友で青春で部下だったあなた。

 私になりかわろうとしたあなた。


「……いた」


 上空から、魔法の矢を引き絞り、狙いを定める。


「!」


 そして手をはなすと、狙い通りエルマの服が、壁に縫い留められた。

「くそっ、なんで……!!」

 ……エルマにしては、ずいぶんと荒い言葉遣いだわ。

 あなたのそんなところ、初めて見た。


「――エルマ」

 私はエルマの方へと高度を下げた。

 そして、エルマの服が矢で縫い留められているうちに、拘束魔法を使わせてもらう。

「……!!」

 鋭く睨みつけられても、怯むことはない。


「ねぇ、エルマ」

 地面に降り立つと、エルマの方へ歩いていく。

 そして、魔法封じの手錠をつけさせてもらった。

 エルマが使っているのが、魔法以外の能力の可能性はあるけれど、敵の能力をひとつでも封じるに越したことはない。


「っ……ロイゼ」


 エルマは私がエルマに触れた時、なぜか目を見開いた。


「あなたのこと、ずっと嫌いだったわ!」


 そしてぶつけるように、言葉を吐き出す。


「あなたに出会った時から、ずっと――」

「……そう」


 そうなのかな、とは思っていた。

 それでも、実際にそう言われると、心は痛む。

 ――でも、私は。


「エルマ、あなたの考えていたことも、もちろん知りたいわ。でもね、それよりも――」

 私はじたばたと暴れるエルマの顎に触れた。

「どうやって、私に成り代われたのか、知りたいの。……全部教えなさい」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

こちらも覗いていただけたら幸いです。完結作なので安心して読んでいただけます。
悪役令嬢な私が、あなたのためにできること
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ