4話
お待たせしました!
ノクト殿は、まるで僕のように恭しく跪いている。
「……ノクト副団長」
言いたいこと、聞きたいこと、たくさんある。
でも、今はそのときではない。
「陛下の警護と団員への指示をお願いします。私は、エルマ・アンバーを追います」
たとえ、今回の件で、陛下の運命の番である私に、なにかあったとしても。
陛下の故意ではない。
私のせいだ。だから、なにも起きないとはおもうけれど、念の為にノクト殿に陛下の守護を願った。
「……かしこまりました」
「頼みます」
ノクト殿が頷き、陛下の守護のために転移魔法を使ったのを確認した。
「では、行ってきます」
もう一度、アリーとカイゼルに微笑んでから、窓枠に足をかける。
フクロウが魔法でつけた目印によると、エルマは、動いている。
私に見つかったことに気づいたのだろう。
あなたと8年共にいた。
あなたは私のことを親友とは思っていなかったのかもしれない。
それでも――。
窓から空へと浮遊魔法で、飛び立った。
8年の月日は、決して短くない期間だ。
偽りだけで過ごすには、長すぎる期間。
「エルマ……あなたなら、」
そろそろ目印に気づいて、それを違う方向に飛ばすだろう。
そして、自分は、目印とは逆方向へ。
少しでも私から離れて、時間を稼ぐために。
「逃がさないわ」
私の親友で青春で部下だったあなた。
私になりかわろうとしたあなた。
「……いた」
上空から、魔法の矢を引き絞り、狙いを定める。
「!」
そして手をはなすと、狙い通りエルマの服が、壁に縫い留められた。
「くそっ、なんで……!!」
……エルマにしては、ずいぶんと荒い言葉遣いだわ。
あなたのそんなところ、初めて見た。
「――エルマ」
私はエルマの方へと高度を下げた。
そして、エルマの服が矢で縫い留められているうちに、拘束魔法を使わせてもらう。
「……!!」
鋭く睨みつけられても、怯むことはない。
「ねぇ、エルマ」
地面に降り立つと、エルマの方へ歩いていく。
そして、魔法封じの手錠をつけさせてもらった。
エルマが使っているのが、魔法以外の能力の可能性はあるけれど、敵の能力をひとつでも封じるに越したことはない。
「っ……ロイゼ」
エルマは私がエルマに触れた時、なぜか目を見開いた。
「あなたのこと、ずっと嫌いだったわ!」
そしてぶつけるように、言葉を吐き出す。
「あなたに出会った時から、ずっと――」
「……そう」
そうなのかな、とは思っていた。
それでも、実際にそう言われると、心は痛む。
――でも、私は。
「エルマ、あなたの考えていたことも、もちろん知りたいわ。でもね、それよりも――」
私はじたばたと暴れるエルマの顎に触れた。
「どうやって、私に成り代われたのか、知りたいの。……全部教えなさい」
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