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間違えられた番様は、消えました。  作者: 夕立悠理
四章 私の望み

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14話

 今回の件の説明……。

「……はい、陛下。団長から、魔術師の施設を見てみたいと言われ、共に施設を見学しました。その後、団長は自室に行き、日記を持って戻ってこられました。その後、団長を仮住まいに送る前に、急用で私が席を外し――」


「ロイゼを一人にした、と?」


 陛下の静かな怒りを含んだ声は、先ほどよりも……ううん、今まで聞いたことがないほど、冷たかった。


「陛下! ノクト殿は、私のわがままのために時間を割いてくださったのです」


 陛下の深青の瞳が、私に向く。


「助けてくださりありがとうございます。……今回のことは、浅慮な私の行動が招いた結果です。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。咎はすべて、私にあります」


 深く頭を下げる。

 記憶を取り戻したくて、魔術師団の施設を訪ねたのは、私の意思だ。

 ノクト殿のせいでは決してない。

 むしろ、私のせいで、ノクト殿にも迷惑をかけてしまった。


「……ロイゼ」


 陛下は、私の名前を呼んだ。

 それでも、なお、頭を下げ続ける。

「迷惑だとは少しも思っていない。君が……無事でよかった。だから、顔を上げて欲しい」

 陛下にそう言われて、顔を上げないわけにもいかない。

 ゆっくりと顔を上げると、陛下は困った顔をしていた。

「私が副団長に問いたいのは、魔術師団の膿を出し切っていない状態で、なぜ、ロイゼをこちらに迎え入れる許可を出したのか。そして、その状態でロイゼを一人にしたのか、という点だ」


 膿を出し切っていない……。

 先ほどの女魔術師――マリアのことだろうか。


「6番隊をはじめとして、エルマ・アンバーと親しかった者たちに、洗脳や魅了などの魔法を使われた兆候がなかったことを根拠に、安全だと判断しました。安易な判断でした。……一人にしてしまったことも、完全に私の落ち度です」


 ノクト殿の言葉に、口を挟みたくなる。

 あなたは、何も悪くないのだと。

 でも、今、私が口を出したらもっとノクト殿の立場が悪くなるのは、記憶がなくてもわかった。

 私のせいなのに、何も言えない。

 自分の浅慮さが、情けなくて、申し訳なくて、唇を噛む。

「……なるほど」


 陛下は、ノクト殿を見つめると、息を吐き出した。


「エルマ・アンバーが逃亡した件の取り調べもある。謹慎だけでなく、6番隊は、一度全員の身柄を拘束しろ。此度の魔術師以外にも、ロイゼを害そうと企む可能性もあるからな。連帯責任だ」


 陛下がそこまで言うと、ノクト殿は畏まりました、と深く腰を折った。


「それから……」


 陛下は、ノクト殿から私に視線を向けた。


「……ロイゼ」

「はい」


 緊張しながら、その深い青の瞳を見つめ返す。

「君の居住地を城に移す」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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また、ページ下部に完結作のリンクを貼っています!

頑張って完結させたので、そちらもよろしければぜひご覧ください。

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お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

こちらも覗いていただけたら幸いです。完結作なので安心して読んでいただけます。
悪役令嬢な私が、あなたのためにできること
― 新着の感想 ―
 今回の陛下、本来なら「危機に陥ったヒロイン助けるファインプレー」の筈なのに、これまでの振る舞いから素直に称賛できないのが逆に芸術点高い。 ・なぜロイゼの危機に都合よく飛んで来られる? 24時間監視…
うーん?洗脳としちゃ陛下が一番洗脳されてたんでは?陛下の拘束と隔離が先じゃね?w 洗脳された親玉の根城の王城は一番キケンじゃね? 陛下の配下が一番ヤバくね? 口の硬い信用出来そうな広域防衛商人にでも預…
陛下がんばえー!
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