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間違えられた番様は、消えました。  作者: 夕立悠理
三章 私という存在

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4話

「もちろんだ。――だが、君は優秀な魔術師だったと聞いている。それこそ魔術師団長になれるほどに。だから……」


 陛下はそこで言葉を切り、私を見つめ返した。



「魔法が使えるかどうか試してからでも、仕事を探すのは遅くはない」


 ――たしかに。

 生活に関する知識は残っている。

 魔法はまだ使おうとしていないから、なんとも言えないけれど。


「わかりました。ありがとうございます」


「ひとまず、君の進退が決まるまで、この部屋を居室としてはどうだろうか」


 こんな豪華な部屋を、私が?


「有難いお話ですが……私が元々使っていた部屋はないのでしょうか」


 あくまでも求めるのは必要最低限だ。こんなにも豪華絢爛な部屋は身に余るし――、そもそもここはどこだろう。



「君は、魔術師の住む寮に暮らしていた。つまり、他の魔術師とも顔を合わせることになる」


 ――なんとなく、言いたいことがわかった。

 魔術師団長なのに、記憶が無い私の存在は混乱を招くということだろう。


「……こちらで過ごす方がいいのですね」

「すまないな」


「いいえ。ありがとうございます……ところで、ここはどこなのでしょうか」


 貴族の誰かの屋敷か何かだろうか。

 それにしては、かなり煌びやかだからよほど高位の――。


「城の一室だ。隣には私の部屋もあるから、警備面は安心してほしい」

「!?!?」


 城の一室!?

 しかも、隣は陛下の部屋!?


 ――止まっていた冷や汗がでてきた。


「私がこの部屋を一時的とはいえ、居室とすることは、誤解を招くのではないでしょうか?」


 だって、一国の主人の隣室だなんて。

 その部屋が、与えられるべき人は決まっている。その妻――つまり、王妃だ。


「誤解?」


 けれど、陛下は目を瞬かせた。


「君は、私の運命の番だ。私の隣室に住まうのに相応しいのは、君――ロイゼ以外いない」


 運命の番――来世もと誓い合った恋人。

 でも……。


「私には、記憶がありません」


 その愛し合ったはずの前世も、陛下を再び求めたはずの今世も。

 どちらの記憶もない今の私は、はたして、陛下の運命の番だと言えるのだろうか。


「そうだな。だが、記憶がなくとも、間違いなく君が運命の番だ」


 ……でも。


「運命の番を騙った女性がいたようですが、私にも偽物の可能性があるのではないですか?」


 

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こちらも覗いていただけたら幸いです。完結作なので安心して読んでいただけます。
悪役令嬢な私が、あなたのためにできること
― 新着の感想 ―
陛下もノクトもキモい出禁にして欲しい てか二人共ちゃんと全経緯を明らかに詳細に 説明する義務があると思う 家も仕事もそれなしに決めらんないでしょ
ぶっちゃけ証明の手段が二人の記憶を突き合わせるしか現状存在しないのに、 その突き合わせるべき記憶をロイゼが喪っているので証明できないんだよなぁ まあ侯爵の娘の時に確認を怠った結果なのでどこまで行って…
色々と必死なんだろうけど、精神的に未熟というか 自己の欲求ばかり前面に押し出してくる所為で陛下の印象がクズでしかない。
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