事件とハッピーエンド
だけどそんな私が…机に嫌がらせの落書きを受けてしまう。
実はレオンと仲良くしているのを、誰かにひがまれていたのかもしれない。
わからないけど、色々悪口が机に書いてあって、一気につらい気持ちになってしまった。
「許せないな。そんな幼稚な嫌がらせ。必ず誰がやったか突き止めて謝らせないと。いや、まずは父さんに報告して、学園に動いてもらうよう要請をお願いしよう」
「うわ、おおごとだ…」
「でもそれくらいやらないとダメだと思うね。反省もしないよ。簡単には。だって机に悪口書くことを、実際にやっちゃってる人ってことだもん」
「そ、そうか。じゃあ…レオンのお力、借ります。レオンのお父さんのお力も、借ります」
「任せて!」
ということで、レオンのお父さんの圧力で学園に動いてもらったんだけど、なんと犯人がわからなかった。
そんな…。でも確かに、あれから悪口が机に追加で書かれることもなく、犯人は動きをやめて潜めてるっぽいから、どうしようもないのかも。
レオン「僕が自力で突き止めてみせる」
レオンがそう言った。
でも、レオンだって、具体的な作戦が思い浮かんでいるわけじゃないだろう。
ていうか、私を馬鹿にしそうな人が多すぎて、本当に誰がやったのかわからない。
悔しい。
でもレオンが本気でなんとかしようとしてくれてるのは、人生で初めての感覚だった。
味方? 友達? 信頼?
わかんないけど、心が安定する。
だから私自身でも犯人に近づいて、心置きなくレオンにお礼を言えるようにしなくちゃ。
そう考えていたら、思いついた。
ぬいぐるみを仕掛けよう。
私は机にぬいぐるみを置いて、そのぬいぐるみに細い糸を通して、レオンと離れた物陰に潜んでいた。
「糸はほとんどピンと張ってるの。そしてちょっとでも机が動いたらぬいぐるみが倒れるのよ」
「ちょっとでも机が動いたらここにいてもわかるのか」
「そうよ。そろそろ相手も油断して、ぱっと見誰も居なさそうなら、また机になんか書いて来そうじゃない?」
「可能性あるなあ。とはいえ、こんな狭いところで待つのでいいの?」
「仕方ないじゃん。良さそうな場所ここしかなかったんだから」
とはいえ近いから緊張するけどね!
ていうかこんなに近くで見ても美しいレオンの顔は凄すぎてなんなの?
いや理想的なイケメンですと言われたら、まあそれはそうなんだけど、感想としてはそんな感じよね。
で、そんなことに気を取られていたから、糸が引かれてびっくりした。
「わっ、だ、誰かがぬいぐるみを倒した!」
私がそう声を出している間に、レオンはもう動き出していた。早い。真剣な表情なのがわかる。
私はレオンを追った。
「誰だ!」
レオンが強くそう言って、そして私の席にいたのは…。
「が、学園長!?」
ここに来て、説明してなかったね、学園長のこと。
と言っても、みんながイメージする学園長のまんまだよ。
おじいさんの中では若い方って感じ。
で、なんで学園長が私の机で悪口を…?
流石に信じられなさすぎる。
だって学園長って学園で一番偉い人。
大人の見本って立ち位置じゃん。
完璧超人じゃないのはそりゃそうだけど…。
そんなに私のことが嫌いだったとは…。それに、レオンのお父さんが圧力をかけても何も進まないはずだわ。
ていうか、嫌いだとしても、そこまでするのはなんのために…。
私は不思議がっていたが、学園長は開き直っていた。
「私の立場として、仕方ないことなんです。あなたには、正体不明の悪口を書く人がいて、学園としても対処できないから、退学してもらう。そういうストーリーしかないんですよ」
「どういうことだ?」
レオンが怒りながら訊いた。
「だって、私の役目はレオン様に優等生でいてもらうことなのですよ。それなのに、劣等生と仲良くしていたら、強制的に縁を切らせるしかないでしょう。なのに、レオン様のお父様が言うんですよ。悪口の真相を突き止めろって。だからもう訳がわからなくて、でもこのストーリーは進めるしかないんです」
「ふざけんな! とんだ最悪のお節介だな。僕の父さんが正しい。そもそも、僕はお前みたいな人から見た優等生になんかなりたくないね」
こうしてレオンは私を庇ってくれた。
嬉しかったけど、なんか申し訳ない。
私が劣等生って部分は本当だから。
なのにレオンは続けた。
「僕はね、最近優しい友達ができたんだよ。だから邪魔すんなってこと!」
そんな風に大きい声で言ってくれるレオンだから、私はもちろんレオンに恋に落ちていた。
☆ ◯ ☆
10年後。
レオンは国王になり、私は国王の妻になっていた。
昔諦められていた存在だった頃を思い出して思う。
諦められていたのもそれはそれで気楽でよかったわね!
注目されるのほんと緊張するし。
でも思う。
今の方が幸せだってね。
「なんて私と結婚してくれたの?」
私はしつこいモード10段階中10になって、たまにレオンに尋ねる。
レオンはいつも、
「優しいからだよ。君の人生は、本当に優しい人が、優しいとちゃんと自分でも認められるようになるストーリーってわけだね」
そんな風に答える。
私はそれが嬉しい。
嬉しいと思えるのも嬉しい。
もう、優しいって言われるのは嫌じゃない。
お読みいただきありがとうございます。
もしよろしければ、下の☆が並んでいるところから、評価などをいただけたらうれしいです。




